新川電機株式会社

瀧本 孝治

マーケティング部 ST製品企画室...もっと見る マーケティング部 ST製品企画室

前回説明したように、振動解析システムの解析演算処理部分では各次数の振動振幅値、振動位相角の演算を行うとともに、波形データを基にした周波数解析を行っています。表示ソフトウエアの部分ではこれらのデータを目的にあわせて視覚的に理解しやすくするために各種の解析グラフに加工しています。今回は代表的な解析グラフに関して説明します。

代表的な解析グラフ

トレンドグラフ

図3にトレンドグラフを示します。
トレンドグラフは、横軸を時間、縦軸を測定値としたグラフで、各測定値の時系列変化を見ることができます。
以下の測定値を表示することができます。

回転数、オーバーオール(OA)振幅、GAP、1X振幅 / 位相、2X振幅 / 位相、0.5X振幅 / 位相、NOT 1X振幅、nX1~nX4振幅 / 位相、Smax、fX1、fX2、Σ8X以上、inR、outR、BR

図3. トレンドグラフ

ここで、1Xとは回転同期成分(1次成分)のことで、その1/2の周波数成分(1/2次成分)を0.5Xと呼び、2倍の周波数成分(2次成分)を2Xと呼びます。
また、0.5X、1X、2X以外の次数成分のトレンドデータを収集したい場合には、0.01~10.00までの範囲で任意に次数を設定できるnXという機能を使うことができます。nX1~nX4の4種類の次数を設定することができます。
nXで設定された次数成分の周波数は回転数に応じて変化しますが、回転数に関わりなく、特定の周波数成分の振幅のトレンドデータを収集したい場合には、fXの機能を使うことができます。
Σ8X以上、inR、outR、BRは転がり軸受を対象とした機能で、Σ8X以上は8次成分以上の高域成分の総和を、inRはインナーレースの傷、outRはアウターレースの傷、BRは転動体の傷による特徴周波数成分の振幅を示します。

トレンドグラフでは、これらの測定パラメータを任意に選択して表示できますので、例えば異常振動が発生している時に、OA振幅と同時に各次数成分がどのような変化をしているのか重ねて表示、比較することができますので、この時の機械の状態を診断する手がかりとして使うことができます。
infiSYS RV-200では、通常状態の短期トレンドは、その期間を1日(24時間)~31日間(1ヶ月)の範囲で設定でき、1秒間隔のデータを収集、保存、表示します。

この短期トレンドの期間を過ぎたデータで、特にイベント(警報発生、機械の起動 / 停止等)がない場合には、一定間隔でデータの間引き処理(10分、20分、1時間、2時間から選択)を行って、長期トレンドデータとして最長5年間保存します。

オービット

図4. オービット&波形グラフ

図4にオービット&波形グラフを示します。
オービットは、相互に90度の角度を持って設置された非接触変位センサ(いわゆるX-Yセンサ取付)による軸振動計測において、X方向、Y方向それぞれのセンサからの信号を合成して、軸心のダイナミックな軌跡とフェーズマーカ(位相基準)の位置と回転方向を表示したもので、リサージュとも呼びます。
アンバランス、ミスアライメント、オイルホワール、ラビング等の各異常に対してそれぞれ特徴的な形状のオービットが現れるため、オービットを観察することで特定の異常状態を推定することができます。

スペクトル

図5. スペクトルグラフ

図5にスペクトルグラフを示します。
スペクトルグラフはFFT処理した結果を、横軸に周波数または次数をとって表示したものです。
これにより、対象の振動波形がどんな周波数成分、または次数成分をどの程度含んでいるのかが分かりますので、異常振動の解析、診断を行う上で大きな手がかりとなります。
図6に示すウォーターフォールは、スペクトルを時系列に並べて3D表示したものです。これにより、時間変化に対応した周波数成分の変化とその全体像を解析することができます。

図6. ウォーターフォール図

ボード線図 / ポーラ線図

図7にボード線図を示します。
ボード線図は横軸に回転数を、縦軸に1Xまたは2Xの振幅と位相角を示すグラフを上下に並べたものです。これにより機械のスタートアップ / シャットダウン時の特性を把握することができます。

図7. ボード線図

図8に示すポーラ線図はボード線図を極座標に変換したもので、グラフ中心からプロットされたデータまでの距離が振幅を表し、プロットされたデータのグラフ上での角度が位相角を示しています。ポーラ線図は振動ベクトルを表しているため、過去のデータとの比較により容易にバランスの変化を確認することができます。

図8. ポーラ線図

また運転中に振動ベクトルが突変した場合、ロータ構成部品の欠損等のバランスの変化を伴うような異常が発生した可能性を示唆することになります。
ポーラ線図の場合、ボード線図と違ってグラフ上にプロットされたデータだけでは回転数情報を見ることができませんが、任意の点をクリックすることで、そのポイントの回転数を表示させることができます。図8は、過去の基準となるスタートアップ時のデータ(ベースデータとして登録したもの)を重ね描きしたものに、回転数の表示をさせたものの例を示しています。

さて、ここまで見てきて、図4のオービットと図8のポーラ線図は一見するとなんか似ているような ? と思われる方がいるかもしれません。もちろん、ポーラ線図とオービットそれぞれの意味と違いを理解されている方は多いと思いますが、次回はこの辺のところについて、初心者の方にも分かりやすいように説明してみたいと思います。

本コラム関連製品

infiSYS RV-200

infiSYS 3.0

Kenjin