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ホーム > WEBマガジン SHINKAWA Times > コラム > 金子 成彦 > 大学が変わるべきところ守るべきもの(冬休み小旅行編)
掲載日:2017年01月11日

大学が変わるべきところ守るべきもの(冬休み小旅行編)

東京大学 大学院工学系研究科 機械工学専攻 教授  金子 成彦

 

 

 

東京大学  大学院工学系研究科
機械工学専攻  教授  金子 成彦
第90期日本機械学会会長
日本学術会議連携会員
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冬休みの小旅行

明けましておめでとうございます。

今年の干支は「酉」、動物で表すと「鶏」です。

皆様の今年のご発展とご健勝をお祈りいたします。

 

さて、昨年の新川タイムズでは、年始の過ごし方について書かせて頂きましたが、今回はその続編です。このところ、帰省の際に、これまでに訪れたことのない場所を訪問する小旅行を企画し実行していますが、今回は、山口県長門湯本温泉の大谷山荘を選びました。この旅館は、最近、日露首脳会談が開かれたことで有名になりましたが、予約した段階ではその開催を知りませんでした。今回の旅行で

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長門豊川稲荷神社の絵馬

は、親切なタクシー運転手にたまたま出会い、大谷山荘から元乃隅稲成神社、角島大橋まで足を延ばしました。その後、鉄道とバスを乗り継いで実家のある湯田温泉までたどり着きましたが、山口宇部空港を起点として長門湯本温泉、大寧寺、元乃隅稲成神社、角島大橋、萩を経由して湯田温泉までの道程は約 260 キロの行程となりました。

長門湯本温泉と大谷山荘

大谷山荘のある長門湯本温泉は、室町時代に開かれた山口県内では最も歴史のある温泉で、町の中央を流れる音信川(おとづれがわ)のせせらぎが聞こえる川の両岸に古風なたたずまいの旅館が軒を並べています。昔懐かしい温泉街の風情があり、町のシンボルである「恩湯」、「礼湯」の 2 つの市営公衆浴場が昭和のレトロな空気を漂わせています。

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恩湯

大谷山荘は、2016 年 12 月 15 日、安倍首相とプーチン大統領による日露首脳会談がこの旅館で開かれたことで一躍有名になりました。立派な構えの旅館で、山荘と名付けられていることから分かるように、山と山に囲まれた谷あいに位置していて、館内にも渓流を模した小川が拵えてあり、館内でもせせらぎの音を聞くことができる癒しの空間となっています。

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大谷山荘看板

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大谷山荘館内

大寧寺と長門豊川稲荷神社

長門湯本温泉街を抜けてしばらく行くと、山を背にした曹洞宗の名刹大寧寺が見えてきます。この寺は、陶隆房(後の晴賢)に追い詰められた大内義隆がこの地で自刃したことから、大内氏終焉の地として知られています。かつて西の高野山とも呼ばれた広い境内の入り口には、「兜掛けの岩」と「姿見の池」があります。義隆が境内に入る前に乱れた髪を整えようと参道わきの岩に兜を掛け、傍の池に顔を映そうとした時に、自分の顔が映らなかったということで、自刃の決断をしたとのことです。苔むした岩と池からは義隆の無念さが伝わってくるようです。大寧寺のすぐ傍には、豊川稲荷の分社の長門豊川稲荷神社があり、鶏の絵馬はこの神社の入口に飾ってあったものです。

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大寧寺本堂

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兜掛けの岩

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姿見の池

元乃隅稲成神社と龍宮の潮吹き

全国のお稲荷さんの中に、稲荷と書くものと稲成と書くものの 2 種類があることを最近知りました。前者は、京都の伏見稲荷大社を代表とするもの、後者は津和野にある津和野太鼓谷稲成神社とその分社である元乃隅稲成神社のみとのこと。小生の名前は、「成彦」と書きますが、小生は神社とは関係はないのですが、「成」の文字が使われている神社があると聞くとうれしくなります。

元乃隅稲成神社の近くには「龍宮の潮吹き」という波が荒い時には潮が 30m 以上も吹き上がることで有名な場所があり、地元では、昭和 30 年に出来た元乃隅稲成神社よりも、磯釣りのポイントである「龍宮の潮吹き」の方がよく知られていたようです。潮が上がっている場所から視線を右に向けると、高波や津波から漁船や集落を守るためのコンクリート製の防波堤が視界に入ってきます。防波堤の人工物としての大きさだけではなく、人間が波高い海の中に巨大なコンクリートの塊を作ったという事実に圧倒されます。

アメリカの CNN は、鳥居の朱色と日本海のコバルトブルーのコントラストに魅せられて、日本の最も美しい場所 31 選に元乃隅稲成神社を選びましたが(*)、人工物である防波堤にも一見の価値があります。

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元乃隅稲成神社

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防波堤

角島と旧友との思い出

親切なタクシードライバーのお勧めもあって、海に掛かる日本一美しい橋として評判の高い角島大橋まで足を延ばしました。角島は、響灘・日本海に浮かぶ美しいエメラルドグリーンの海に囲まれた島で、島の北部に突き出た 2 つの岬が、牛の角のように見えることから角島の名が付いたといわれています。大学の夏休みに高校のクラスメイトとともに角島にキャンプに出掛けて以来、久し振りに島に足を踏み入れました。当時は、島には船で渡る必要があり、船着場から目的地までもトコトコ歩くしかなく、店もほとんどないところでした。釣りをしてはその日のおかずを確保するというサバイバルキャンプで、フナ虫を餌にしては、ベラや草フグを釣ったことを記憶しています。浜辺を歩いていると急に昔の思い出がよみがえってきました。島に橋が架かり車で渡れるようになった今でも、海がその当時と変わりなくコバルトブルーのグラデーションに輝いていることに感激しました。また、きれいになった角島灯台周辺は、30 年前に訪問したアメリカ東海岸のケープコッドのように感じられました。

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角島大橋

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角島灯台

同窓会

旧友との思い出といえば、昨年は同窓会に縁のある年でした。研究室、大学、高校、中学校、小学校の同窓会が東京や山口で開催され、そのすべてに参加しました。記憶に深いのは、「チョコットだけ昔に戻りたい人集合」と題して招集された 50 年ぶりの小学校の同窓会でした。自分より背が高く怖そうに思っていた男子が面倒見のよい世話役になり、当時はおとなしくて引っ込み思案だった女子が仕切るタイプに替わっていたことや想定外のカミングアウトもあり驚きや発見の連続で、予定の時間が瞬く間に過ぎました。印象的だったことは、小学校時代 6 年間の長きにわたり毎日眺めていたクラス担任の高木東三先生が美しい字で書かれた「がんばろう」の額を再現復活してくれた幹事さんがいたことです。とても感謝しています。小生は、この言葉に何度支えられたか分かりません。今年も、つらい時には「がんばろう」を思い出して、乗り切ってゆきたいと思います。

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「がんばろう」の額

さて、小生に影響を与えた額はもうひとつあります。その額には、「個性尊重天分発展」と書かれていました。

これは、小生が通っていた山口大学附属山口小学校の講堂に掲げられていたもので、日産コンツェルンの創始者の鮎川義介さんによるものです。偶然にも、小生は小学校(山大附小)から大学(東大機械)まで鮎川さんと同じ学校を卒業することになるのです。

小生が大学で研究指導できる時間も残り少なくなりましたが、長年、この言葉を意識しつつ学生指導を行ってきました。昨今、基礎研究に充てる予算が十分ではなくなり、産学連携や国家プロジェクトに関連した研究が中心となっていますが、大学における研究指導者のスタンスとして学生の個性を尊重し天分を発見するための支援をすることを忘れてはいけないと思います。この話に纏わるストーリーは、次回に続きます。

コラムに関するご意見、お問い合わせ:sectimes@shinkawa.co.jp