株式会社 新興技術研究所 取締役会長

熊谷 卓

1955年03月 東京大学工学部精密工学科卒業
...もっと見る
1955年03月 東京大学工学部精密工学科卒業
1955年04月 マミヤ光機株式会社入社
1962年11月 技術士国家試験合格・機械部門技術士登録
1963年03月 株式会社 新興技術研究所設立 代表取締役就任、現在 同社取締役会長(業務内容:自動組立機をはじめ各種自動化設備機器等の開発・製作・技術指導)

【歴任】
米国・欧州自動化技術視察団コーディネータ 8 回
自動化推進協会 理事・副会長
精密工学会 自動組立専門委員会 常任幹事
日本技術士会 理事・機械部会長
中小企業大学校講師
日本産業用ロボット工業会 各種委員
神奈川大学講師
自動化推進協会理事
高度職業能力開発促進センター講師
等を歴任

【業績】
著書
自動化機構300選(日刊工業新聞社)、メカトロニクス技術認定試験教本(工業調査会)ほか多数
講演
アジア生産性機構講演で自動化システムを W・T・MACS で表示・解析を提示(世界初)ほか多数
論文
自動化システムのデバッギング理論「チェック機構と最適稼働率」が欧州年間論文大賞にノミネイトほか多数
発明
メカトロニクス技術実習モジュールの発明、地震予知システム「逆ラジオ」の発明ほか多数

当社の本業は生産自動化システムですが、1995年1月阪神大震災の直後の異業種交流会で出た議題「地震予知」につき地震学は素人ながら、地震予兆の電磁波ノイズ検出手法を自費持ち寄りで研究し、平成12年度科学技術振興事業団の補助金を得ましたが、未だに採算無視です。

それでも2011年の東日本大震災については、1カ月以上前から会員に「仙台周辺大地震注意メール」を送っていました。

東日本大震災の予兆を捉えていた「逆ラジオ」とは

地震予知は不可能?

文部科学省が「地震予知は不可能」とし、第7次まで来た「地震予知計画」をあきらめ、新たに「地震予知のための新たな観測研究計画」で進める、と発表したのは平成11年(1999年)でした。

しかし政府はあきらめても、それ以前から「地震学」以外の分野で地震予知の可能性を確信する研究者の方々が、いろいろな手法で研究を続けられています。

電気・電磁波系地震予知

特に有力なのは、地震発生のかなり前から、地中のストレスが増大して、地電流・地電圧が発生し、更にこれが電磁波となって大気中に現れ、高い電離層まで変化をもたらす、ということから、これらの現象を捉えることで地震予知を可能とする研究です。

この電気・電磁波系では、北海道大学の森谷教授をはじめ、山梨の串田氏、ギリシャのVarotsos教授など、多くの研究者の方々が地電流や電磁波による地震予知を研究されています。 しかし、どの手法でも、電車による地電流変動や放送通信の信号電波など「人工の電流・電磁波による誤認識」で苦労されていると聞きます。

当社はこれに対し東海大学の長尾教授のアドバイスを得ながら、放送通信の信号電波をキャンセルして自然界電磁波ノイズを抽出する「逆ラジオ」システム(特許第3188609号)を開発し、多くの地震予知に成功しています。

90%以上の地震予知率

図1は2012年1月24日にホームページに発表した予測情報で、1月24日から1週間ぐらいの間に関東東海周辺150km範囲でM6.0±0.5程度の地震発生を予測しました。

図1. 関東地方の地震予測情報(2012年1月24日掲載)
図2. 平成24年01月28日07時48分発表

その結果図2のように予測通り発生しました。

予測通り、1月28日、山梨県富士五湖でM5.5が発生しました。
甲府から70kmで算定規模はM5.8です。

また図3は2012年4月24日に発表し、4月26日から1週間ぐらいの間に茨城・千葉周辺200km範囲でM6.5±0.5程度の地震発生を予測しました。更に4月28日に会員に「発生間近」の臨時メールを送りました。

図3. 茨城・千葉の地震予測情報(2012年4月24日ホームページ掲載)
図4. 平成24年04月29日19時32分発表

これも図4のように予測通り発生しました。

予測通り、4月29日、千葉県北東部でM5.8が発生しました。
千葉から50kmで算定規模はM6.4です。

その他極めて多数の予測実績があり、2012年の一年間の予知率は90%を超えていました。

予知率算定1:発表全体について

2012年の一年間にホームページ上に「地震発生予測」を掲載した98件のうち、殆ど「ピタリと的中」したのが67件、発生日・規模・場所のうちどれかが予測と違ったが、地震としては「ほぼ予測に近い」と判断されるのが25件で、予測発表しても地震が来なかった「空振り」が6件でした。つまり予測発表した中の93%は、実際に地震が発生したことになります。

予知率算定2:大型地震について

また、大きい地震についての集計もしてみました。 2012年中に発生したマグニチュード5.4以上で、最大震度4以上の大型地震は26件ありました。(このほか予測対象地域外が2件あり、合計28件でした)
この26件のうち、予兆としての電磁波ノイズの出ない「余震」9件をはずして、本震15件で見ると、「ピタリと的中」したのが10件、「ほぼ予測に近い」と判断されるのが5件でした。これは100%と言ってもいいかも知れません。

図5. 2012年 地震予測の実績

註 余震について:
電磁波ノイズを出しながら長期に亘って蓄積された地中歪の大部分が「本震で解放」され、余震はその「一部残りの解放」動作なので、電磁波ノイズはわずかしか出ません。
しかし余震とは別に、新たに地中の歪が蓄積される場合は電磁波ノイズが出るのでデータグラフで予知できます。

ただし、余震として、電磁波ノイズデータからでなく、今までの経過から「この程度の地震が発生しそうです」とした「余震予測」した地震が9件あり、余震予測も出さなかった「見逃し」が2件ありました。
この余震予測を含めると、26件中24件となり、予知率92%となります。

現在、数千人の会員から高い評価を得ています。
しかし、風評被害の問題があるので、予知情報は有料会員だけに伝えています。

なお、マグニチュードの予測と発生後の算定規模は、観測点から100kmの地点だった場合のM値です。観測点に近い小さい地震と、遠い大きい地震とでは得たデータ量は、同レベルになると思われるからです。

逆ラジオによる観測システム

逆ラジオによる観測装置(特許第3188609号)は図6のような構成が標準です。(別の構成もあります)

図6. 逆ラジオによる観測装置

右端の逆ラジオの出力を小箱型のインターフェイスを経由してコンピュータのUSBポートで受信・計数します。逆ラジオをコンピュータノイズから遠ざけるために長いケーブルが付属しています。コンピュータは毎日計数したデータを自動メールで予知情報センターに送信します。

図7. 2013年11月9日現在の観測点

2013年11月9日現在の観測点は全国で81ヶ所、海外では米国サンフランシスコ・トルコイズミル・台湾台北に各1ヶ所あります。

逆ラジオの機能

図8で、AM波帯では高周波搬送波を音声信号で変調して電波として放送します(図A)が、これに地電流に起因するパルスノイズが混入することがあります(図B)。

図Cのように、これをラジオで受信して通常のとおり検波・低周波増幅して音声信号を再生しますと、この音声信号には、高周波パルスノイズは殆ど含まれないので、雷が鳴ってもあまりガリガリいいません。

これに対し、高周波信号をそのまま検波・高周波増幅したものは、そのエンベロープは音声信号と同形ですが高周波パルスノイズがそのまま残っています。

この波形と音声波形との差を取ると、図Dのように 大部分がキャンセルされて、高周波パルスノイズだけが顕著に残るので、このパルスノイズの数を計数します。

音声信号をきれいに出す通常のラジオに対し、逆にノイズばかりを出力するので「逆ラジオ」と名付けました。

図8. 逆ラジオの原理図(波形は解説用で実波形とは異なります)

うまく放送のない周波数にチューニングできれば普通のラジオでもいいのですが、ことによると夜中になって外国の放送が入ってくるかもしれません。人が聴いていれば音声信号かガリガリというノイズか区別できますが、自動でとると、これが全部「地震の予兆のノイズ」と判断してしまうことになります。

逆ラジオはそのような場合でも放送信号をキャンセルするので確実なのです。

自宅でできる地震予知

この逆ラジオを自宅において毎日画面を見ていると、地震を予知できます。

例えば図のように、ノイズデータが日毎に大きくなり、24時間以上連続してグラフ最大値を超えた後、また日毎にデータが小さくなって普段の状態まで戻る(データの収束と呼びます)と、数日で自宅が地震で揺れます。

東日本大震災の予兆

2010年東北地区にある3つの観測点のうち、過去に発生した地震とその予兆データとの関連が確実に把握できていたのは仙台観測点だけでした。
例えば2010年7月に捉えた大きなデータがあります。

仙台観測点では通常1日あたり20~40のパルスノイズしか検出されないのが、図10のように2010年7月に大きな「2本立ち」データが検出されて(最大7万)、その後8月10日に「三陸沖M6.2」が予測通り発生しています。

図10. 仙台観測点(2010年5月12日~8月14日 最大目盛8万)

その仙台観測点で図11のように、2010年12月より2011年1月にかけて、「三陸沖M6.2」の予兆データの何十倍もの巨大データが検出されたのです。

図11. 仙台観測点(2010年7月4日~2011年3月13日 最大目盛8万)

グラフの上限を超すので、図12のように、スケールを100万にしました。すると「三陸沖M6.2」の予兆データは下のグラフのやや左側の小さな粒になってしまいます。

これに対して、新しい大きいデータは最大90万でした。

図12. 仙台観測点(2010年3月27日~2011年3月12日 最大メモリ100万)

そこで会員に「巨大地震警戒メール」を発信していましたが、なかなか地震が発生しません。
他の観測点も同様なら確信が持てますが、観測点の数が少なく、的確な過去データがあるのは仙台観測点だけだったので、「この観測点での何らかの人工ノイズかもしれない」との疑問で「弁解メール」を送ろうとした経過もあります。
そして、2011年3月9日に三陸沖M7.2が発生し、これが予測した本震と思い、発表準備をしていたところへ3月11日M9.0の発生でした。
巨大地震では発震までの地中の準備期間が長いようです。

もっとデータに確信を持ち強調発表すれば、まだ何人かの人を救えたかもしれないと、今も後悔が続いています。

データに確信を持ち予知精度を向上するには観測点数がまだまだ不足なので、現在、逆ラジオを購入すれば有料会員権が無償で得られる観測点増強方策を講じています。

多くの方のご支援を期待します。