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ホーム > WEBマガジン SHINKAWA Times > メカトロニクス技術講座 > メカトロニクス技術講座 これから面白くなる自動化の考え方・第4世代のシステムへ(1)
掲載日:2018年01月10日

5 これから面白くなる自動化の考え方・第4世代のシステムへ(1)

ベテラン作業員の頭の中はカム曲線の集合か?

ちょっと工場の現場を考えてみましょう。現場には優秀なベテラン作業員がいます。

この人のところへ、「次の製品の試作だけど・・」といって現状よりさらに細いドリルでかなり硬いワークに深穴をあけてみてもらうように頼んでみます。

「またこんなやりにくい仕事を・・・」などと文句を言いながら、細いドリルを使って新しい試作用のワークにきれいに穴をあけてくれます。

勿論彼はこの条件での穴あけは初めてですが、失敗はしません。一発で穴あけして「はい、できたよ」と言って持ってきてくれます。

初めての条件なのになぜ一発でできるのでしょうか?

彼の頭の中にたくさんのカム曲線があって、その中から最適の一本を選ぶ(?)というわけでもありません。

おそらく彼は、「このくらいの状況になったら一度ドリルを抜きあげてもう一度下し直さなければ切りくずでうまくいかなくなってしまう」というような「状況判断」があり「その状況に対応する操作」があり、これに従って加工するのでどんなドリルでもどんなワークでも一発で加工できるのでしょう。

つまりこれはカム曲線ではなく、「考え方」なのです。

従って我々はその「ドリリングのための考え方」を入手してそれに基づいた制御方式を採用すれば、どんなドリリング作業でも自在にこなすことができるはずです。ではどう考えているのでしょうか?

本当のところはベテランの作業員に聞いてみなければわかりませんが、例えば、「ワークを抑えている手に感じる振動が大きくなったらドリルをワーク上面から 10mm ぐらい上まで引き上げる」ということかもしれません。或いは「ドリルの根元側の振れが少し増えてきたらたらドリルをワーク上面近くまで抜きあげて切りくずが外れるようにすればいい」というのかもしれません。更には振動ではなく音を聞いているのかもしれません。「サーという音がゴーに変わったらドリルを抜きあげる」というようなことも考えられます。

いずれにしても図 5-1 のように、ワークとツールとの何らかの条件を検出して、それに応じてツールに所定の操作を加える、ということで、フィードバック信号をワークとツールから取っていることになります。

フィードバック信号の取り方としては一番いいシステムです。

vol010_no01_info01_01.jpg

図 5-1 ベテラン作業員はワーク・ツールの状態に応じた的確な「考え方」を持っているので、

すべての条件に対応できる

W・T の状況に合わせたフィードバックのアルゴリズム

図 5-1 では作業するのは人間なのでコントローラが頭脳でその内容が「考え方」になっています。

これを自動化システムに当てはめると、コントローラは当然コンピュータ系となるでしょう。

コンピュータを動かすプログラムに組み込む「考え方」を「アルゴリズム」といいます。したがってこの場合の自動化システムは図 5-2 のようになります。

vol010_no01_info01_02.jpg

図 5-2 コントローラに「ドリリング用アルゴリズム」が入ればどんなドリリングでもできる

当然そこにはワークの振動状態を検出するセンサ、ドリルの振れ巾を検出するセンサ、或いは場合によると切削時の音の変化を検出するセンサなども必要になるかも知れません。これらのセンサの出力がある状態に変化したらドリルの進む速度を遅くする、また別の状況に変化したらドリルを急いで抜きあげる、などの考え方/アルゴリズムを制御用コンピュータのプログラムにしておくことになります。(図 5-3 参照)

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図 5-3 「ドリリング用アルゴリズム」のためにワーク・ツール等の状態を検出するセンサが必要

前述のように第 3 世代のソフトウエアカムによるロボット駆動システムがワークを無視したフィードバック信号の取り方なので、現在、それに対する反省から何とかワークの状態を検出してフィードバック信号をとろうとするのが世界的な趨勢です。

ロボットなどの展示会でも、山積みになったランダムな状態のワークを画像センサなどでの状態検出によって、ロボットハンドでランダム対応ピックアップするような第 4 世代のシステムが花盛りといった有様です。

「展示会で花盛り」ということは、まだまだ工場内で実用化されている第 4 世代のシステムは少ないということでもあります。

 

上に例として述べた図 5-3 のような第 4 世代のドリリングシステムは原理的には構築可能ですが、今のところどこの工場でも働いてはいないようです。

しかし、これから第 4 世代の技術が工場内で活躍するのはさほど遠い先ではないと言えるでしょう。

次回は、かなり昔から稼働していた第 4 世代のシステムの実例として、オルゴールの振動板自動調律装置の例を解説します。

「生産性向上とメカトロニクス技術講座」バックナンバー

  1. 本講座の目次
  2. 生産設備の構成要素(1)工場はすべて作業ユニットの集合.....
  3. 生産設備の構成要素(2)作業ユニットは W・T・MACS から成り立つ.....
  4. 生産設備の構成要素(3)フィードバック信号をどこから取ったか.....
  5. 巧妙性実現の手段群(1)メカニズムの速度特性の活用と加速度/直進テーブルの往復動作実験.....
  6. 巧妙性実現の手段群(2)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その1).....
  7. 巧妙性実現の手段群(3)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その2).....
  8. 巧妙性実現の手段群(4)メカニズムの速度特性の活用と加速度/加速度特性の改善と効果
  9. 巧妙性実現の手段群(5)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/自動化システムの 80% は.....
  10. 巧妙性実現の手段群(6)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その1).....
  11. 巧妙性実現の手段群(7)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その2).....
  12. 巧妙性実現の手段群(8)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムによる力特性の活用法
  13. 巧妙性実現の手段群(9)MACS の要素群/アクチュエータの各種と分類
  14. 巧妙性実現の手段群(10)MACS の要素群/コントローラとインターフェイス
  15. 巧妙性実現の手段群(11)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その1)
  16. 巧妙性実現の手段群(12)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その2)
  17. 巧妙性実現の手段群(13) センサによる代替特性検出(その1)
  18. 巧妙性実現の手段群(14) センサによる代替特性検出(その2)
  19. 巧妙性実現の手段群(15) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その1)
  20. 巧妙性実現の手段群(16) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その2)
  21. 巧妙性実現の手段群(17) タイミングチャートからメカニカルカムへ
  22. 巧妙性実現の手段群(18) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その1)
  23. 巧妙性実現の手段群(19) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その2)
  24. 巧妙性実現の手段群(20) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その3)
  25. 巧妙性実現の手段群(21) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その4)
  26. 生産性向上の4手法(1) 高速化と併行作業化/動作のスピードアップ・無駄時間の削減
  27. 生産性向上の4手法(2) 高速化と併行作業化/工程分割(その1)
  28. 生産性向上の4手法(3) 高速化と併行作業化/工程分割(その2)
  29. 生産性向上の4手法(4) 高速化と併行作業化/工程分割(その3)
  30. 生産性向上の4手法(5) 高速化と併行作業化/工程分割(その4)・マルチツーリング
  31. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(1) 同一品種のための同一動作・ワーク側の斉一性に頼ったシステム/メカニカルカムの機能の抽象化と再具現化・力と情報の分離
  32. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(2) インフォーメーションカムの導入と活用
  33. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(3) ソフトウエアカムの内容と導入手法
  34. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(4) Sin カーブの動作特性を実現するソフトウエアカム
  35. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(5) ソフトウエアカムのタイマー動作・ソフトウエアカム曲線の部分使用
  36. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(6) ピクチャーカム・ソフトウエアカム・コンバータ
  37. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(7) 巧妙性とフレキシビリティの第 3 世代インフォーメーションカム/品種切換の容易さは実現したが、バラツキ対応は不能
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株式会社新興技術研究所 熊谷 卓 による「生産性向上とメカトロニクス技術講座」は、クリエイティブ・コモンズ

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