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ホーム > WEBマガジン SHINKAWA Times > メカトロニクス技術講座 > メカトロニクス技術講座 生産設備の構成要素(1)
掲載日:2015年01月14日

1 生産設備の構成要素(1)

工場はすべて作業ユニットの集合

図 1-1 は或る生産工場の例です。

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図 1-1 製品外観と工場レイアウト(出典:株式会社三協精機製作所 技報 TERESA より) 

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図 1-2 製品の構成部品(出典:株式会社三協精機製作所 技報 TERESA より) 

図 1-1 の工場レイアウトでわかる通り工場内には多くの生産ラインがあり、それぞれの生産ラインには箱のようなものが並んでいます。

この箱のようなものは、「生産用の機械」を示しています。

生産用の機械が何台か並んで、一つの生産ラインを構成しているのです。

その生産用の機械は、どんなものか考えてみます。

図 1-3 は A、B 二つの部品を組み合わせてカシメユニットのハンマーで叩いて相互に固着するだけの、極めて単純な生産用機械の一例です。

中央に丸い「ロータリテーブル」があり、これに部品を保持するための「ワークホルダ」が 6 個設けてあります。

ロータリテーブルはスタート信号が来ると正確に 60° 回転して停止します。この停止位置を「作業ステーション」と呼びます。

 

この機械の動作内容は次のようになります。

 

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図 1-3 生産用機械の一例

ロータリ型ベースマシンの周囲に作業ユニット群が配置されている

1 A 部品の供給作業

ロータリテーブルが回るたびに A 部品供給作業員が A 部品を一個、目の前のワークホルダに入れます。これを「部品の供給作業」と言います。

2 B 部品の供給作業

ロータリテーブルが回るたびに B 部品自動供給装置の前にはA部品が入っているワークホルダが来ますので、この装置が A 部品の上に B 部品を自動で載せます。

3 B 部品のチェック作業

次の作業ステーションには B 部品チェックユニットがあって、A 部品と B 部品とが正しく組合わさって載っているかを調べます。もし B 部品が斜めに傾いたりしていたら、アラーム信号を出して作業員に修正してもらいます。

4 締結(カシメ)作業

次のステーションにはハンマーを持ったカシメユニットがあって、来たワークを叩いて A と B とが互いに抜けないようにします。二つの部品が相互に外れないようにすることを締結と言います。

5 取出し作業

次のステーションでは締結された A+B 部品を自動的にワークホルダから取り出して、次工程に送るベルトコンベア上に置きます。

 

この機械の構成内容を考えて見ますと、ロータリ型ベースマシンのテーブルの周囲にいろいろな作業をする作業ユニットが配置されていることがわかります。

これらの作業ユニットは全て「ワークに対して何かをする」ユニットです。

では、ベースマシンはどうかと考えてみると、やはりワークに対してこれを次の作業ステーションまで移動するもので、複数のワークを同時に扱う一種の作業ユニットであることに気付きます。

このワークの移動を「移送(トランスファ)」と言います。

つまり、この機械は:

ワークの移送ユニットと、その周囲にある

B 部品の供給ユニット

B 部品のチェックユニット

締結(カシメ)ユニット

取出しユニット

などの作業ユニットで構成されていることがわかります。

しかし、そのほかに

A 部品の供給作業をする「作業員」

が必要です。

ところが、もしここに「A 部品自動供給ユニット」があれば、この作業員は不要です。

その意味では「作業員」とは、「自動化してない作業ユニット」のことなのです。

 

こう考えてくると、この一台の機械は「作業ユニットの集合体」であることがわかります。

もう少し複雑な機械の例を図 1-4 に掲げます。

これは直進トランスファ型のベースマシンの移送経路の周りにいろいろな作業ユニットが配置されています。

前工程からのベルトコンベアの先端部で本体供給ユニットが本体をパレット上に供給します。

パレットは順次右へ送られて各作業ステーションに停止します。

作業員は部品 ① を手作業で供給しますが、それ以外の部品 ② から部品 ⑥ はすべて自動的に供給されています。

さらに材料 ⑦ として半田が供給され、加熱・冷却ステーションの次に自動取り出しユニットで次工程へ送られます。

空になったパレットは矢印のように左端に送られて循環します。

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図 1-4 生産用機械の一例

直進移送型ベースマシンの周囲に作業ユニット群が配置されている

この機械も、トランスファユニットと各種の作業ユニットから成り立っていることは明らかです。

 

なお、部品 ② は、前工程でロータリテーブル型のサブベースマシンで側面・上面などの予備加工が行われています。これもトランスファユニットとホッパ式自動供給ユニットや加工ユニット・捺印ユニットなどの作業ユニット群で構成されています。

予備加工のできた部品 ② が小型ベルトコンベアで供給位置まで送られると、自動供給ユニットで矢印のようにパレット上に供給されます。

 

つまり、工場内の全ての生産用機械は作業ユニットの組み合わせでできているのです。

その生産用機械が多数並んで一本の生産ラインができ、生産ラインが何本か集まって工場が出来上がっているわけです。

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図 1-5 工場の生産ラインの例

工場はすべて作業ユニット群から構成されている

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工場内のすべての作業ユニットが「いいユニット」でなければならない

要するに、工場の中で実際に生産作業をしているのは全て「作業ユニット」なのです。

そして、FA とは何のことかと言えば、工場の中の何千と言う作業ユニットを、すべて「いいユニット」にすることなのです。

ここで、「いいユニット」というのは、まず自動化されていることは当然ですが、その上で、精度がいい、生産速度が速い、品種切換えにすぐ対応する、などいろいろな意味がありますが、いずれにしてもそれぞれの対応する工程ごとに、的確に生産目標をこなすものでなければなりません。

仮に何千ものユニットの中で、一つでも効率の悪い、生産速度が遅く不良品ばかり作るようなユニットがあると、それだけで工場全体の生産が停滞してしまいます。

従って「すべてのユニットがいいユニット」でなければならないのです。

 

すべてのユニットがいいユニットになれば工場管理はきわめて簡単です。

営業からの情報によって何型を何日までに何個生産すればいいかを決めれば、後は「何型を何個作れ」「できたか?」「次は何型を何個作れ」の命令だけで工場の生産は確実に進みます。

「FA コンピュータ」は小さなパソコン一台ですむのです。

いいユニットかどうかの判定と改善例

ここで、もっとも単純な作業ユニットの例として、図 1-6 のようなドリリング工程の例を考えてみます。

手作業の場合は当然ワークをワークホルダに入れて手で押さえて、上部のにぎり玉をつかんで下へ降ろしていき、所定の深さに穴が開いたら、にぎり玉を上に戻すとともにワークを取り外すのが一連の作業です。

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図 1-6 ドリルによる手作業穴あけの例

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図 1-7 ドリルによる手作業穴あけの自動化例 

これを図 1-7 のような自動化ユニットで自動化しました。

 

この動作は次のようになります。

ワークの移送はベースマシンのロータリテーブルで自動的に行われることは言うまでもありません。

①  ロータリテーブルの移送動作が終わったら、コントローラにスタート信号が送られますので、コントローラはモータに駆動命令を出します。
②  モータはベルトによって連結されているピニオンを正回転しラックが駆動されてドリルヘッドが下降します。
③  ドリルヘッドに付けてあるセンサ用のドグが、下端センサを蹴るとコントローラは直ちにモータに逆転命令を出し、ドリルヘッドが上昇します。
④  センサ用のドグが上部の原点センサを蹴るとコントローラは直ちにモータ停止命令を出してモータを停止し、作業完了信号をロータリテーブルコントローラに送ります。

これで一連の動作が完了しますので確実に自動化はできていることがわかります。

さてこの自動化ユニットが「いいユニット」であるかどうか、考えてみます。

まず手作業の代わりにロータリテーブルでワークを移送することには全く問題はありません。

つぎにドリリングの工程を手作業と比較します。

ワークの材質にもよりますが、ドリリング動作をあまり速くしようとすると穴の形状が真円にならなかったりドリルの刃が欠けたりする可能性がありますので、標準的な切削速度に合わせた切り込み速度でゆっくりとドリルを下降します。

自動化ユニットでもこの下降速度は守らなければなりません。したがって、モータの減速比をこれに合わせてゆっくりとドリルを下降します。

しかし、ドリルの上昇速度は違います。

手作業の作業者は、帰りは無駄時間なのでできるだけ速くドリルを抜き上げて次のワークに掛かろうとします。

ところが、図 1-7 の作業ユニットでは、下降と同じモータを逆転するだけなので、上昇速度もゆっくりと長い時間をかけて上昇するのです。

手作業に比べて生産速度はかなり落ち込んでしまいます。

つまりこのドリリングユニットは「いいユニット」ではないのです。

ではどうすればいいユニットになるでしょうか?

幾つかの改良手法がありますが、メカニズムの変更による改善をするとすれば図 1-8 のような「早戻り構成」が考えられます。

これは図 1-7 のラックピニオン機構の代わりにレバースライダ機構を用いたものです。レバースライダ機構は図 1-9 に示すとおり、行きと帰りの速度特性が大きく異なります。

すなわち、レバーの溝の中を滑動するスライダピンが、レバーの固定軸から遠い方を通るとレバーを上死点側から下死点側まで駆動するのに 180° よりかなり大きい角度の駆動が必要です。さらにそのまま駆動を続けることで、レバーは再び戻ることになりますが、戻りはスライダピンがレバーの固定軸に近い方の側を通ることになり、180° より相当小さい角度の駆動時間で済むことがわかります。

つまり行きはゆっくりで帰りは早く戻るので、「早戻り機構」とも呼ばれています。(逆駆動すれば「遅戻り機構」にもなります)。

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図 1-8 ドリルによる穴あけ自動化の改善例 

図 1-8 の機構はこのレバーの固定軸側に歯車の歯を刻んで、ピニオンと同様にラックに噛み合わせてあります。これによって、スライダピンが一回転するだけで、ドリルヘッドは下降端までゆっくり進んで、下降端から速い速度で原位置まで戻るのです。

図 1-7 の「帰りものろのろと戻る」動作特性より相当に改善されています。

この場合の制御装置はスタート信号でスライダピンが一回転して止まればいいので、スライダピンのホルダにドグを持たせ、センサは一個だけで済みます。常時スライダピンのドグがセンサをオンした状態で停止していて、スタート信号によってモータが回転をはじめると、ドグが移動するのでセンサはオフになります。モータはそのまま回転を続けて、センサがもう一度オンしたら、スライダピンが一回転したことを示すので、そこでモータを停止すればいいのです。これを「一回転停止」の制御と言います。

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図 1-9 早戻り機構「レバースライダ」の動作特性

勿論、このような早戻り特性を実現するのはレバースライダのようなメカニズムによるものだけではありません。

例えば、図 1-7 の構成のままで、モータの方をサーボモータに換えて往復の速度を任意に制御する方法もあり、また、駆動を空気圧シリンダにして下降と上昇とでそれぞれの速度制御弁を適切な状態に絞って往復の速度差を実現する方法もあることは言うまでもありません。

実際にはいろいろな手法を考えて、それぞれの利害得失を検討して手段を決定する必要があります。

それを的確に行うには、これらの自動化システムが、どのように構成されているか、その構成要素について、十分に理解しておく必要があります。

 

次回はこれらの自動化システムの全体に通じる構成要素について解説します。

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