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ホーム > WEBマガジン SHINKAWA Times > メカトロニクス技術講座 > メカトロニクス技術講座 生産設備の構成要素(2)
掲載日:2015年02月12日

1 生産設備の構成要素(2)

作業ユニットは W・T・MACS から成り立つ

前節で工場内で生産に携わっているのはすべて「作業ユニット」であり、そのすべてをいいユニットにしなければならない、ということがわかりました。

そこで、いいユニットにするためには、ユニットが何から構成されているかを知る必要があります。

もう一度図 1-7 のドリリングユニットをみると、まず、作業される対象物「ワーク(Work)」があり、それに対して仕事をするドリルという「ツール(Tool)」があります。

そのツールを駆動するために、ラックアンドピニオンという「メカニズム(Mechanism)」がありそのメカニズムを駆動する動力源としてモータという「アクチュエータ(Actuator)」があります。

ここでは比較的逆転が容易なリバーシブルモータが使われています。

当然、モータなどのアクチュエータはこれを制御するために、何らかの制御装置「コントローラ (Controller)」が必要です。ここでは PLC(Programmable Logic Controller)が使われていると考えていいでしょう。

さらに、コントローラが何時モータに逆転命令を出すべきか、何時停止命令を出すべきかなどの状況を知るためには、現状を検出してその情報を伝える「センサ(Sensor)」が不可欠で、この場合は下端センサと原点センサにリミットスイッチが使われています。

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図 1-7 ドリルによる手作業穴あけを自動化した例(再掲載)

これをブロック図で表すと図 1-10 のようになります。

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図 1-10 単純なドリリングの自動化ユニットのブロック図

つまり、Work、Tool、Mechanism、Actuator、Controller、Sensor で構成されているのです。

これに対して早戻りメカニズムを用いた図 1-8 のユニットは、Mechanism の「ラック/ピニオン」が「レバースライダ」に替っただけで、ブロック図は全く同一です。

実はこの Work、Tool、Mechanism、Actuator、Controller、Sensor の構成は、殆ど全ての自動化システムに共通なのです。

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図 1-8 ドリルによる穴あけ自動化の改善例(再掲載) 

例えば簡単な例として自動ドアを考えて見ます(図 1-11)。

この場合は来客が Work となり、これの通過を許可するドアが Tool と考えていいでしょう。

①  来客が来たことは上に設けたセンサ(Sensor)で検出し、その信号がコントローラ(Controller)に伝えられます。
②  コントローラは来客を認識しドアを開けるためにモータ(Actuator)を駆動する命令を出します。
③  モータの軸が回転を始め、
④  それに取り付けられたリンク状のメカニズム(Mechanism)が動き、
⑤  その先端に取り付けたドア(Tool)が開きます。

つまりこれも、Work、Tool、Mechanism、Actuator、Controller、Sensor で構成されているのです。

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図 1-11 自動ドアの構成要素 

その他、図 1-12 のベルトコンベアも Work、Tool、Mechanism、Actuator、Controller、Sensor で構成されていますし図 1-13 のエレベータも同じであることがわかります(こんなエレベータは特性が悪くて乗れませんが)。

 

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図 1-12 ベルトコンベアの構成要素

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図 1-13 エレベータの構成要素

この場合 Work は人間でそれを運ぶ Tool は、箱型のケージで、それを動かすメカニズムはワイヤー巻上げ機構と、ケージを真直ぐ案内する直動ガイドです。Actuator はモータで Controller は速度特性をうまく作れるようなソフトウエアを含むと考えられます。Sensor は、一階と二階の検出用のほか乗客が押すスタートボタンもセンサです。

この例でも、Work、Tool、Mechanism、Actuator、Controller、Sensor で構成されていますが、それぞれの要素は一個とは限らず、必要に応じて複数を選択して用いる必要があることがわかります。

(前例の図 1-7 のドリリングユニットでも、Sensor は下端・上端の2個が使われています。)

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目的は Work、これに最適のツールと、目的動作を実現する MACS の選定/開発

上述のとおり殆ど全ての自動化システムが Work、Tool、Mechanism、Actuator、Controller、Sensor で構成されていますので、それぞれの要素の頭文字をとって、W・T・MACS と略称することにします。

 

W と T の後に「・」がついていることにご注意ください。その理由は:

Work すなわち「対象物」は、一般にわれわれシステム設計者が変更することはできません。

来客を通す自動ドアを設計するはずが、「うまくいかないので猫専用にしてください」とは言えません。

では Tool はどうかと考えて見ますと、これは Work の条件と目的作業の内容によって、殆どの場合専用設計でなければうまくいきません。

エレベータの Tool のケージをやめて、猫の子のように襟首をつまんで人間を二階まで吊り上げるわけにはいきません。

殆どの場合、システム設計のつど、その Work と工程内容に合った Tool を専用設計することになります。

例えば扇風機の場合は、Work が空気で、それを送るのに最も適した Tool が、あの独特の曲面を持った羽根です。

もし「金魚掬い競争」の自動化を考えるとすれば、あの破れ易い紙を貼った杓子が、最適 Tool なのでしょう。

つまり、自動化システム設計は、「与えられた Work に対して最適の Tool を専用設計する」というのが基本的な条件となるのです。

 

これに対して、MACS は、ひと塊に表示されています。

それはこの 4 要素が一つひとつ独立ではなくすべて相互に密接に関連しているからです。

あるメカニズムを選んだ時、その前提として「この部分をセンサで検出した信号をみてアクチュエータをこう制御する積りだから」という条件がなければなりません。例えばそこでアクチュエータを換えれば多くの場合コントローラの内容を変更し、センサの設定や位置の変更も必要になります。

その意味では、MACS は相互に密接に関連する要素なので、その組合せを選定するにはできるだけ一人の頭で考えることが望ましいのです。

 

単純な例として、今度の休暇に友人と行く旅行計画を考えてみます。

最も単純に、一人が交通手段を選定し、もう一人が宿泊設備を選定することを仮定します。

交通手段は新幹線・在来線・バス・船などいろいろある中から、現地での自由度を考えてマイカーを選んだとします。

宿泊設備を担当する人は高級ホテルからテント持参までいろいろあるうち、比較的新しくて安く泊まれるホテルを見つけたとします。

いざ車で行ってみたら、駐車場がなく不便で、かえって高くついた、ということもあり得ます。

つまり交通手段にマイカーを選んだら宿泊設備には駐車場を必要とするのは当然のことです。

通常の友人関係でこんなミスは考えられませんが、自動化技術の世界では往々にしてこれに似た選定ミスがあります。

特に大企業では機械屋さんがメカニズムの設計をして、組みあがった機械を制御屋さんに回す例が多くあります。制御屋さんは、こんな設計にしたんじゃ制御し難くてしょうがない・・とぶつぶつ言いながら、曲がりなりにも機械を動作するようにしていきます。

出来上がった機械を見て、時々エラーが起きたり追従速度が間に合わなかったりすると、メカが悪い、いや、制御が下手だ、と言い合うこともあると聞きます。

これは本来一人の頭で考えるべき 4 つの手段群「MACS」を、十分連絡のない別々の人が考えたことによる弊害です。

以上をまとめると:

まず対象とするワークの特性、目的とする工程の内容などを十分に理解して
その工程に最適のツールを設計する。
設計したツールをどのような経路・速度・力で駆動するかを決定し、
その動作特性を実現するためのメカニズム・アクチュエータ・コントローラ・センサの最適組み合わせを選定する。

ということになります。

これは、自動化技術だけに限りません。

殆ど全ての技術が「目的達成のための手段選定/創成」なのです。

目的達成のために既成の手段の中から選び出すだけで済めばいいのですが、どうしても既成の手段の中に最適のものがなければ新たに手段を創成する必要があります。

例えば「イベントの企画技術」とでもいうような技術を考えてみても、出演者の選定・会場の選定・宣伝方法の選定など、いくつかの要素群があります。この場合、多くの人に知ってもらうことが目的なのか、わかる人だけに集まってもらえばいいのかなど、目的に応じてそれを達成するために手段群の中から最もいい組合せを選定することは当然です。

どうしても適当な会場がなかったら、プレハブやテントで臨時に作ってしまう(創成)、ということもあり得ます。

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さて、自動化技術に戻ります。

その手段群はメカニズム・アクチュエータ・コントローラ・センサの4群で、これらを駆使して最適の動作特性を実現するのが自動化技術者に与えられた使命です。

そのためには、これら4群の中の全ての要素を使いこなすことができなければ、最適のシステム構築ができないかもしれません。

メカニズムにもいろいろな種類の動作特性を実現するものがあります。当然、アクチュエータの動作によっていろいろな運動特性が実現できますし、その内容しだいでコントローラを最適に選ばなければなりません。

そして目的の動作特性を作るためにはセンサの信号も不可欠です。動作中のどこをどのような検出方法で検出するかは、動作特性実現のための重要な要素です。

そこで、MACS の各要素群はどのようなものから構成されているかを充分に知る必要があります。 図 1-10 にまとめた W・T・MACS の各群に属する要素の内容を図 1-14 に示します。

 

図の中の各群の要素はいずれも入力に何らかの「変換」を加えて出力するものと考えていいでしょう。 まずメカニズムを考えて見ますと、入力は回転・直進・揺動などの「機械運動」で、出力も回転・直進・揺動などの「機械運動」です。

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図 1-14 自動化の要素 

簡単な例として、ワークをプッシャ(ツール)で押してストッパにピタリと当てるようにする作業ユニットについて考えてみることにします。

図 1-15(a)では、リバーシブルモータの回転軸にクランクアームを取り付け、クランクのコネクティングロッドを経由してプッシャ(ツール)を駆動しています。

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図 1-15(a) クランク軸による駆動 

本来、図 1-15(a)のクランクメカニズムのもつ速度特性は、図 1-15(b)のようなサインカーブに近いものです。したがって、ワークをストローク終端まで押すのに、一定速度のリバーシブルモータの回転に対して、最初ゆっくり動き出し、途中は速く、最後にまたゆっくりになって、ストローク終端でワークを「静かに」置いてくる形となります。このような速度特性を「末端減速型」といいます。クランクメカニズムがモータ軸の等速回転を、直進往復機械運動出力に変換していますが、その変換の比率は場所によって大きく変化するので「不均等変換型メカニズム」に分類します。

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図 1-15(b) クランクによる速度特性 

つぎにアクチュエータとしてのモータを見ますと、コントローラから供給された電力エネルギによって出力軸を回転駆動しています。つまり入力はエネルギで、これを回転という機械運動に変換しているのです。その変換後の出力は一定速度になっているので「等速型アクチュエータ」に分類します。

では、コントローラはといえば、センサからの信号入力に基づいて、中のプログラムによってアクチュエータに駆動エネルギを供給するわけで、信号という情報入力を情報処理という一種の変換手法によって出力エネルギのオン・オフに変換している、とも言えます。「オンオフ出力型コントローラ」に分類します。

さらにセンサ(リミットスイッチ)は、プッシャが一番戻った位置でクランクアームを検出して、その情報をコントローラに出力として伝えています。メカニズムの位置情報を信号に変換しているのですがその出力はオンとオフのみなので「オンオフ出力型センサ」に分類します。
これに対して図 1-16( a )のシステムでは、動作条件として2通りの考え方があります。
ひとつは、(A) ワークを送るストロークの長さは不明であるが、とにかく光電スイッチが働くまでワークを送る場合、
もうひとつは、(B) ワークを送るためのストロークの長さがあらかじめわかっている場合です。

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図 1-16(a) サーボモータによる駆動 

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図 1-16(b) サーボモータによる速度特性(1)

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図 1-16(b) サーボモータによる速度特性(2)

前者 (A) の条件では、ワークが光電スイッチのところまできたら直ちに止めて、サーボモータを逆転するために、速度は瞬時停止可能な程度の低速の一定速度で動かさなければならず、図 1-16(b)のような速度特性とならざるを得ません。

これでは遅くて、しかも瞬時停止のため停止時の加速度もある程度大きく、ワークに与える衝撃も発生します。こう考えると、まるで少しもよいところがないように見えますが、必ずしも欠点ばかりではないのです。

例えば、ワークの寸法が大きかったり小さかったりする場合を考えると、クランクを使った図 1-15(a)の方では小さいワークのときは壁まで届かないし、大きいワークのときは壁に押しつけすぎてワークを破損するかも知れないのです。しかし、図 1-16(a)の方式では、ワークの大きさに関係なく、ワークの前端が所定の位置に来たことを検出して駆動モータを停止・逆転してツールを戻すので、ワークの前端の位置は、必ず壁ぎわにピタリと止まることになります。つまり、ワークの大きさがばらついてもワークの大きさによって移動量を自動可変にできるのです。

次に、同じサーボモータを使った後者 (B) の条件の場合を考えてみると、一応ワークを送るのに必要なストローク長さは、あらかじめわかっているとすれば、速度特性を上手に設定してスタート時も停止時もショックなしにできるよう末端減速型にするとともに、帰りは速くした方が無駄時間を減少できるので早戻り式の図 1-16(C)のような速度特性にするなど、自由に設定できます。しかも、必要ストローク長がわかりさえすれば、駆動のソフトウエアの部分修正だけで、自由に移動量の変更ができるなどの利点もあります。(この場合はソフトウエアで任意の形の駆動用カム曲線をつくるのと同じなので、これをソフトウエアカムと呼びます)。いかにも素晴しいシステムのように思われます。

ところが、必ずしも良いことづくめではないのです。

まず目的位置までの距離が未知の(数値としてコントローラに入力されない)場合には、前例 (A) のような均一低速駆動にせざるを得ないこと、および、もしワークを壁に「強い力で押しつけたい」という目的の場合には、クランク機構に比べて条件によっては 1/10 以下の力しか出すことができないなどの欠点があります。すなわち、力特性の点で、「末端増力」の特性をもたせるには、クランクやカムなどのような「末端減速型メカニズム」を用いる方が有効なのです。

以上の簡単な例からもわかる通り、自動化システムに用いる手段にはいろいろあり、そのシステムの使用条件や目的とする特性に対して適切なものを選び出して組み合わせなければならないのです。

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ここで、もう一度図 1-16(a)のシステムの MACS を考えて見ます。

メカニズムはラックアンドピニオンという回転 → 直進変換機構で、モータ軸の回転入力を単純に直進運動に変換します。その変換の比率はどの場所でも一定で「均等変換メカニズム」に分類されます。

アクチュエータはサーボモータで電気エネルギを入力として軸の回転という機械運動出力を作ることは前例と同じですが、制御信号によって任意に速度が変えられるもので「可変速度型アクチュエータ」に分類します。

コントローラはスタート信号を受けて、プログラムによってアクチュエータに駆動エネルギを供給し、(A) の場合は前進端センサの信号によって、また (B) の場合はスタート後のパルス数によってモータに逆転命令を出すわけで、信号という情報入力に基づいて駆動エネルギを出力している点は前例と同じです。しかしその出力エネルギの与え方の数量的変化で目的とするモータ駆動の速度特性をつくるので、「数量出力型コントローラ」に分類します。

ここではセンサがちょっと異なった状況になっています。

(A) の場合は光電スイッチがツールやワークの位置を信号としてコントローラに伝達していますが、そのほかにモータの下端に「ロータリエンコーダ」というセンサが取り付けてあります。これはモータの軸がどれだけ回転したかを常に検出していてその値をコントローラに伝達しているのです。指定した速度より速く回転したり遅くなったりしたらコントローラが認識して自動調節するのです。

(B) の場合は光電スイッチを使いません。すべてロータリエンコーダに頼ります(ツールの原位置検出光電スイッチを補助用に使うこともありますが)。ロータリエンコーダでモータ軸がどれだけ回転したかパルス数で正確に計測できるので、所定の速度特性で、所定のパルス数だけ進み、進んだパルス数だけ戻ればいいのです。センサの分類は「計測型センサ」とします。

以上で一通り MACS について述べましたが、これをまとめてみると表1のようになります。

表 1-1 MACS の内容

  図 1-15(a)  図 1-16(a) 
 M   不均等変換型(クランクで末端減速特性)  均等変換型(ラックアンドピニオンで等速特性)
 A   等速型(リバーシブルモータで一定速駆動)  可変速型(サーボモータで可変速度駆動)
 C   オン・オフ型(PLC でオン・オフ出力)  数量型(コンピュータでパルス数出力)
 S   オン・オフ型(光電スイッチでオン・オフ信号)  計測型(ロータリエンコーダで計量信号)

 

表 1-1 の内容を W・T・MACS のブロック図に当てはめると図 1-17(a)のようになり、それぞれの要素群が 2 種類に分かれていますが、後述するとおり、この分類の考え方がきわめて重要なのです。

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図 1-17(a) W・T・MACS の要素分類

次回は自動化システム構成上大変重要な「フィードバック信号をどこから取ったかが問題」について解説します。

「生産性向上とメカトロニクス技術講座」バックナンバー

  1. 本講座の目次
  2. 生産設備の構成要素(1)工場はすべて作業ユニットの集合.....
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