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ホーム > WEBマガジン SHINKAWA Times > メカトロニクス技術講座 > メカトロニクス技術講座 巧妙性実現の手段群(2)
掲載日:2015年05月13日

2 巧妙性実現の手段群(2)

2-1 メカニズムの速度特性の活用と加速度

物は加速度で動かされる(その1)

もっと速くする方法はないでしょうか?

それにはなぜ速度を上げるとコップの水がこぼれるのかを考える必要があります。

vol007_no05_info01_02.jpg

図 2-3(a)ワークホルダ上のワークが
ずれないためには

まず、図 2-3(a)のようなワークホルダ上に載せたワークを考えてみます。

ワークホルダは下のパレットと一体で加速度 \(α\) で矢印の方向に駆動されるとします。

その時ワークが一緒に矢印の方向に動くためには、摩擦係数 \(μ\) が必要です。

ワークの質量 \(M\) に対してその重量 \(W\) とすれば、パレットがワークを「連れて行く」ための摩擦力 \(R\) は

  \(R=μ \times W\)

です。

一方質量 \(M\) のワークを、加速度 \(α\) で動かすためには、

  \(F = M \times α\)  ・・・・ (2-1)

の力が必要です。

これを重力表示にすると、地球の重力加速度を \(G\) として

\(F = W \times α/G\)  ・・・・ (2-2)

となります。

ワークを動かす為に必要な力 \(F\) より、連れて行くための摩擦力 \(R\) が大きくなければワークはついて行かれません。つまり、\(R > F\) でなければならないので

\(R = μ \times W > W \times α/G = F\)  ・・・・ (2-3)

で、\(W\) が消えるので

\(μ > α/G\)  ・・・・ (2-4)

となります。

 

ここで静止摩擦係数 \(μ = 0.4\) とすれば、図のワークホルダにかかる加速度が、\(α = 0.4G\) 以下でなければワークがずれてしまうことになります。

式(2-4)には \(W\) が入っていないことに注意してください。この条件はワークの重量には無関係なのです。

「軽いワークはずれ易いが重いワークなら安定していて、簡単にはずれないだろう」と考えてはいけません。

では、静止摩擦係数 \(μ\) の値より大きい加速度がかかる場合はどうしたらいいでしょうか?

(厳密には、「ワークを動かすのに必要な加速度が、地球の重力加速度の \(μ\) 倍より大きい場合は」ということです)

一般にパレットに載せたワークの駆動では、\(1.0G\) を超えることも多いので、上限が \(0.4G\) では使い物にならないこともあります。

ではどうするか?  ずれるのを防ぐためには、ずれないように押さえればいい筈です。

vol007_no05_info01_03.jpg

図 2-3(b)ワークホルダ上のワークを
クランプしたら

そこで 図 2-3(b)のように、\(P\) の力でクランプしてみます。

すると摩擦力 \(R\) は

\(R = μ \times (W+P)\)

となります。

このままでは 力 \(P\) の大きさがわからないので、\(P\) は ワークの重さ \(W\) の \(n\) 倍としてみます。すると

\(R = μ \times (W+nW) = μ \times W(1+n)\)

となり、式(2-3)は

\(R = μ \times W(1+n) > W \times α /G = F\) ・・・・ (2-5)

で、式(2-4)は

\(μ (1+n) > α/G\)  ・・・・ (2-6)

となります。

今、\(n\) の値を \(3\) としてみますと、

\(μ(1+3) = 4 μ > α/G\)  ・・・・ (2-7)

となり、\(μ\) を \(0.4\) とした場合 \(1.6G\) までずれないことになります。

式(2-6)を変形すると

\(n > ((α/G)/μ) - 1 = \displaystyle \frac{α} {μG} -1 \)  ・・・・ (2-8)

として想定される衝撃加速度 \(α\) と想定される静止摩擦係数 \(μ\) から、必要なクランプ力を算定できます。

(\(n\) がマイナスになればクランプ不要です)

表 2-1 に概略の計算結果を示します。

 

表 2-1 の最大値は 9 倍となっています。

相当に表面のきれいな摩擦の小さいワーク/パレットを、かなり衝撃の強いシステムでハンドリングする場合には、ワークの重量の 10 倍ぐらいの力でワークをクランプする必要がありそうです。

表 2-1 ワークハンドリングのための必要クランプ力 - 必要クランプ力(ワーク重量の \(n\) 倍)の表 -

  \(0.3G\)  \(0.5G\)  \(1.0G\)  \(3.0G\) 
\(μ = 0.3\) 0(クランプ不要)  0.67倍  2.3倍  9.0倍 
\(μ = 0.4\) 0(クランプ不要)  0.25倍  1.5倍  6.5倍 
\(μ = 0.5\) 0(クランプ不要)  0(クランプ不要)  1.0倍  5.0倍 

 

つまり、重量 1 グラムの軽いワークなら 10 グラムぐらいの力の弱い板バネで押さえておけばいいのですが、鉄の塊のような重量 \(10kg\) もあるワークの場合は、\(100kgf\) もの力でクランプすることになります。

(もちろんこのような摩擦力に頼ったクランプばかりではなく、ワークホルダのストッパに押し付けるなどワークホルダの構造を工夫する手段もあります。)

しかしクランプを強くするだけの方法ではワークに傷がつくなど他の問題も発生しますし、最初に実験した水の場合などはクランプする方法がありません。

 

結局、ハンドリングシステムの最大加速度を小さくする工夫の方が有効でしょう。

 

そこで、次回はハンドリングシステムの最大加速度を小さくする方法を考えることにします。

本コラムに関するご意見、お問い合わせ:t-kikaku@shinkawa.co.jp

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株式会社新興技術研究所 熊谷 卓 による「生産性向上とメカトロニクス技術講座」は、クリエイティブ・コモンズ

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