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ホーム > WEBマガジン SHINKAWA Times > メカトロニクス技術講座 > メカトロニクス技術講座 巧妙性実現の手段群(4)
掲載日:2015年07月07日

2 巧妙性実現の手段群(4)

2-1 メカニズムの速度特性の活用と加速度

加速度特性の改善と効果

では加速度特性を改善するにはどうすればいいでしょうか?

それは速度の変化率すなわち微分係数が無限大にならないような速度特性を用いればいいはずです。例えば全体に亘って一定の加速度で動く「等加速度曲線」があります。

加速度 \(α\) が一定なので速度は

\(V=αt\) となり、時間に比例して速度は増えていきます。目的地までの半分のところで減速に転じなければなりません。目的地までの半分のところの速度を \(Vmax\) とすれば、後半は \(V=Vmax-αt\) となり、速度特性は三角形となります。(目的地が遠く、最高速 \(Vmax\) でしばらく走ってから減速にかかる場合は台形となります)

vol007_no07_info01_02.jpg

 

図 2-4(b)等加速度特性の場合速度特性は三角形(または一部等速を入れれば台形)

これは理論的にはいいのですが、ワークに常に一定の力を加え続け、あるところで突然その力の方向を逆にする、ということになり、機械的にはなかなか実現しにくい状態となります。

 

メカニカルに実現しやすいのは、クランクなどの機械的な接続手法で速度特性を作ることです。例えばクランクを使って直進テーブルを駆動する図 2-5(a)のようなシステムを考えて見ます。

図でわかるとおり、クランク機構の出力ブロックの直進往復運動を使って直進テーブルを駆動します。

vol007_no07_info01_03.jpg

 

図 2-5(a)クランクによる駆動

技術実習教材「メカトロモジュール」での構成は写真 2-3 のようになります。

写真 2-3 クランクによる駆動システム

 

vol007_no07_info01_04.jpg

クランクの出力特性は、コネクティングロッドの傾斜角の分だけ正弦波からずれて歪んだ曲線となりますが、多くの場合、正弦波曲線で近似して差し支えないと思われます。(正確な正弦波形を創成するスコッチヨークというメカニズムもあります)

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図 2-5(b)正弦波速度特性の場合

正弦波速度特性(サインカーブ)の加速度はコサインカーブとなり、コサインにはマイナス 1 からプラス 1 の間しかないので係数のいかんに関わらず無限大になることはありません。

図 2-5(b)に示すとおり同じ距離を進むのに図のように最大速度は矩形波特性より大きくなりますが、最大加速度は小さく抑えられています。(矩形波特性の点線で囲んだ面積と、サインカーブの囲んだ面積とは同じでなければ駆動量が変わってしまうので特性比較になりません)

前回述べたとおり、単純な矩形波速度特性では、始端と終端で大きな加速度が発生しましたが、この駆動方法では始端で速度が滑らかに増え、終端で速度が滑らかに減少して止まるので、「末端減速特性」と呼ばれています。

 

クランクによる「末端減速特性」を用いた実験では往復 0.8 秒ぐらいまで水がこぼれずに駆動できました。

 

 

クランクによる「末端減速特性」を用いた実験の映像(約2分20秒)

 

 

なお、更に末端部を滑らかにした「変形正弦曲線」では、もっと高速でもこぼれずに駆動できる可能性があります。

つまり、自動化システムの高速化は、単純に速度を上げるだけでは駄目で、高速化のための的確な「末端減速型速度特性」を選定して用いる必要があるのです。

なお、「末端減速特性」はクランクに限らず、レバースライダやスコッチヨーク、或はゼネバ機構や後に述べるカム機構などでも実現できますし、サーボモータやステッピングモータなどの制御方式によっても実現できます。

次回は円と直線の組合せが面白いヒンジとスライドのシステムについて述べることにします。

本コラムに関するご意見、お問い合わせ:t-kikaku@shinkawa.co.jp

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株式会社新興技術研究所 熊谷 卓 による「生産性向上とメカトロニクス技術講座」は、クリエイティブ・コモンズ

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