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ホーム > WEBマガジン SHINKAWA Times > メカトロニクス技術講座 > メカトロニクス技術講座 巧妙性実現の手段群(19)
掲載日:2016年10月04日

2 巧妙性実現の手段群(19)

2-4 巧妙性が面白い第 2 世代・メカニカルカムのシステム

メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その2)

カム駆動自動化システムのビデオを見ながら、カム駆動システムの利害得失とメカトロ化制御手法について解説します。

 

カム連動検査機 (約40秒)

カム駆動システムの利害得失とメカトロ化制御手法

このシステムは或るプラスティック製ワークの検査システムで、ワークを手動供給した後、ワークの姿勢の安定化ユニット、ワークの流体特性の測定ユニット、不良ワークの取り出しユニット、良品ワークの取り出しユニットの順に工程が組まれています。これらの作業ユニットはすべてビデオで見られる通り一本のカム軸に取り付けた複数のカムによって駆動されていて、完全に連動しています。このカム軸は奥にある駆動源の減速機からチエーンで駆動されていますが、駆動源の片側は上部の(見えませんが)ロータリインデックステーブルの駆動用のローラギヤカム機構を同時に駆動していて、ロータリテーブルのワンピッチ駆動とカム軸の駆動とが完全に同期しているのです。

この場合ワークの供給は手作業で行うので作業員が慣れていないときはかなりゆっくりになり、装置が固定のサイクルで動いていると間に合わない場合が多くなります。しかし次第に慣れてくれば手作業はどんどん速くなります。そこで手作業の速度に合わせてシステムの速度を上げていくのが望ましいわけで、このシステムでは単純に駆動モータの速度を上げるだけ、でいいのです。

ビデオでは、毎分 24 個の速度からどんどん速度を上げていって 45 個の速度にしていますが、このシステムではさらに速度を上げることも自由にできます。

もし、各作業ユニットがタイマー制御などで動作特性を作っていたとすると、速度を少し変えるだけであちらこちらのタイマーを微妙に調整しなければならず、大変です。

カム駆動のシステムでは、最初、手動回転で正確に各作業ユニットのタイミングを調整しておけば、あとはどれだけ高速駆動しても決してタイミングがずれることはありません。

ビデオでもロータリテーブル上の円形のワークホルダの動きが止まった瞬間にチャックの爪がワークホルダ内に入っていくのが見られます。

ユニット相互のタイミングを気にすることなく、全体の速度を「もう少し早く」「もう少し遅く」など任意の設定が極めて容易にできることは大きな利点といえます。

カムによる連動機構の典型は自動車のエンジンバルブ

カム連動機構の典型的な例として自動車のエンジンのバルブ開閉用カムでは、基本的に吸入・排気などのバルブ動作をクランクシャフトからの連動によるカムで行っていることは常識です。そのために、ゆっくりとした動作でバルブの開閉のタイミングを設定しておけば、エンジンがいくら速く回転しても最初の設定タイミングからずれることはありません。もちろん現在では燃費や排気制御など特性向上のために、タイミングは完全に固定ではなく、速度によってバルブのタイミングや開閉量を自動調整するよう、カム軸をシフトするなど、いろいろな工夫が行われていますが、カムによるメカニカルなタイミング設定が基本にあることは当然と言えます。

写真 2-8 不良ワーク取出しユニット

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メカトロ化の必要性

しかしこの装置ではすべてのユニットが全く同じ動作を繰り返すだけでは役に立ちません。

写真 2-8 の上部に見える流量センサが検査ステーションで検出した流量の判定結果に応じて、不良ワークを不良品チャックユニットによって取り出すために、不良信号がシフトされて来た時だけ内径チャック用の 2 本の爪を開く操作するのです。

 

この爪はロータリテーブルがワンピッチ駆動されて所定の位置で停止すると同時にワークホルダの中に入っていきます。ワークホルダの中にはコップ状に近い形のワークがあるので、この爪を拡張すればワークを掴みます。したがって、不良信号がシフトされてきた場合、爪がワークの中に一番深く入ったタイミングで 2 本の爪を開く操作をする必要があります。(図 2-56 参照)

また、当然、ワークを掴んだチャックユニットが排出用ベルトコンベア上まで来たら、爪の間隔を閉じてワークを落とす必要があります。

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図 2-56 不良ワーク取出しユニットの動作

つまり、このシステムでは検査ステーションの不良信号をロータリテーブルのピッチ駆動に合わせてシフトして、不良排出ステーションまで送り、そこでチャック駆動用のカムの動作に合わせたタイミングでチャックの爪の開閉動作を行うように動作信号を作らなければなりません。

この場合、カム駆動システムであっても、

(1) 良否判定信号を記憶して順次シフトする「シフトレジスター」と、

(2) 適切なタイミングで爪を開閉するためにカム軸に取り付けた光電センサなどの「タイミング信号の処理」と

を含むシーケンス制御によるメカトロ化が不可欠なのです。

カム駆動システムの欠点は?

今までカム駆動システムの利点についていろいろ述べましたが、ではカム駆動システムの欠点はどうでしょうか?

第 1 にビデオにみられるようなカム設計は同一軸に取り付けたカムでユニットの立体的な動作を行わせるためのメカニズム設計にかなり技術力が必要であることです。

第 2 に、高速動作でのワークの挙動確認など設計段階で実験的な要素を含む場合は、予備実験を相当に慎重にする必要があることです。

それは一度できてしまったカムは修正がほとんど効かない、ということからです。特に数多くのワークを取り扱う自動化システムでは、ワークの特性に予想外のバラツキが出ることがあります。

不安定なワークが{稀に}あり、「ワークホルダの中に安定姿勢で収まるのに思ったより時間がかかる場合が稀にある」ようなことが分かった場合、「もう少し前進端のドエルの位置を遅らせればよかった」となっても既製のカムでは全く手が打てません。改めてドエルの位置を修正したカムを新規に製作することになります。

これに対し、もしカム駆動システムではなく、各ユニットの動作特性をタイマー設定等で制御していたら、或るユニットの特定のタイマーを少し調整するだけで済むかもしれません。

第 3 に組み立て調整に手間がかかることです。

写真 2-7 で想像される通り、改良設計してできたカムを取り付けるためには、カムシャフト関連部分を全体的に分解・再組立てを必要とします。

このことは品種切換えが不得手だということでもあります。現状の生産品目を別の品目に変更するために、別の品種用のカムに交換する場合でも、分解・組み立て・調整に手間がかかるので面倒です。

第 4 に、スプリングバックの場合の可動部質量と高速駆動特性に注意が必要なことです。

写真 2-7 カム駆動による自動化装置の一例(再掲載)

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図 2-55B 直進テーブルが最終出力端の場合の一例(再掲載)

ビデオの装置では溝カムなのでカムフォロワーのジャンプはありませんが、例えば図 2-55B のように平カムで駆動する場合戻り動作をスプリングで行うことになります。しかし装置を高速で駆動するとスプリングが弱くて追従できずカムフォロワーがジャンプすることがあります。

またさほど高速でなくても従動部の質量が大きいと慣性によってカムフォロワーがジャンプすることがあります。

といってスプリングを強くすると駆動アクチュエータに大きな負荷がかかるなどよくない場合もあるので注意が必要です。

次回はカム曲線の正規化とその他の目的のカムについて概説します。

 

「生産性向上とメカトロニクス技術講座」バックナンバー

  1. 本講座の目次
  2. 生産設備の構成要素(1)工場はすべて作業ユニットの集合.....
  3. 生産設備の構成要素(2)作業ユニットは W・T・MACS から成り立つ.....
  4. 生産設備の構成要素(3)フィードバック信号をどこから取ったか.....
  5. 巧妙性実現の手段群(1)メカニズムの速度特性の活用と加速度/直進テーブルの往復動作実験.....
  6. 巧妙性実現の手段群(2)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その1).....
  7. 巧妙性実現の手段群(3)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その2).....
  8. 巧妙性実現の手段群(4)メカニズムの速度特性の活用と加速度/加速度特性の改善と効果
  9. 巧妙性実現の手段群(5)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/自動化システムの 80% は.....
  10. 巧妙性実現の手段群(6)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その1).....
  11. 巧妙性実現の手段群(7)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その2).....
  12. 巧妙性実現の手段群(8)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムによる力特性の活用法
  13. 巧妙性実現の手段群(9)MACS の要素群/アクチュエータの各種と分類
  14. 巧妙性実現の手段群(10)MACS の要素群/コントローラとインターフェイス
  15. 巧妙性実現の手段群(11)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その1)
  16. 巧妙性実現の手段群(12)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その2)
  17. 巧妙性実現の手段群(13) センサによる代替特性検出(その1)
  18. 巧妙性実現の手段群(14) センサによる代替特性検出(その2)
  19. 巧妙性実現の手段群(15) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その1)
  20. 巧妙性実現の手段群(16) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その2)
  21. 巧妙性実現の手段群(17) タイミングチャートからメカニカルカムへ
  22. 巧妙性実現の手段群(18) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その1)
本コラムに関するご意見、お問い合わせ:t-kikaku@shinkawa.co.jp

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株式会社新興技術研究所 熊谷 卓 による「生産性向上とメカトロニクス技術講座」は、クリエイティブ・コモンズ

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