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ホーム > WEBマガジン SHINKAWA Times > メカトロニクス技術講座 > メカトロニクス技術講座 生産性向上の4手法(3)
掲載日:2017年03月07日

3 生産性向上の 4 手法(3)

高速化と併行作業化

※:今月号にて解説

工程分割検討 1

さて、半自動化から全自動化までの 4 段階のシステムを考えましたが、これらのうちどれが有効なのかを検討します。以前もドリリングで試みたように、手作業との作業速度の比較をしてみましょう。

まず上述の手作業について、各工程の時間を想定します。

もちろんここで想定する時間は正確な作業計測によるものではなく、システムの効率を検討するためのごく大雑把な数値です。

① A 部品の向きを整えてワークホルダ(冶具)に取り付ける作業をごく簡単に平均的に 2 秒とします。

② これに B 部品を挿入する工程も 2 秒。

③ 両手起動のスタートボタンでハンマーツールを落下させてカシメる作業を 1 秒。

④ ハンマーヘッドが上昇端に戻ったらカシメられた A+B を取出して製品箱に入れるのも 2 秒とします。

つまり合計でサイクルタイム 7 秒の作業です。

 

これから図の 4 種類の機械を使ってみることにします。

図 3-6 (1)2 ステーション型の場合
①  手前のワークホルダにあるカシメられた A+B の製品を取出し製品箱に入れる:2 秒
②  空になったワークホルダに A 部品を供給する:2 秒
③  その上に B 部品を挿入する:2 秒
④  テーブル回転レバーを手で駆動して180 度回転させるトランスファ動作:1 秒
⑤  上記 ①、②、③ の作業が行われている間に、カシメステーションではもう一つのワークホルダ上のワークにカシメ作業が自動で行われる。これは 1 秒で完了し、手作業時間には影響がないので括弧( )でくくる:(1 秒)

となります。

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図 3-6(1)2 ステーション型

図 3-6 (2)4 ステーション型の場合

作業者は空のワークホルダに A、B 部品を供給するだけでよく、その間にカシメステーションではカシメ作業、取出しステーションでは取出し作業が自動で行われます。

①  手作業でワークホルダに A 部品供給:2 秒
②  手作業で A 部品に B 部品を挿入:2 秒
③  ①、②、の作業時間中にカシメ作業を自動で行う:(1 秒)
④  トランスファは少し速度を上げられる:0.7 秒
⑤  A+B の取出し作業は ①、②、の作業時間中に自動で行われる:(1.5 秒)

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図 3-6(2)4 ステーション型

図 3-6 (3)6 ステーション型の場合
①  手作業でワークホルダに A 部品供給:2 秒
②  B 部品の自動供給装置で A 部品に B 部品を挿入:(1.5 秒)
③  自動カシメ作業:(1 秒)
④  トランスファは更に速度を上げて:0.5 秒
⑤  A+B の自動取出し:(1.5 秒)

vol009_no02_info01_07.jpg

図 3-6(3)6 ステーション型

このような自動化システムの場合、制御系のメインコントローラは図 3-8 のように、トランスファが終わると同時に、その終了信号によって全作業ユニットにスタート信号を一斉に送り、全作業ユニットが同時にスタートします。

作業ユニットはそれぞれ作業を完了次第、終了信号をメインコントローラに返します。作業員も同時に作業を開始し、作業完了すると作業終了信号スイッチを押します。

メインコントローラは作業員を含むすべての終了信号が出揃うまで待って、出揃ったらトランスファのスタート命令を出すのです。

vol009_no03_info01_02.jpg

図 3-8 メインコントローラの役割

従ってこの 6 ステーション型システムでは、B 部品供給、カシメ、A+B 取出しも全部スタートから 1.5 秒以内で終了信号が出て、A 部品供給の手作業、2 秒の終了信号が出ればすべての終了信号が出揃うので、直ちにトランスファを開始し、0.5 秒で次のサイクルに移ります。したがってこのシステムのサイクルタイムは 2.5 秒となり、手作業の 7.0 秒より大分速くなっています(生産速度 2.8 倍)。

(このほかにチェックユニットもありますが、これも 1.5 秒以内に作業は終了すると思われるのでサイクルタイムに影響はありません。)

 

このようにして想定した各システムのサイクルタイムを表 3-1 に示します。

図 3-6(4)のシステムでは作業員の時間はありませんが、A 部品の供給を含めてすべて自動化されたユニットなので 1.5 秒以内に終了信号が出揃うと想定して、これにトランスファ 0.5 秒を足してサイクルタイム 2.0 秒となります(生産速度 3.5 倍)。

表 3-1 各システムのサイクルタイム

 番号  工程内容  手作業  図 3-6
 (1)  (2)  (3)  (4)
 1  A 部品供給  2 秒  2 秒  2 秒  2 秒  (1.5 秒)
 2  B 部品供給  2 秒  2 秒  2 秒  (1.5 秒)  (1.5 秒)
 3  トランスファ  -  1 秒  0.7 秒  0.5 秒  0.5 秒
 4  カシメ作業  1 秒  (1 秒)  (1 秒)  (1 秒)  (1 秒)
 5  A+B 取出し  2 秒  2 秒  (1.5 秒)  (1.5 秒)  (1.5 秒)
 サイクル合計  7.0 秒  7.0 秒  4.7 秒  2.5 秒  2.0 秒
 評価  -  ×  △

 

この結果で見ると、図 3-6(1)のシステムは装置を導入してもサイクルタイムは少しも短くならず、投じた金額は無駄になりそうです。

表の一番下の「評価」欄で見ると、

「わかった、2 部品の簡単な自動組立には(3)、(4)のようなシステムが有効なんだ!」となりそうですが、ちょっと待ってください。

 

今回の例はカシメ作業を一回のハンマー動作で完了としましたが、次回は条件の異なった例として B 部品が壊れやすいガラスやセラミックだった場合を考えてみることにします。

「生産性向上とメカトロニクス技術講座」バックナンバー

  1. 本講座の目次
  2. 生産設備の構成要素(1)工場はすべて作業ユニットの集合.....
  3. 生産設備の構成要素(2)作業ユニットは W・T・MACS から成り立つ.....
  4. 生産設備の構成要素(3)フィードバック信号をどこから取ったか.....
  5. 巧妙性実現の手段群(1)メカニズムの速度特性の活用と加速度/直進テーブルの往復動作実験.....
  6. 巧妙性実現の手段群(2)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その1).....
  7. 巧妙性実現の手段群(3)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その2).....
  8. 巧妙性実現の手段群(4)メカニズムの速度特性の活用と加速度/加速度特性の改善と効果
  9. 巧妙性実現の手段群(5)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/自動化システムの 80% は.....
  10. 巧妙性実現の手段群(6)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その1).....
  11. 巧妙性実現の手段群(7)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その2).....
  12. 巧妙性実現の手段群(8)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムによる力特性の活用法
  13. 巧妙性実現の手段群(9)MACS の要素群/アクチュエータの各種と分類
  14. 巧妙性実現の手段群(10)MACS の要素群/コントローラとインターフェイス
  15. 巧妙性実現の手段群(11)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その1)
  16. 巧妙性実現の手段群(12)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その2)
  17. 巧妙性実現の手段群(13) センサによる代替特性検出(その1)
  18. 巧妙性実現の手段群(14) センサによる代替特性検出(その2)
  19. 巧妙性実現の手段群(15) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その1)
  20. 巧妙性実現の手段群(16) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その2)
  21. 巧妙性実現の手段群(17) タイミングチャートからメカニカルカムへ
  22. 巧妙性実現の手段群(18) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その1)
  23. 巧妙性実現の手段群(19) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その2)
  24. 巧妙性実現の手段群(20) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その3)
  25. 巧妙性実現の手段群(21) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その4)
  26. 生産性向上の4手法(1) 高速化と併行作業化/動作のスピードアップ・無駄時間の削減
  27. 生産性向上の4手法(2) 高速化と併行作業化/工程分割(その1)
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株式会社新興技術研究所 熊谷 卓 による「生産性向上とメカトロニクス技術講座」は、クリエイティブ・コモンズ

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