• 事業所一覧
  • お問い合わせ
  • ENGLISH
  • ホーム
  • 取扱商品
  • 事業内容
  • ソリューション事例
  • 会社情報
  • 採用情報
ホーム > WEBマガジン SHINKAWA Times > メカトロニクス技術講座 > メカトロニクス技術講座 フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(4)
掲載日:2017年09月05日

4 フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(4)

世界で活躍するソフトウエアカム

【Sin カーブの動作特性を実現するソフトウエアカム(1)】

図 4-10A は、以前も紹介したメカニズム「スコッチヨーク」の幾何学図で、クランクアームの回転によって往復直進出力が得られますがその動作特性曲線は正しい正弦曲線(Sin カーブ)となるものです。

上死点を原点としてクランクアームの回転角 \(\theta\) と直進出力 \(S\) の関係は

 

\(S = R(1-\cos\theta)\) ・・・・(4-1)

 

となり、この動作をカムで実現した場合のカム曲線は図 4-10C のようになりますが、これをクランクアームの半回転で考えると、

 

スタート時 \(t = 0\) で \(cos\theta = -1\)

前進端では \(t = \pi\) で \(cos\theta = 1\)

 

となります。

vol009_no09_info01_02.jpg

 

図 4-10A Sin カーブの動作特性曲線をもつスコッチヨーク

ここではこの動作特性曲線を図 4-10B のようにステッピングモータ(またはサーボモータ)と送りねじによって実現するソフトウエアカム・システムを考えてみます。

図 4-10B のシステムでは、ステッピングモータで送りねじを回転するだけなので、一定ピッチでパルスを送るとツールは一定速度で進むだけです。そこで図 4-10C で分かる通りパルスを送り込む時間間隔を \(\varDelta T_1、\varDelta T_2、\varDelta T_3\) ・・・と次第に短くして速度を上げ、途中から速度を下げて最後は \(\varDelta T_N\) と低速にしています。

vol009_no09_info01_03.jpg

 

図 4-10B Sin カーブの動作特性曲線をソフトウエアカムで実現

vol009_no09_info01_04.jpg

 

図 4-10C Sin カーブのカム曲線をステッピング駆動で作った例

以下、この駆動システムのポイントとなる \(\varDelta T_1、\varDelta T_2、\varDelta T_3\) ・・・の作り方について解説します。

【Sin カーブの動作特性を実現するソフトウエアカム(2)】

図 4-10C では、最大ストローク \(S\) を、最大時間 \(T\) で移動しているので、カム曲線の正規化の考え方と同様、それぞれの範囲を \(0~1\) と置いて、直進出力 \(S\) とそれに要する時間 \(T\) について

 

\(S = R(1-\cos T)\) ・・・・(4-2)

 

と定義していいでしょう。

しかし一つ問題があります。\(S\) が \(T\) の関数になった式 4-2 は、本来、時間軸 \(T\) が均等に進む場合のもので、図 4-10C のグラフでは時間軸が不均等でストローク軸の方が均等になっています。

となると式 4-2 ではなく、図 4-10D のように \(T\) と \(S\) とを入れ替えた「逆関数」にしなければなりません。

パルスの出力時刻 \(T\) が移動量 \(S\) の関数で表わされるわけです。

 

\(T = \cos^{-1} \left( 1 - \displaystyle \frac{S}{R}\right)\) ・・・・(4-3)

 

ここでストローク \(S\) を \(N\) パルスで進むと考えると、スコッチヨークのストロークの最大値はクランク半径 \(R\) の 2 倍ですから \(S = 2R\) で、\(R = 50mm\) の場合、 \(S = 100mm\) となり、

 

\(\varDelta s = \displaystyle \frac{S}{N} = \frac{2R}{N}\)・・・・(4-4)

 

となります。

例えばステッピングモータの \(1\) パルスごとに \(\varDelta s = 0.1mm\) ずつ進むとすると、全体では

 

\(N = \displaystyle \frac{S}{\varDelta s} = \frac{100(mm)}{0.1(mm)} = 1000\)

 

で \(1000\) パルス駆動することになります。

vol009_no09_info01_05.jpg

図 4-10D Sin カーブのカム曲線の逆関数表示

式 4-3 に式 4-4 を代入すると、\(i\) 番目のパルス送出時刻 \(Ti\) は、

 

\(Ti = cos^{-1} \left(1 - \displaystyle \frac{i\varDelta s}{R}\right) = cos^{-1} \left(1 - \displaystyle \frac{2i}{N}\right)\) ・・・・(4-5)

 

となります。

例えばコンピュータ内の時計を頼りに、これで指定された時刻に \(1\) 番目、\(2\) 番目、・・ \(i\) 番目・・\(1000\) 番目のパルスを出力すればいいはずです。

しかし、逆関数表示の図 4-10D のような形で、\(\varDelta T_1\) から \(\varDelta T_{1000}\) までの「パルス出力の時間間隔」を決定して、それに従って全部で \(1000\) パルス出力する方式が自由度が高いので多く使われているようです。

 

\(i\) 番目のパルス出力の時間間隔 \(\varDelta Ti\) は、\(i\) 番目のパルス出力時刻から \(i-1\) 番目のパルス出力時刻を差し引いた時間差となります。すなわち

 

\(\varDelta Ti = cos^{-1} \left(1 - \displaystyle \frac{2i}{N}\right) - cos^{-1} \left(1 - \displaystyle \frac{2(i-1)}{N}\right)\) ・・・・(4-6)

 

となります。

\(N = 1000\) として \(1000\) パルスの全データをここに掲載するのは困難なので、簡略化して \(N = 50\) と置いた場合のデータサンプルを、一覧表にしたのが表 4-1 です。\(50\) ステップのソフトウエアカムではとても「Sin 曲線」とはならず、「階段」になってしまいますが、この表の示す意味を解説します。

表 4-1 \(N = 50\) とした場合のタイムデータの例

(\(T(Max)=1\) の場合)

パルス

番号

\(i\)

パルス出力

時刻係数

\(Ti\)

パルス出力

時間間隔係数

\(\varDelta Ti\)

\(0.02ms\)

のデクリメント数

0.0903  0.09033  4,517 
0.1282  0.03785  1,893 
0.1575  0.02935  1,468 
0.1826  0.02501  1,251 
0.2048  0.02228  1,114 
0.2252  0.02037  1,018 
 7  0.2441  0.01894  947 
0.2620  0.01784  892 
0.2789  0.01695  848 
10  0.2952  0.01623  812 
11  0.3108  0.01563  782 
12  0.3259  0.01513  757 
13  0.3406  0.01470  735 
14  0.3550  0.01434  717 
15  0.3690  0.01403  702 
16  0.3828  0.01377  688 
17  0.3963  0.01354  677 
18  0.4097  0.01335  667 
19  0.4229  0.01319  659 
20  0.4359  0.01305  653 
21  0.4489  0.01294  647 
\(\vdots\) \(\vdots\) \(\vdots\) \(\vdots\)
48  0.8718  0.02935  1,468 
49  0.9097  0.03785  1,893 
50  1.0000  0.09033  4,517 

 

blue_02.png

vol009_no09_info01_06s.jpg

この表の左端の列はパルス番号で、第 \(1\) パルスから第 \(50\) パルスまであり、2 列目は式 4-5 の \(Ti\) に相当する各パルスの無次元出力時刻係数で \(T(Max)\) は \(1.00\) となっています。

この係数をそのまま「秒」と置くと、この表では \(10\) パルス目はスタート信号を受けてから \(0.2952\) 秒後、\(20\) パルス目を \(0.4359\) 秒後、最終の \(50\) パルス目を \(1.0000\) 秒後に出力することになります。

3 列目は式 4-6 の \(\varDelta Ti\) に相当する出力パルスの時間間隔係数で、上記と同様にそのまま「秒」と置くと、スタート信号を受けてから \(0.09033\) 秒で最初のパルスを出力し、その後 \(0.03785\) 秒で次のパルスを送出する・・・というように進めるわけです。

この時間間隔 \(\varDelta Ti\) は、\(1\) パルス出力後、コンピュータのタイマーで必要な時間 \(\varDelta Ti\) だけ待ってから次のパルスを出力するわけで \(\varDelta Ti\) が大きければ待ち時間が長いので低速駆動、小さければ高速駆動となります。

つまり、この \(\varDelta Ti\) の一覧表がカム曲線実現のためのインフォーメーションであり、これが「ソフトウエアカム」そのものなのです。

 

なお、右端(4 列目)の値は、コンピュータのタイマーループの条件を想定してみた実用上の値の例で、使用するコンピュータの条件によって変わりますが、いわば「ソフトウエアカムのタイマー動作の実用値」の例となります。

次回はソフトウエアカムのタイマー動作について述べます。

「生産性向上とメカトロニクス技術講座」バックナンバー

  1. 本講座の目次
  2. 生産設備の構成要素(1)工場はすべて作業ユニットの集合.....
  3. 生産設備の構成要素(2)作業ユニットは W・T・MACS から成り立つ.....
  4. 生産設備の構成要素(3)フィードバック信号をどこから取ったか.....
  5. 巧妙性実現の手段群(1)メカニズムの速度特性の活用と加速度/直進テーブルの往復動作実験.....
  6. 巧妙性実現の手段群(2)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その1).....
  7. 巧妙性実現の手段群(3)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その2).....
  8. 巧妙性実現の手段群(4)メカニズムの速度特性の活用と加速度/加速度特性の改善と効果
  9. 巧妙性実現の手段群(5)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/自動化システムの 80% は.....
  10. 巧妙性実現の手段群(6)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その1).....
  11. 巧妙性実現の手段群(7)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その2).....
  12. 巧妙性実現の手段群(8)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムによる力特性の活用法
  13. 巧妙性実現の手段群(9)MACS の要素群/アクチュエータの各種と分類
  14. 巧妙性実現の手段群(10)MACS の要素群/コントローラとインターフェイス
  15. 巧妙性実現の手段群(11)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その1)
  16. 巧妙性実現の手段群(12)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その2)
  17. 巧妙性実現の手段群(13) センサによる代替特性検出(その1)
  18. 巧妙性実現の手段群(14) センサによる代替特性検出(その2)
  19. 巧妙性実現の手段群(15) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その1)
  20. 巧妙性実現の手段群(16) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その2)
  21. 巧妙性実現の手段群(17) タイミングチャートからメカニカルカムへ
  22. 巧妙性実現の手段群(18) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その1)
  23. 巧妙性実現の手段群(19) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その2)
  24. 巧妙性実現の手段群(20) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その3)
  25. 巧妙性実現の手段群(21) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その4)
  26. 生産性向上の4手法(1) 高速化と併行作業化/動作のスピードアップ・無駄時間の削減
  27. 生産性向上の4手法(2) 高速化と併行作業化/工程分割(その1)
  28. 生産性向上の4手法(3) 高速化と併行作業化/工程分割(その2)
  29. 生産性向上の4手法(4) 高速化と併行作業化/工程分割(その3)
  30. 生産性向上の4手法(5) 高速化と併行作業化/工程分割(その4)・マルチツーリング
  31. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(1) 同一品種のための同一動作・ワーク側の斉一性に頼ったシステム/メカニカルカムの機能の抽象化と再具現化・力と情報の分離
  32. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(2) インフォーメーションカムの導入と活用
  33. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(3) ソフトウエアカムの内容と導入手法
本コラムに関するご意見、お問い合わせ:t-kikaku@shinkawa.co.jp

Creative Commons License

株式会社新興技術研究所 熊谷 卓 による「生産性向上とメカトロニクス技術講座」は、クリエイティブ・コモンズ

表示 - 非営利 - 継承 2.1 ライセンスの下に提供されています。

Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 2.1 Japan License

$\rm\LaTeX$