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ホーム > WEBマガジン SHINKAWA Times > メカトロニクス技術講座 > メカトロニクス技術講座 フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(5)
掲載日:2017年10月03日

4 フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(5)

世界で活躍するソフトウエアカム

【ソフトウエアカムのタイマー動作】

コンピュータ内でのタイマーは言うまでもなく次のような動作となります。

例えば、タイムデータを取り込んで、プログラム上でそのタイムデータから \(1\) を引き算し、結果がゼロになったかどうかをチェックして、まだであればもう一回 \(1\) を差引くという「デクリメント動作」のループを繰り返して、最後に丁度ゼロになったら、次の \(1\) パルスを出力し、同時に次のタイムデータを取り込む・・・というような動作を、ここでは \(1000\) パルス分(表 4-1 の場合は \(50\) パルス分)繰り返すことになります。(最も簡単なプログラムの例を図 4-11 に示します)

勿論このデクリメント動作はコンピュータの処理速度やプログラムの作り方によって一回のループ動作に要する時間 \(TL\) が大きく変わります。

 

表 4-1 の右端の列は一回の「デクリメント動作」が

 

\(TL=0.02ms\)

 

を要すると仮定して上述のように \(50\) パルスを \(1\) 秒で出力する \(\varDelta Ti\) の実時間にするためのデクリメント回数です。この場合全体のデクリメント回数の総数は \(50,000\) となり \(0.02ms\) ずつなので全体で \(1\) 秒となっています。

これがソフトウエアカムの「実駆動タイムデータ」になるわけです。

vol009_no10_info01_02.jpg

 

図 4-11 タイムデータに沿った

パルス出力をするプログラム例

表 4-2  \(N = 1000\) パルスの Sin カーブ速度特性を実現するソフトウエアカムのタイムデータ例のうち、

 最初の \(30\) パルス(左表)、中央の \(30\) パルス(右表上)、最後の \(30\) パルス(右表下)を示す

パルス

番号
\(i\)

 

変位


\(S(mm)\)

0.1 

無次元

時刻
\(Ti\)

 

無次元

時間間隔
\(\varDelta Ti\)

 

速度


\(V\)

 

デクリメント

係数
\(TL(ms)\)

0.02

 0 
0.10  0.020135  0.020135  4.90  1,007 
0.20   0.028480  0.008345   11.98  417 
0.30  0.034887  0.006407  15.61  320 
0.40  0.040290  0.005404  18.51  270 
0.50  0.045053  0.004763  20.99  238 
0.60  0.049362  0.004308  23.21  215 
0.70  0.053326  0.003964  25.23  198 
0.80  0.057017  0.003691  27.09  185 
0.90  0.060486  0.003469  28.83  173 
10  1.00  0.063769  0.003283  30.46  164 
11  1.10  0.066892  0.003124  32.01  156 
12  1.20  0.069878  0.002986  33.49  149 
13  1.30  0.072744  0.002866  34.90  143 
14  1.40  0.075503  0.002759  36.25  138 
15  1.50  0.078166  0.002663  37.55  133 
16  1.60  0.080743  0.002577  38.80  129 
17  1.70  0.083242  0.002499  40.02  125 
18  1.80  0.085670  0.002428  41.19  121 
19  1.90  0.088032  0.002362  42.33  118 
20  2.00  0.090334  0.002302  43.44  115 
21  2.10  0.092581  0.002246  44.51  112 
22  2.20  0.094776  0.002195  45.56  110 
23  2.30  0.096922  0.002146  46.59  107 
24  2.40  0.099024  0.002101  47.59  105 
25  2.50  0.101083  0.002059  48.57  103 
26  2.60  0.103102  0.002019  49.52  101 
27  2.70  0.105084  0.001982  50.46  99 
28  2.80  0.107030  0.001947  51.37  97 
29  2.90  0.108943  0.001913  52.27  96 
30  3.00  0.110825  0.001881  53.10  94 
速度特性が正確に Sin カーブなので最初の \(30\) パルスのタイムデータを逆順にすると最後の \(30\) パルスのタイムデータと同じになる。

blue_02.png

vol009_no10_info01_03s.jpg

(上表)\(1000\) パルスの半分 \(500\) パルス\((T=0.5)\)のところが Sin カーブの中央部分で、最高速となりタイムデータは最小値を示す。

(下表)速度特性が正確に Sin カーブなので最初の \(30\) パルスのタイムデータを逆順にすると最後の \(30\) パルスのタイムデータと同じになる。

表 4-2 は、上記の通り全体を \(1000\) パルスで駆動する Sin カーブ特性のソフトウエアカムの一連のデータのうち、最初の \(30\) パルス、中間の \(30\) パルス、最後の \(30\) パルスの部分だけを抜粋したものです。

配置は表 4-1 と同様で左端から、パルス番号、パルス出力時刻(無次元)、パルス出力時間間隔(無次元)で、右端がデクリメント一回につき \(0.02ms\) かかるとした場合の「実駆動タイムデータ」です。

\(1000\) パルス分のタイムデータから逆に算定した速度特性と変位特性は図 4-12 の通りで Sin カーブの特性がよく表れています。(算定は Excel の VBA などにより比較的簡単にできます)

vol009_no10_info01_04.jpg

図 4-12 \(N=1000\) パルスの Sin カーブ速度特性を実現するソフトウエアカムの変位特性と速度特性

【ソフトウエアカム曲線の部分使用】

ソフトウエアカムの大きな利点として「品種切換えの容易化によるフレキシビリティ」を挙げましたが、もう一つ、「ストローク変更のフレキシビリティ」もあります。

表 4-2 に \(1000\) パルス分全部のデータが掲載されていると想像してください。

これに従ってそのままパルス出力すると、ストロークは丁度 \(100mm\) でツールは \(100mm\) 駆動されます。

これに対し、ストロークを \(220mm\) とすることを考えてみます。

システム構成は図 4-10B の通り、ステッピングモータと送りねじだけなので、パルスさえ与えればストロークは自由になります。

そこで、例えば最初の \(500\) パルスを表 4-2 の \(1\) から \(500\) パルスに従って出力し、\(501\) から \(1700\) パルスまでデクリメント数 \(32\) の最高速のまま走らせ、\(1701\) パルスから \(2200\) パルスまでは再び表 4-2 の \(501\) パルスから \(1000\) パルスまでのタイムデータに沿って駆動すれば、最初の \(50mm\) で加速、その後の \(120mm\) を最高速で走り、最後の \(50mm\) で次第に減速して停止する「末端減速特性で \(220mm\) 走行する一軸のロボットシステム」になるわけです。

つまり、全体のパルス数を任意に指定することで、システムのストロークはいかようにでも設定できる「ストローク変更のフレキシビリティ」を持っているのです。(ストロークが小さすぎる場合は別の工夫が必要です)

 

現在世界中のロボットシステムの大部分がこの考え方で、例えば[スタート→増速時]と[減速→停止時]には変形正弦曲線や変形台形曲線などで加速/減速し、中間は最高速で走る、といった駆動方式を採用しているのです。

 

図 4-13 は、この駆動方式による一軸ロボットの駆動速度特性の一例です。

立上りと立下り部分が変形正弦曲線によるもので、中間の水平直線部分は変形正弦曲線の最高速で等速走行しています。

全体のストロークの大小によってこの水平部分の長さが変わるだけで、変形正弦曲線特性部分は常に一定の末端減速特性を実現します。

vol009_no10_info01_05.jpg

図 4-13 加速部と減速部に変形正弦曲線のソフトウエアカムを用いた一軸ロボットの速度特性例

現在、直交座標型ロボットだけでなく、円筒座標型、多関節型など多くの種類のロボットにこの考え方のソフトウエアカムによる末端減速手法が適用され、世界中で稼働しているのです。

さて、以前、2 巧妙性実現の手段群のうち 2-4 で述べた「メカニカルカムの使用目的別分類と機能」を思い出してください。

 

メカニカルカムの使用目的・機能を分類してみると:

( 1 )巧妙性模倣型カム

( 2 )Point to Point 型カム

( 3 )数式実現型カム

( 4 )動作拡大・縮小型カム

のようになります、と述べました。

これらのうち、上述したソフトウエアカムの作成手法は、数式表現できるものが対象で、( 1 )の「巧妙性模倣型カム」のように数式表現のできない動作はこの手法ではうまくいきそうもありません。

一見、巧妙性模倣と思われるティーチング手法がありますが、その大部分は動作途中の通過点を記憶させるもので、通過点から次の通過点までは上述の数式表現可能な末端減速特性で動作し、本当の巧妙性作業の実現にはなっていないと言えます。

ではどうすれば巧妙性模倣のソフトウエアカムができるでしょうか?

ここで改めて「ピクチャーカム」が登場することになります。

以前述べた通り、巧妙性動作を模倣するのはピクチャーカムが便利でした。

したがってピクチャーカムからうまくソフトウエアカムを作れれば、本当の巧妙性を持たせたソフトウエアカムになる可能性がありそうです。

次回はピクチャーカムとソフトウエアカムとの関連について述べます。

「生産性向上とメカトロニクス技術講座」バックナンバー

  1. 本講座の目次
  2. 生産設備の構成要素(1)工場はすべて作業ユニットの集合.....
  3. 生産設備の構成要素(2)作業ユニットは W・T・MACS から成り立つ.....
  4. 生産設備の構成要素(3)フィードバック信号をどこから取ったか.....
  5. 巧妙性実現の手段群(1)メカニズムの速度特性の活用と加速度/直進テーブルの往復動作実験.....
  6. 巧妙性実現の手段群(2)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その1).....
  7. 巧妙性実現の手段群(3)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その2).....
  8. 巧妙性実現の手段群(4)メカニズムの速度特性の活用と加速度/加速度特性の改善と効果
  9. 巧妙性実現の手段群(5)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/自動化システムの 80% は.....
  10. 巧妙性実現の手段群(6)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その1).....
  11. 巧妙性実現の手段群(7)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その2).....
  12. 巧妙性実現の手段群(8)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムによる力特性の活用法
  13. 巧妙性実現の手段群(9)MACS の要素群/アクチュエータの各種と分類
  14. 巧妙性実現の手段群(10)MACS の要素群/コントローラとインターフェイス
  15. 巧妙性実現の手段群(11)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その1)
  16. 巧妙性実現の手段群(12)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その2)
  17. 巧妙性実現の手段群(13) センサによる代替特性検出(その1)
  18. 巧妙性実現の手段群(14) センサによる代替特性検出(その2)
  19. 巧妙性実現の手段群(15) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その1)
  20. 巧妙性実現の手段群(16) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その2)
  21. 巧妙性実現の手段群(17) タイミングチャートからメカニカルカムへ
  22. 巧妙性実現の手段群(18) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その1)
  23. 巧妙性実現の手段群(19) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その2)
  24. 巧妙性実現の手段群(20) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その3)
  25. 巧妙性実現の手段群(21) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その4)
  26. 生産性向上の4手法(1) 高速化と併行作業化/動作のスピードアップ・無駄時間の削減
  27. 生産性向上の4手法(2) 高速化と併行作業化/工程分割(その1)
  28. 生産性向上の4手法(3) 高速化と併行作業化/工程分割(その2)
  29. 生産性向上の4手法(4) 高速化と併行作業化/工程分割(その3)
  30. 生産性向上の4手法(5) 高速化と併行作業化/工程分割(その4)・マルチツーリング
  31. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(1) 同一品種のための同一動作・ワーク側の斉一性に頼ったシステム/メカニカルカムの機能の抽象化と再具現化・力と情報の分離
  32. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(2) インフォーメーションカムの導入と活用
  33. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(3) ソフトウエアカムの内容と導入手法
  34. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(4) Sin カーブの動作特性を実現するソフトウエアカム
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株式会社新興技術研究所 熊谷 卓 による「生産性向上とメカトロニクス技術講座」は、クリエイティブ・コモンズ

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