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ホーム > WEBマガジン SHINKAWA Times > メカトロニクス技術講座 > メカトロニクス技術講座 フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(6)
掲載日:2017年11月07日

4 フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(6)

ピクチャーカム・ソフトウエアカム・コンバータ

前回述べた通り、巧妙性動作を模倣するのに最も便利なピクチャーカムを、数式表現しないままで、うまくソフトウエアカムに作り込めれば、本当の巧妙性を持たせたソフトウエアカムになる可能性があります。

例えば高精度の画像センサなどを用いて図 4-14 のピクチャーカムの曲線を撮影し、数式とは無関係に「絵として」$\varDelta T_1、\varDelta T_2、\varDelta T_3$・・・の幅を寸法測定すればその一覧表がソフトウエアカムのデータになると考えてもいいわけですが、現実には高精度光学系の設定やピクセル数から実駆動パルス数への変換などかなり面倒です。

そこで、自動的に精度よくピクチャーカムを読み込み、これをソフトウエアカムに変換する手法として実駆動系を活用したピクチャーカム・ソフトウエアカム・コンバータが有効なのです。

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図 4-14 ピクチャーカム読み込み動作

【ピクチャーカム・ソフトウエアカム・コンバータの動作】

ピクチャーカムからソフトウエアカムを作成するということは、図 4-14 で考えると出力軸(S 軸)において、現在位置から次の 1 ステップ前進出力(または後退出力)を与えるまでの時間間隔、例えば $\varDelta T_3$、をピクチャーカム上で算定することです。そのためには図で T 軸方向にピクチャーカムを駆動する機構と、カムのヘリを検出するための光電センサを載せた S 軸方向の駆動機構とが必要で、両方の駆動軸は直交していなければばりません。

(参照:特許第 2603167 号ピクチャーカム変換装置)

 

それには、図 4-15 のように駆動の分解能と最大ストロークの自由度を考えて S 軸を送りねじで駆動し、T 軸をステッピングモータ駆動のベルトにしてこれにピクチャーカムを乗せるのが、往年、高度職業能力開発促進センターで行われていた研修での実習システム構成の一例ですが、ここでは特許内容にある「直交するように配置された 2 軸」を最も簡便に構成できる XY テーブル(図 4-16)を用いることにします。

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2   ベルトコンベア

3   サーボモータ

6   インターフェイス盤

7   光電センサ

8   直進テーブル

9   送りねじ

10 ステッピングモータ

12 パーソナルコンピュータ

P   ピクチャーカム

CL カム曲線

図 4-15 ピクチャーカムの読み込みシステムの一例

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図 4-16 ピクチャーカムの読み込み用 XY テーブルの一例

ただしピクチャーカムの最大傾斜角が強い場合を考慮して T 軸の分解能を稼ぐために T 軸を 1/3 に減速してあります(一般に最大傾斜角が 45 度を超えると光電センサの感度領域の関係から精度が保ちにくくなります)。

しかし、図 4-17(B)のようにピクチャーカムの曲線の T 軸側を伸長したものにして最大傾斜角 $\theta_{MAX}$ を小さくすればこの減速機構は無くても済みます。

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図 4-17 ピクチャーカムの T 軸を延長して最大傾斜角 $\theta_{MAX}$ を小さくした例

図(A)と図(B)とは全く同じ駆動特性のピクチャーカムですが、図(B)の方は T 軸を伸ばしてあるので最大傾斜角 $\theta_{MAX}$ が小さくなっているのが分かります。

通常の XY テーブルで読み込むには図(B)の方が高精度に読み込めるので有効です。

 

さてここで述べるピクチャーカムの読み込みシステムは「ピクチャーカム・ソフトウエアカム・コンバータ」と名付けられています。

そのピクチャーカムの読み込み動作は、感覚的には図 4-14 の中で $\varDelta Ti$ の幅の中に何本の縦線が引けるか、を調べるのと同じですが実務的にはいささか工夫が必要なのです。

 

単純に考えれば、S 軸を 1 ステップ進めて S 軸の光電センサが OFF になってから、T 軸をわずかずつステップ駆動し、光電センサが再び ON するまでの時間(T 軸ステップ数)を数えればいいはずですが、ピクチャーカムが上り坂部分なのか下り坂部分なのかを自動判定しなければなりません。

もし下り坂部分であればいくら T 軸を進めても光電センサは ON にはなりません。その場合は逆に S 軸を 1 ステップ後退させて、光電センサは ON の状態のままで、T 軸を駆動していって光電センサが OFF になる直前を検出する必要があるのです。

当然このやり方ではメカニズムのバックラッシュや光電センサのヒステリシス(OFF → ON と ON → OFF との検出レベル差)があるので読取り誤差も大きくなり実用にはなりません。

そのため、操作は複雑になりますが実用上は次のようにします。

( 1 ) まず、S 軸を大きく(例えば $8$ ステップ)後退させ、光電センサを OFF させてから
( 2 ) T 軸を $1$ ステップ進めて $T$ ステップ$=1$ を記憶します
( 3 ) 再び S 軸を光電センサが ON するまで前進させて
( 4 ) 光電センサが再び ON するまでの駆動ステップ数を数えて
( 5 ) もし $8$ ステップだったらもう一度( 1 )に戻って同じ動作を繰り返し、その都度 $T$ ステップの記憶に $1$ を加えます
( 6 ) もし $7$ ステップ(または $9$ ステップ)だったら $T$ ステップの記憶数を、例えば $\varDelta T_3=T$ ステップとして方向記録を「$+1$」(または「$-1$」)とします

つまり( 1 )の動作でメカニズムのバックラッシュの影響を避けられ、また( 5 )( 6 )の動作で光電センサのヒステリシスの影響を避けられるのです。

 

このように光電センサ後退 → ピクチャーカム T 軸前進 → 光電センサ前進、を繰り返し、仮に 5 回目の光電センサ前進動作で $7$ ステップ目でセンサが ON した場合、S 軸が $1$ ステップ進んだ位置に来たことを表すので、

$\varDelta Ti=5$ として数値を記録し、「$i$ 番目の駆動方向{$+$}」と記録します。

もし $9$ ステップ目でセンサが ON した場合はカムは「下り坂」曲線なので「$i$ 番目の駆動方向{$-$}」の記録とします。

 

その次は改めてこの位置を起点として $8$ ステップ後退から始めます。

こうして記録した「$\varDelta T$ の値」と「駆動方向」との一覧表がソフトウエアカムとなるのです。

 

この読取り方法をフローチャートで表すと図 4-18 ようになります。

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図 4-18 ピクチャーカムソフトウエアカムコンバータのフローチャートの一例

次回は巧妙性実現のためのインフォーメーションカムの活用と問題点を考えます。

「生産性向上とメカトロニクス技術講座」バックナンバー

  1. 本講座の目次
  2. 生産設備の構成要素(1)工場はすべて作業ユニットの集合.....
  3. 生産設備の構成要素(2)作業ユニットは W・T・MACS から成り立つ.....
  4. 生産設備の構成要素(3)フィードバック信号をどこから取ったか.....
  5. 巧妙性実現の手段群(1)メカニズムの速度特性の活用と加速度/直進テーブルの往復動作実験.....
  6. 巧妙性実現の手段群(2)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その1).....
  7. 巧妙性実現の手段群(3)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その2).....
  8. 巧妙性実現の手段群(4)メカニズムの速度特性の活用と加速度/加速度特性の改善と効果
  9. 巧妙性実現の手段群(5)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/自動化システムの 80% は.....
  10. 巧妙性実現の手段群(6)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その1).....
  11. 巧妙性実現の手段群(7)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その2).....
  12. 巧妙性実現の手段群(8)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムによる力特性の活用法
  13. 巧妙性実現の手段群(9)MACS の要素群/アクチュエータの各種と分類
  14. 巧妙性実現の手段群(10)MACS の要素群/コントローラとインターフェイス
  15. 巧妙性実現の手段群(11)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その1)
  16. 巧妙性実現の手段群(12)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その2)
  17. 巧妙性実現の手段群(13) センサによる代替特性検出(その1)
  18. 巧妙性実現の手段群(14) センサによる代替特性検出(その2)
  19. 巧妙性実現の手段群(15) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その1)
  20. 巧妙性実現の手段群(16) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その2)
  21. 巧妙性実現の手段群(17) タイミングチャートからメカニカルカムへ
  22. 巧妙性実現の手段群(18) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その1)
  23. 巧妙性実現の手段群(19) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その2)
  24. 巧妙性実現の手段群(20) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その3)
  25. 巧妙性実現の手段群(21) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その4)
  26. 生産性向上の4手法(1) 高速化と併行作業化/動作のスピードアップ・無駄時間の削減
  27. 生産性向上の4手法(2) 高速化と併行作業化/工程分割(その1)
  28. 生産性向上の4手法(3) 高速化と併行作業化/工程分割(その2)
  29. 生産性向上の4手法(4) 高速化と併行作業化/工程分割(その3)
  30. 生産性向上の4手法(5) 高速化と併行作業化/工程分割(その4)・マルチツーリング
  31. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(1) 同一品種のための同一動作・ワーク側の斉一性に頼ったシステム/メカニカルカムの機能の抽象化と再具現化・力と情報の分離
  32. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(2) インフォーメーションカムの導入と活用
  33. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(3) ソフトウエアカムの内容と導入手法
  34. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(4) Sin カーブの動作特性を実現するソフトウエアカム
  35. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(5) ソフトウエアカムのタイマー動作・ソフトウエアカム曲線の部分使用
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