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ホーム > WEBマガジン SHINKAWA Times > メカトロニクス技術講座 > メカトロニクス技術講座 これから面白くなる自動化の考え方・第4世代のシステムへ(2)
掲載日:2018年02月06日

5 これから面白くなる自動化の考え方・第4世代のシステムへ(2)

第 4 世代のシステムの実例

ロボット関連の展示会などでもわかる通り、現在では多くの生産工程で第 4 世代のシステムが活用されようとしていますが、実稼働例はまだ必ずしも多くはないようです。ここでは古くから実用化されていた第 4 世代のシステムの例として、オルゴールの振動板の自動調律について述べます。

通常、音楽ではメロディーと伴奏部分とで最低 3 オクターブ 36 音必要と言われています。しかし量産型のオルゴールでは発音弁が 18 しかありません(図 5-4 参照)。

そこで、音楽の専門家がそれぞれの曲について上手に編曲して、18 音だけで表現できるようにしてあります。

従ってピアノのように音を順番に並べるのでなく、使わない音をすべて外してその曲に必要な音だけを振動弁として調律します。

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図 5-4 量産型オルゴールのドラムと振動板

つまりピアノでは ド、ド♯、レ、レ♯、ミ、ファ、・・・・のように順番に半音ずつ上がっていますが、例えば曲目「スバル」の場合は ラ、ド、レ、ミ、ソ、ラ、ド でメロディーができるので シ、ド♯、レ♯、ファ、・・・・などは不要です。

逆に「タタタ、ターン」のような同一音の連続の場合は、演奏用ドラムの回転速度が遅いので複数の弁で同一音を発するようにしなければ発音間隔が短くなりません。

この様に、振動弁の音程の並びは曲ごとに変化します。

そこで、「この曲の場合、第 1 弁は ラ、第 2 弁は ド、・・・・に調律せよ」というように曲ごとに調律の内容が指定されるのです。

振動弁の調律工程とは:

振動板の原板は、必要音程より低めの自己振動数を持つように概略調律した 18 本の振動弁を有するもので、図 5-5 のように各振動弁の裏側を削って質量を減らすことで自己振動数を次第に上げて高音にしていきます。

昔はベテラン作業員が手動で削っていました。

ほんの少しでも削り過ぎたらその振動板は不良品になってしまうので細心の注意が必要です。

自動化システムになっても同じ場所を削りますが、きわめて特殊な研削ツールを用います。

 

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図 5-5 オルゴールのドラムと振動板

 

図 5-6A に、18 弁のオルゴールの発音源となる振動板の精密な自動調律工程を示します。

自動調律装置は多数の作業ステーションを持つ大型のロータリテーブルタイプで「工程分割」し、そのうちの 18 箇所のステーションでそれぞれ 1 弁を担当して自動調律するようになっています。

図 5-6A はその自動調律ユニットの基本構成を示しています。

ワークホルダに咥えられた振動板のある一つの振動弁について「発音弁振動駆動及び振動数検出機構」によって振動弁の自己振動数を検出し、これを上位コンピュータから与えられた目標振動数と比較して、どのくらい加工すれば目標振動数になるかを算定して、それに従って加工ユニットを作動させるわけです。

聞いたことのない名曲(?)  迷曲(?)

調律の完了した振動板は確実に分類しておかないと、間違った曲目のドラムと組み合わせてしまうと音楽になりません。

例えば「乙女の祈り」用のドラムに「エリーゼのために」の振動板を組付けてしまうと、全く聞いたことのない曲になってしまいます。

組み合わせ違いで偶然、素晴らしい名曲になる可能性もゼロではありませんが・・・

このような組み合わせミスの不良品は工場では「迷曲不良」と呼ばれています。

加工し過ぎては一挙に不良品になってしまうので、加工の進捗と振動数の変化状況とをにらみ合わせながら、目的の振動数になるまで計測と加工を進めるのです。

従って、最後の仕上がりに近い状態で「あと 4 ヘルツ」となった場合など、加工ツールをどれだけ働かせればいいか極めて難しい判断で、そこに適切なアルゴリズムが必要となります。

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図 5-6A オルゴールの振動板の各振動弁を自動調律するシステム

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図 5-6B オルゴールの振動板の自動調律システムの W・T・MACS

このステーションのシステムをブロック図にすると図 5-6B のようになり、ワークの状態を検出し制御アルゴリズムで制御する第 4 世代のシステムであることが分ります。

 

こう考えると我々の自動化技術はすでに第 4 世代に入ってきていると言えますが、まだそこに必要な「巧妙性導入」についてもう少し問題がありそうです。

次回はベテラン作業員の腕前を再現する第 4 世代の巧妙性取得法について考えることにします。

「生産性向上とメカトロニクス技術講座」バックナンバー

  1. 本講座の目次
  2. 生産設備の構成要素(1)工場はすべて作業ユニットの集合.....
  3. 生産設備の構成要素(2)作業ユニットは W・T・MACS から成り立つ.....
  4. 生産設備の構成要素(3)フィードバック信号をどこから取ったか.....
  5. 巧妙性実現の手段群(1)メカニズムの速度特性の活用と加速度/直進テーブルの往復動作実験.....
  6. 巧妙性実現の手段群(2)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その1).....
  7. 巧妙性実現の手段群(3)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その2).....
  8. 巧妙性実現の手段群(4)メカニズムの速度特性の活用と加速度/加速度特性の改善と効果
  9. 巧妙性実現の手段群(5)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/自動化システムの 80% は.....
  10. 巧妙性実現の手段群(6)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その1).....
  11. 巧妙性実現の手段群(7)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その2).....
  12. 巧妙性実現の手段群(8)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムによる力特性の活用法
  13. 巧妙性実現の手段群(9)MACS の要素群/アクチュエータの各種と分類
  14. 巧妙性実現の手段群(10)MACS の要素群/コントローラとインターフェイス
  15. 巧妙性実現の手段群(11)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その1)
  16. 巧妙性実現の手段群(12)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その2)
  17. 巧妙性実現の手段群(13) センサによる代替特性検出(その1)
  18. 巧妙性実現の手段群(14) センサによる代替特性検出(その2)
  19. 巧妙性実現の手段群(15) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その1)
  20. 巧妙性実現の手段群(16) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その2)
  21. 巧妙性実現の手段群(17) タイミングチャートからメカニカルカムへ
  22. 巧妙性実現の手段群(18) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その1)
  23. 巧妙性実現の手段群(19) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その2)
  24. 巧妙性実現の手段群(20) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その3)
  25. 巧妙性実現の手段群(21) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その4)
  26. 生産性向上の4手法(1) 高速化と併行作業化/動作のスピードアップ・無駄時間の削減
  27. 生産性向上の4手法(2) 高速化と併行作業化/工程分割(その1)
  28. 生産性向上の4手法(3) 高速化と併行作業化/工程分割(その2)
  29. 生産性向上の4手法(4) 高速化と併行作業化/工程分割(その3)
  30. 生産性向上の4手法(5) 高速化と併行作業化/工程分割(その4)・マルチツーリング
  31. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(1) 同一品種のための同一動作・ワーク側の斉一性に頼ったシステム/メカニカルカムの機能の抽象化と再具現化・力と情報の分離
  32. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(2) インフォーメーションカムの導入と活用
  33. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(3) ソフトウエアカムの内容と導入手法
  34. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(4) Sin カーブの動作特性を実現するソフトウエアカム
  35. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(5) ソフトウエアカムのタイマー動作・ソフトウエアカム曲線の部分使用
  36. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(6) ピクチャーカム・ソフトウエアカム・コンバータ
  37. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(7) 巧妙性とフレキシビリティの第 3 世代インフォーメーションカム/品種切換の容易さは実現したが、バラツキ対応は不能
  38. これから面白くなる自動化の考え方・第4世代のシステムへ(1) ベテラン作業員の頭の中はカム曲線の集合か?/W・T の状況に合わせたフィードバックのアルゴリズム
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株式会社新興技術研究所 熊谷 卓 による「生産性向上とメカトロニクス技術講座」は、クリエイティブ・コモンズ

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