• 事業所一覧
  • お問い合わせ
  • ENGLISH
  • ホーム
  • 取扱商品
  • 事業内容
  • ソリューション事例
  • 会社情報
  • 採用情報
ホーム > WEBマガジン SHINKAWA Times > メカトロニクス技術講座 > メカトロニクス技術講座 これから面白くなる自動化の考え方・文学的表現から工学的表現にしてシステムを構築(4)
掲載日:2018年04月03日

5 これから面白くなる自動化の考え方・第4世代のシステムへ(4)

文学的表現から工学的表現にしてシステムを構築

〈 紐切断工程の自動化ビデオ (約25秒)は、このページの最後にあります 〉

【ベテランの説明を技術的に理解する】

ここで、ベテラン作業員に弟子入りしたのはエンジニヤです。

しっかりした技術を持ったエンジニヤが、ベテラン作業員に弟子入りして実際にやってみれば

「ギューッと・・・」とは “袋の口を上方に \(10kgf\) ぐらいの力で引っ張り上げて食い込み部分を伸ばすことで、必要ストロークは \(200mm\) ぐらいである”

「グイッと・・・」とは “さらに、掴んだ袋の口を上に引っ張りながら二回転ぐらい捻じって袋を細く絞ることである。そうすれば紐の食い込みが緩むことになる。しかしバラツキが多いので捻じり用のチャックには末端増力機構は使いにくい” というように内容を技術的に理解できます。

 

つまり、弟子入りして自分でやってみればベテラン作業員の文学的な表現の説明を工学的な表現に変換でき、それで初めて自動化システムに適用できるのです。

そこで設計したシステムは図 5-8A のように、まず袋の口に近い部分を強力に掴み、上に引っ張りながら捻じる機構を用意(準備 1・準備 2 )し、袋の上部を細く絞った状態にしてから V 字型の切込みを持ったセンサプレート 2 枚で挟み、これを上にスライドして紐に引っかかった位置を検出する「紐高さ検出装置」です。

 

これをブロック図にすると図 5-8B のようなバラツキ対応のできるアルゴリズムを持った第 4 世代のシステムになります。

vol010_no04_info01_01.jpg

図 5-8A 袋が絞られて紐の食い込みがやや緩くなるので

センサプレートが引っかかって検出できる

vol010_no04_info01_02.jpg

図 5-8B 図 5-8A のセンサプレート動作のブロック図

これで紐の位置が見つかるとその高さを記憶して、その位置までカッターを移動して紐を絞めている駒の根元を切断しなければなりません。ところが駒の位置は袋の口の周囲 360 度の何処に来るかわかりません。作業員はこの駒の根元に鋏の先を突っ込んでカットしていますが自動化ではこの位置検出は相当厄介と思われます。図からは光電検出できそうに思われますが、現実には、前回の写真でわかる通り紐には駒の何倍も大きな布製のリボンがついていて、これが光電センサの邪魔をするのでうまくいきません。

そこで考えられることは固形物に接触したことを検出する「接触センサ」を周辺で一回りさせる、など、もう一度センサに頼る方法があります。現実に作業員も駒がリボンの陰で見えないときなど、半分手探りで駒を見つけて、そこに鋏を突っ込んでいます。

 

「接触センサ」が駒に当たった位置を見つけて、そこに作業員の鋏に相当するカッターを突っ込めば切断可能であり、実際作業員が行っていることを忠実に再現した工程になるでしょう。

 

ではこれが自動化システムとして最良の方法でしょうか?

vol010_no04_info01_03.jpg

図 5-9A センサプレートが検出した紐位置に

180 度カッターを両側から寄せて全円周をカットする

【ベテランの動作実現か自動化の工夫か】

ここでもう一度考え直してみます。

本来、この自動化システムの目的は「袋の開封」であり「ベテラン作業員の動作の実現」ではないはずです。

エンジニヤが弟子入りしたのは自動化するときに参考にするための巧妙性技法を理論的に学ぶことであって、すべてを模倣するためではありません。作業員の持つ手作業の巧妙性をそのまま実現するより、自動化としてもうひと工夫加えた方が良さそうな場合が往々にしてあるのです。

 

「ひと工夫」の考え方はいろいろあります。

「どこにあるかわからなければセンサで見つける」というのは常道ですが「どこかわからなければ、やみくもに全部やる」という考え方もありそうです。そこで例えば「爪切りのような 30 度幅のカッターを 30 度づつ移動しながら 12 回切れば駒は 360 度どこにあってもいい」ということに気が付きます。

 

つまりセンサを一回りさせるのでなく直接カッターを一回りさせるので、2 度手間になるのを省けます。

となると、爪切りのカッターの刃を 90 度づつ切れるようにすればカッティング動作は 4 回で済む、・・・

180 度づつにすれば 2 回で済む・・・180 度カッターを 2 セット用意して両側から切れば一回で済む!!

となります。(どう考えても 360 度カッターにするわけにはいきません)

 

そこで開発したのが図 5-9A(写真 5-4)に示すような 180 度カッターで、これを左右対称に 2 セット用いたのです。駆動は空気圧シリンダを用い最終端で出力無限大になるトグルを使っています(カッターの方はストロークエンドが定位置なので末端増力機構が使えます)。

写真 5-4 180 度カッターの上刃と下刃

同様のカッターセット(勝手反対)をもう一組用いて 360 度とする

vol010_no04_info01_04.jpg

写真 5-5 に全周カッティングステーションを示します。180 度カッターセット二組を置いて両側から袋の紐のある位置を挟み込んで切断します。

写真 5-5 180 度カッターセット二組を用いて

360 度全周を一挙に切ることで

駒の位置検出を不要とした「カッティングステーション」

vol010_no04_info01_05.jpg

上述のように作業員の鋏を使った手作業をそのまま実現しようとするとセンサによる駒の位置検出を含む第 4 世代のシステムになりますが、この 180 度カッター方式は図 5-9B のように、極めてシンプルな第 1 世代のシステムで済むのです。

vol010_no04_info01_07.jpg

図 5-9B 180 度カッターを両側から寄せて全円周をカットするシステムは第 1 世代の末端減速システムで済む

 

紐切断工程の自動化ビデオ (約25秒)

 

 

次回は第 1 世代から第 4 世代のまとめとその先について考えてみることにします。

「生産性向上とメカトロニクス技術講座」バックナンバー

  1. 本講座の目次
  2. 生産設備の構成要素(1)工場はすべて作業ユニットの集合.....
  3. 生産設備の構成要素(2)作業ユニットは W・T・MACS から成り立つ.....
  4. 生産設備の構成要素(3)フィードバック信号をどこから取ったか.....
  5. 巧妙性実現の手段群(1)メカニズムの速度特性の活用と加速度/直進テーブルの往復動作実験.....
  6. 巧妙性実現の手段群(2)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その1).....
  7. 巧妙性実現の手段群(3)メカニズムの速度特性の活用と加速度/物は加速度で動かされる(その2).....
  8. 巧妙性実現の手段群(4)メカニズムの速度特性の活用と加速度/加速度特性の改善と効果
  9. 巧妙性実現の手段群(5)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/自動化システムの 80% は.....
  10. 巧妙性実現の手段群(6)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その1).....
  11. 巧妙性実現の手段群(7)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムの力特性の活用.....(その2).....
  12. 巧妙性実現の手段群(8)円と直線の組合せが面白い第1世代・ヒンジとスライドのシステム/メカニズムによる力特性の活用法
  13. 巧妙性実現の手段群(9)MACS の要素群/アクチュエータの各種と分類
  14. 巧妙性実現の手段群(10)MACS の要素群/コントローラとインターフェイス
  15. 巧妙性実現の手段群(11)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その1)
  16. 巧妙性実現の手段群(12)制御回路の構成・1 類、2 類、3 類(その2)
  17. 巧妙性実現の手段群(13) センサによる代替特性検出(その1)
  18. 巧妙性実現の手段群(14) センサによる代替特性検出(その2)
  19. 巧妙性実現の手段群(15) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その1)
  20. 巧妙性実現の手段群(16) 巧妙動作のための任意速度特性はメカニカルカムが基本(その2)
  21. 巧妙性実現の手段群(17) タイミングチャートからメカニカルカムへ
  22. 巧妙性実現の手段群(18) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その1)
  23. 巧妙性実現の手段群(19) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その2)
  24. 巧妙性実現の手段群(20) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その3)
  25. 巧妙性実現の手段群(21) メカニカルカムの使用目的別分類と機能(その4)
  26. 生産性向上の4手法(1) 高速化と併行作業化/動作のスピードアップ・無駄時間の削減
  27. 生産性向上の4手法(2) 高速化と併行作業化/工程分割(その1)
  28. 生産性向上の4手法(3) 高速化と併行作業化/工程分割(その2)
  29. 生産性向上の4手法(4) 高速化と併行作業化/工程分割(その3)
  30. 生産性向上の4手法(5) 高速化と併行作業化/工程分割(その4)・マルチツーリング
  31. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(1) 同一品種のための同一動作・ワーク側の斉一性に頼ったシステム/メカニカルカムの機能の抽象化と再具現化・力と情報の分離
  32. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(2) インフォーメーションカムの導入と活用
  33. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(3) ソフトウエアカムの内容と導入手法
  34. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(4) Sin カーブの動作特性を実現するソフトウエアカム
  35. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(5) ソフトウエアカムのタイマー動作・ソフトウエアカム曲線の部分使用
  36. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(6) ピクチャーカム・ソフトウエアカム・コンバータ
  37. フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(7) 巧妙性とフレキシビリティの第 3 世代インフォーメーションカム/品種切換の容易さは実現したが、バラツキ対応は不能
  38. これから面白くなる自動化の考え方・第4世代のシステムへ(1) ベテラン作業員の頭の中はカム曲線の集合か?/W・T の状況に合わせたフィードバックのアルゴリズム
  39. これから面白くなる自動化の考え方・第4世代のシステムへ(2) 第4世代のシステム実例
  40. これから面白くなる自動化の考え方・第4世代のシステムへ(3) 真の巧妙性を駆使するベテラン作業員の説明
本コラムに関するご意見、お問い合わせ:t-kikaku@shinkawa.co.jp

Creative Commons License

株式会社新興技術研究所 熊谷 卓 による「生産性向上とメカトロニクス技術講座」は、クリエイティブ・コモンズ

表示 - 非営利 - 継承 2.1 ライセンスの下に提供されています。

Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 2.1 Japan License

$\rm\LaTeX$