お役立ち情報 導入事例 2024/01/19 電力・ガス LNG/LPGポンプ等の振動統合監視による保全業務の効率化- 広島ガス株式会社 - 概要広島ガス株式会社は、1909年(明治42年)10月30日に創立され、日本のガス事業者として中国地方で最初のガス事業者となって以来、100年以上にわたって地域の皆様とともに歩み続けてきました。現在では、広島市を中心に県内7市とその周辺地域の41万6千戸のお客様に、化石燃料の中で最も環境負荷の小さい天然ガスをお届けしています。 また、近隣事業者との熱交換や高効率コージェネレーションシステムの導入など、省エネにも積極的に取り組んでいます。 瀬戸内名物の宮島をバックに。生産の主力工場である廿日市工場に、各種ポンプの振動統合監視用として当社の加速度トランスデューサや振動解析診断システムを導入いただきました。様々な回転機械の振動統合監視の実現とともに、保全業務の効率化を推進されています。その導入から運用まで広くご尽力いただいたお二方にお話を伺いました。 生産事業部廿日市工場製造グループ課長代理 小足様(右) 生産事業部エンジニアリング部主任 木原様(左) お客様の課題:保全業務の最適化-時間基準保全:TBM(注1)から状態基準保全:CBM(注2)へ-プラント操業において回転機械の故障はガスの安定操業へ影響を与えかねないため、故障させることができません。そのため、回転機械のメンテナンスはメーカー推奨を参考に自社で定めた運転時間を基準として行っています。こうした設備の管理方法をTBMといいますが、TBMでは予防保全として機器が良好に動作している状態で整備を行うため、最適なタイミングでメンテナンスを行うことが課題となっていました。 広島ガスは、回転機器の状態がリアルタイムで監視、把握できれば、CBMにより最適なメンテナンスに繋がるのではないかと考え検討していました。そして、そのヒントは、現場で比較的容易に測定が可能で、解析手法が確立している「振動」にあると考えていました。 注1)TBM(Time Based Maintenance):時間基準でのメンテナンス。故障の有無に関係なく定期的にメンテナンスを実施する考え方。 注2)CBM(Condition Based Maintenance):状態基準でのメンテナンス。機器の状態に応じて必要と判断された時にのみメンテナンスを実施する考え方。 LPG貯槽また、工場内に点在する回転機械はハンディタイプの振動計で巡回点検を実施していましたが、作業者ごとの測定結果のバラツキを改善したいと考えていました。 システム構成システム構成図システムの特徴 LNGポンプ10台: 防爆エリアにあります。他社製の加速度センサが既設となっていたため、既設アンプから信号を取り出し、当社のデータ収集装置(DAQpod)に取り込んでいます。 LPGポンプ4台: 防爆エリアになるため、本質安全防爆タイプの加速度トランスデューサを設置し、同じくDAQpodに取り込んでいます。 温水ポンプ/モータ各5台: 非防爆エリアにあるため、920MHz帯無線式センシングシステム(e-SWiNS)を取り付け、中継器を2台経由しつつ親機まで飛ばしています。 上記の信号を振動診断監視システム(infiSYS RV-200)で一括して連続監視し、振動が閾値を超えると警報を発報する仕組みとなっています。 導入の決め手:振動診断士による手厚いサポートと統合監視の実現新川電機の製品・サービスを選定された理由を伺ってみました。 「有線のセンサも無線のセンサも一括で監視できるところが良かったです。また、今まで振動に関するノウハウがほとんどない状態でしたので、振動診断士(ISO機械状態監視振動技術者)の資格を持った技術者に、振動データの確認・アドバイスをいただける振動診断サービスなど、導入後のサポート体制についても非常に心強く感じています。」 「新川電機さんには振動測定の重要性について丁寧に説明いただきながら、当社設備の管理に最適なシステムをご提案いただきました。製造工場へご案内いただき、セミナーを開催して製品実機を使用しての実測デモをしていただくなど、非常に熱心に対応いただきました。」 ありがたいお言葉をいただきました。 県東部の備後工場へ向けてLNGを輸送します。導入後の効果についてLNGポンプの運転時間を1.25倍まで延長を達成!振動診断サービスによる振動診断士のアドバイスのもと、異常振動の閾値を設定し、振動の連続監視を開始しました。そうすると、LNGポンプの中には推奨運転時間よりも早く異常の兆候を見せ始めたものがありました。 「振動診断サービスでデータを見ていただいたところ、『振動の微増が継続している傾向にあるので引き続き注視していきましょう。』とのアドバイスを得られた、といった事例がありました。振動の連続監視によってトレンドデータが保存できることで、関係者との連携もスムーズにでき、ポンプの挙動に関するノウハウも少しづつ蓄積できてきています。」 圧電型加速度トランスデューサ(有線タイプ:CA-302) 920MHz帯無線式センシングシステム(無線タイプ:e-SWiNS) 振動解析診断システム(infiSYS RV-200) 「そしてLNGポンプの運転時間について「振動診断サービスを利用しながら、ついにその1台を1.25倍まで運転延長することができました。これから運転時間延長によるポンプの摩耗状況を確認するためのメンテナンスを計画し、更なる延長が可能かを判断する予定です。この調子で最終的にLNGポンプとLPGポンプは1.5倍まで運転延長、温水ポンプはCBMを目指します。」 「また、今回の導入でセンサは常設となったので作業者によるバラツキが無くなり、振動値を客観的に見ることができるようになりました。振動の測定に担当者が現場へ赴く必要もなくなったため、保全業務の効率化にもなっています。」 今後の展望最後に今後の展望について伺いました。 「CBMにより保全業務を効率化できることが分かったので、引き続き推進していく計画です。一方で、機械設備の状態を五感で判断する機会が少なくなることを懸念してはいますが、こうした熟練者のノウハウを順次システム化していくことも重要と考えています。今回の取り組みを当社のDX化の第一歩として位置付けており、今後も取り組みを続けていきます。」と、お話しいただきました。 中央監視室広島ガス様は、地域のお客様に安定して都市ガスを供給できるよう取り組んでおり、当社もその一端を担えるよう引き続き各種提案を行っていきます。 インタビューにご協力いただきましてありがとうございました。 お客様情報 会社名 広島ガス株式会社 本社所在地 広島市南区皆実町二丁目7番1号 創立 1909年10月 事業内容 ガス事業、ガス器具の販売、液化天然ガスの販売 広島ガス株式会社様 導入事例 A4版製品情報ポンプ・モータの状態監視用センサ:CAシリーズポンプ・モータの状態監視用センサ:e-SWiNS(920MHz)回転機械の振動解析・診断システム:infiSYS RV-200