2024/04/22 電機・電子・精密 

流量計・液面計メーカとして製品の安定供給への取り組み
- 東京計装株式会社 -

概要

東京計装株式会社は1954(昭和29)年に面積式流量計メーカとして創業し、以来流量計・レベル計の専業メーカとして幅広い産業分野のお客様から多くの支持をいただいています。流量計・レベル計は、さまざまなプラントを安全かつ効率的に運転・管理する上で欠かすことのできない工業計器のひとつで、測定の方式によってたくさんの種類があります。
近年は、プロセスのコントロール、貯蔵タンクの監視、在庫管理などの自動化・省力化を目的に、計測機器の役割は一段と重要性を増し、流量や液面の管理はますます厳密化が要求されています。東京計装は、長年の経験と実績をもとに独自の計測機器の開発をおこない、その技術力によって常に高信頼・高水準・高品質の計装機器の供給に取り組んでいます。

お話を伺った皆さん

製造の主力拠点である横浜工場は、主に面積式流量計の加工・組立・製造・校正などを行う工場で、世界トップクラスのシェアを支えています。製品の更なる安定供給のため、2020年に工場を建て替えました。これを機会に、出荷検査・校正用の重要な設備である揚水ポンプの予防保全として、当社の加速度トランスデューサや設備状態傾向監視用ソフトウェアを導入いただきました。こうした取り組みにリーダーシップをとられている工場長をはじめ、関係者の皆様にお話を伺いました。

 左から
 技術本部 面積式流量計技術部長 田村様
 第二製造部 生産3課長 山口様
 取締役 工場長 丸山様
 ライフサイエンス事業推進部長 古屋様
 理事 小野原様

導入の背景:
-製品の一層の安定供給のために-

面積式流量計の製造工程において、完成した製品の出荷検査や引き取った製品の校正を行う際に、大量の水を使用します。この水は建屋地下の貯水槽から揚水ポンプで屋上の給水タンクへ送り、そこから自然落下で圧力をかけます。建て替え前の従来の工場では、流量計の口径ごとに専用のポンプ1台での運用だったため、揚水ポンプの故障は製品の出荷停止に直結する状態でした。
そのためポンプの点検を定期的に行っていましたが、工場の建て替えと設備入れ替えに併せて、メンテナンスコストの最適化と更なる製品の安定供給のための方法も検討していました。

システムの特徴

揚水ポンプNo.1~No.3
  • 揚水ポンプ(計3台)に加速度トランスデューサ(CA-302)を取り付け、920MHz帯無線式センシングシステム(e-SWiNS)の中継器を経由し、親機まで飛ばしています。
  • 上記の信号を設備状態監視システム(infiSYS3.0)で連続監視し、振動が閾値を超えると警報を発報する仕組みとなっています。

導入の決め手:
-パートナーとしての信頼感と振動診断についての技術力-

新川電機の製品・サービスを選定された理由を伺ってみました。

「新川電機さんは当社の製品を販売していただくお客様でもあり、40年以上のお付き合いですので、パートナーとしてとても信頼しています。今回の横浜工場の建て替えに際して、重要設備である揚水ポンプの予防保全として振動監視の重要性を丁寧に説明・提案いただきました。振動セミナーを開催していただくなど、振動診断に関する技術力の高さを実感しました。」

「また、センサはマグネットで固定でき、配線も無線対応であったことから、建屋やポンプの設計・選定に影響しなかったことも理由に上がりますね。サイトサーベイによって電波状況の確認もしていただいたので、システムの導入は非常にスムーズでした。」

導入後の効果について:
-予防保全への取り組みが企業のイメージアップにー

「従来は日常点検として、ポンプの状態を目や耳で確認していたため、長年の経験が必要であったり担当者によるバラツキがあったりしました。システムの導入によって、ポンプの状態がトレンドデータとして客観的に見えるようになったことが良かったです。トレンドデータを監視・診断することで、設備の予防保全に取り組めるようになりました。」

「更に、工場が新しい事と併せて製品の品質確認などの理由から、工場見学に来社される方が増えています。特にEPCの数社様には新人教育プログラムに当社の工場見学が組み込まれています。そうした方々に、今回のシステムを見せながら設備の予防保全に取り組んでいることを紹介できるため、当社の信頼向上につながっています。」

加速度トランスデューサ
(有線タイプ:CA-302)
920MHz帯無線式センシングシステム
(e-SWiNS中継器)
設備状態監視システム
(infiSYS3.0)

今後の展望:
-予防保全の事例として他の製造工場へ展開-

最後に今後の展望について伺いました。

「会社の方針として面積式流量計の拡販強化が打ち出されており、横浜工場の役割はますます重要になってきています。今は設備も新しく安定稼働しているため、振動データは1日1回トレンドを確認しているにとどまっています。今後は振動閾値の調整や自己診断機能の活用により、予防保全のノウハウを蓄積していきたいと考えています。そのためには、新川電機さんの振動診断士(ISO機械状態監視振動技術者)の協力も引き続き期待しています。
また他の工場についても、振動診断監視システムの導入による予防保全の取り組みを推進していきます。」

東京計装様は、お客様に安定して製品をご提供していくために、設備の予防保全に取り組んでいらっしゃいます。当社もその一端を担えるよう引き続きさまざまな提案をおこなって参ります。

新・横浜工場紹介パネル

インタビューにご協力いただきましてありがとうございました。

お客様情報
会社名 東京計装株式会社
本社所在地 東京都港区芝公園 1-7-24 芝東宝ビル
創業 1954年11月18日
事業内容 各種流量計測機器の製造、販売および保守
陸上用、船舶用液面計測機器の製造、販売および保守

東京計装株式会社様 導入事例 A4版

製品情報

ポンプ・モータの状態監視用センサ:CAシリーズ

ポンプ・モータの状態監視用センサ:e-SWiNS(920MHz)

設備状態監視システム:infiSYS3.0