監視対象の機械設備に設置された無線振動センサ「ZARK Nano」が測定・保存したデータをスマホ※1で回収することができます。スマホを持ってセンサ設置エリア※2を巡回するだけで、対象機械に近づかなくても、簡単にかつ安全にデータを収集することができます。

※1. スマホ:本Web siteでは、iPhoneおよびAndroidスマートフォンを総称して「スマホ」と表記しています。
※2. Bluetooth通信の届くエリア内(見通し約40 m)。

機能概要

使用するセンサは、回転機械の状態監視システム「ZARK & infiSYS 3.0(オンプレミス版)」と同じ小型無線振動センサ「ZARK Nano」ですが、中継機「ZARK X8Ⅱ」を介さず、ZARK Nanoの測定・保存データをスマホで回収して、状態監視ソフトウェア「infiSYS 3.0」を搭載したPCにデータをアップロードすることができます。
スマホ操作アプリをインストールしたスマホを使うことで、保全現場にWi-Fiインフラが整っていない環境でも、無線振動センサ「ZARK Nano」とスマホ間のBluetooth通信を利用して巡回データ収集を実現します。

これにより対象機器から離れた場所での無線データ収集と測定値の表示が可能となり、巡回点検の時短と安全に貢献、従来の中継機「ZARK X8Ⅱ」を使った状態監視システム「ZARK & infiSYS 3.0(オンプレミス版)」では対応できなかった巡回点検シーンにも活用いただくことができます。

また、導入後にWi-Fiインフラを構築した場合、中継器「ZARK X8II」の設置および通信経路の変更により、ZARK Nanoのデータを巡回収集から自動収集に移行することが可能です。

特長

巡回点検の間隔にとらわれない 定周期の自動保存データを収集 (最大100回分)

  • 3軸振動(加速度、速度、スペクトルTOP10)
  • 温度
  • データ収集間隔:1,2,4,6,12時間または1日間隔およびAlarm状態時、設定の1/2間隔(最短1時間)

異常兆候検知時のデータも自動保存

ZARK NanoのWakeUp機能*を併用し、異常兆候検知時のデータも保存することができます。(最大100回分のデータに含みます)

* 測定した振動値がWakeUp閾値を超えた場合には自動的にデータ収集

収集したデータを傾向監視、解析診断

収集した振動データは、回転機械のコンディション監視、故障予兆診断を行なう設備状態監視システム (infiSYS 3.0) にアップロードします。
軸受診断機能、診断支援機能、レポート出力機能などにより巡回点検に関わる業務時間が削減できます。

スマホでデータをチェック

収集したデータの最新10回分のトレンドグラフとオンデマンドでリアルタイムのデータも測定できます。

トレンドグラフ スペクトルTOP5 周波数バンド分析
トレンドグラフ スペクトルTOP5 周波数バンド分析

「エリア」一括、「マシン」一括またはセンサ個別でのデータ収集が可能

各センサが設置された「マシン」と、そのマシンが配置された「エリア」の名称を設定することができ、ZARK Nanoからスマホへのデータ回収は、「エリア」一括、「マシン」一括またはセンサ個別でのデータ収集を選択、状況に合わせたデータ収集が可能です。

スマホ巡回利用シーン

1人で巡回(1台のスマホで巡回)

複数人で巡回(複数台のスマホで巡回)

巡回収集から自動収集への拡張性

ZARK Nano 1 台からのスモールスタートから、将来の増設。そして、巡回からオンライン監視へもシームレスに対応できます。
例えば、導入後にスマホから、ZARK X8Ⅱ中継機に置換えも可能で、Wi-Fi通信によるZARK Nanoのデータを自動収集に移行することも可能です。
これらの機能アップにより振動波形の収集と振動診断、警報発生時の警報メールの自動送信などお客さまのプラントに最適な保全システムの構築を支援します。

機能詳細

定期データ計測とWakeUp計測によるデータ保存

ZARK Nanoには、設定した周期(定周期)による定期データ計測・保存と、定周期とは関係なくWakeUp閾値を超えるとセンサ機能が起動してデータを計測・保存するWakeUp機能があります。

  • 定期データ計測・保存(設定周期:1,2,4,6,12時間または1日間隔)
    0:00を起点として設定周期に当たる時刻でデータを計測・保存しますが、その定周期計測の振動値がAlarm状態の場合には、次のデータとして設定周期の1/2の間隔(ただし最短1時間)となる時刻でデータを計測・保存します。
    なおZARK Nanoは、電池装着直後にもデータの計測・保存を行いますが、その時、非Alarm状態なら0:00を起点として設定周期に当たる時刻で、Alarm状態なら0:00を起点として設定周期の1/2に当たる時刻で次のデータ計測・保存を行います。
  • WakeUp機能 【 特許取得 ! 】
    定期データ計測・保存(定周期)とは関係なく、振動値がWakeUp閾値を超えると定周期以外ではSleep状態となっているセンサ機能を起動して、起動直後から3回のデータ計測・保存をする機能です。
    これにより、定期データ計測のタイミングが合わず、異常振動を取りこぼしてしまうということがなくなります。

    ( 特許番号:特許 第7410286号 )

項目 詳細
WakeUp動作条件 •振動値がWakeUp閾値を超えること。
•WakeUp非動作時間帯(下記項目参照)でないこと。
WakeUp動作内容 振動値がWakeUp閾値を超えた時点で、 WakeUp動作を開始し、約5秒後、15分後、30分後に計3回のデータ計測・保存を行って終了する。
WakeUp非動作時間帯 WakeUp動作の終了時点から定期データ設定周期の半分(最低1時間)の時間帯はWakeUp非動作時間帯となり、その間でWakeUp閾値を超えた振動があったとしてもWakeUpデータ計測を行わない。
WakeUp動作と定期データ計測との関連性 WakeUpのデータ計測は定期データ計測と並行動作し、互いに影響しない。

ZARK Nanoのデータ計測・保存のタイミング例(WakeUp無効,定周期6時間)

ZARK Nanoのデータ計測・保存のタイミング例(WakeUp無効,定周期6時間)

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ZARK Nanoのデータ計測・保存のタイミング例(WakeUp有効,定周期6時間)

ZARK Nanoのデータ計測・保存のタイミング例(WakeUp,有効定周期6時間)

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巡回収集と自動収集の測定パラメータの比較

測定パラメータ 巡回収集
(スマホ使用時)
スマホ巡回
自動収集
(ZARK X8Ⅱ接続時)
ZARK X8Ⅱ接続
1 加速度データ(3軸) rms (スマホ表示)
cal. Peak(infiSYS 3.0 表示)
cal. peak(infiSYS 3.0 表示)
2 速度データ(3軸) rms(スマホ/infiSYS 3.0 表示) rms(infiSYS 3.0 表示)
3 温度
4 スペクトル(3軸) 加速度/速度(切替)
TOP 10
800/1600/3200ライン
(スマホ表示は800ラインのみ)
加速度/速度(切替)
TOP 10
800/1600/3200ライン
5 波形 ×
6 データ収集間隔 定周期 1, 2, 4, 6, 12時間または1日間隔 および Alarm状態時、設定の1/2間隔 (最短1時間)
WakeUp機能 振動値がWakeUp閾値を超えると、15分間隔で3回のデータを収集、保存
7 保存データ数 100回分(WakeUp含む) (一時的な通信遮断時に機能)

巡回頻度の検討

スマホによるデータ回収のための巡回頻度は,下記の表を参考に検討してください。

ZARK Nano の保存データが100回分となるまでの時間
定期データ収集間隔設定値 常にAlarm状態※2 WakeUp収集最大回数※3 保存データが100回分となるまでの時間
常時非Alarm状態※1 常にAlarm状態※2 WakeUp頻発時※3
1 h 1 h 3 回/h 100 h
(4 日)
100 h
(4 日)
25 h
(1 日)
2 h 1 h 6 回/2 h 200 h
(8 日)
100 h
(4 日)
25 h
(1 日)
4 h 2 h 6 回/4 h 400 h
(16 日)
200 h
(8 日)
50 h
(2 日)
6 h 4 h 6 回/6 h 600 h
(25 日)
400 h
(16 日)
80 h
(3 日)
12 h 6 h 6 回/12 h 1200 h
(50 日)
600 h
(25 日)
150 h
(6 日)
24 h 12 h 6 回/24 h 2400 h
(100 日)
1200 h
(50 日)
300 h
(12 日)

※1.常時非Alarm状態とは,全く Alarm 状態となることがないと想定したケース。

※2.常にAlarm状態であり,定期間隔の半分(最低1時間)の間隔でデータ収集となることを想定したケース。ただし,WakeUp 機能は OFF とする。

※3.WakeUpが頻発する状態で,WakeUp収集頻度が最大となるケースを想定。定期収集間隔が2時間以上では,定期収集間隔中に最大2度のWakeUp収集(保存データ6回分)となる。定期収集間隔が1時間では,最大1度。

※4.それぞれの状態を想定し,カッコ内の日数より短い間隔で巡回収集することが必要である。

※本製品の販売及び使用は日本、アメリカ、カナダ、インド、シンガポール、ベトナムに限られます(2024年11月現在)。最新の情報については当社までお問い合わせください。

※infiSYS (登録第5442144号)、ZARK(登録第6302434号)、ZARK Nano(登録第6273377号)、ZARK X8II(登録第6302435号)は新川電機株式会社の登録商標です。

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