3月14日02時19分、広島エリアでM6規模の地震(震源地:伊予灘)が発生しました。
WEBマガジンの1月号コラムで紹介した「逆ラジオ」で地震発生の予兆を2週間前から捉えており、発生確率が高いことから2日前に予測情報も出してありました。
中国地方は「逆ラジオ」による観測点が少なく、 M4.8 ± 0.5 程度との予報に対し、実際の震度は M6.1 ということでしたが、発生日、場所とも的中しました。
多くの読者にこの事実を知っていただこうと「中国地方の地震予知状況と的中の事実」と題して開発者よりコラムを寄稿いただきました。

中国地方の地震予知状況と的中の事実

3月14日 伊予灘 M6.1 について

中国地方の予測情報では「3/5から2週間程度、広島から半径 100km 範囲で M4.8 ± 0.5 程度」としてありました。日にちも場所もぴたりですが、規模が予測最大値 M5.3 を大きく上回りました(エネルギで16倍ぐらい)。数値的には「ほぼ的中」の範囲に入ると思われます。

なお、発生確率がかなり高いので「くるかも」の表ページの「臨時情報」にも出してありました。

図1. 平成26年03月14日02時19分 気象庁発表

平成26年03月14日02時19分 気象庁発表
14日02時07分頃地震がありました。震源地は伊予灘(北緯33.7度、東経131.9度)で、震源の深さは約80km、地震の規模(マグニチュード)は 6.1 と推定されます。(出典:気象庁)

過去の経過と今回の予測内容の詳細な解説

広島では2011年10月頃からきわめて大きいデータが出て2012年5月末に完全収束した例があります。
このときは「2012/6/12から1週間程度、広島周辺 150km 範囲、M6.0 ± 0.5 程度」と発表していましたが、地震は発生せず、後で気象庁発表の愛媛県西部の深海にスロースリップが極度に多発していたことがわかりました。

この経過は2012年9月3日-10月2日のホームページに発表してあり、このときの予測のグラフは、今もホームページ「観測ポイントデータ」で見られます。(図2. 中国地域 日毎データ)
2011年12月頃をピークとする大きい山型のグラフが、5月末に収束して「発震直前」の様相になっているのが見られます。

図2. 中国地域 日毎データ(2011/08/14 ~ 2012/07/29)

これに対し、今回のグラフは2013年12月頃をピークとする3つの山型のグラフが見られ収束してきました。
(図3 中国地域 日毎データ、図4 中国地域 比率処理・平均データ)
前回のスロースリップの例があるので、これら3つの山をひとつの地震予兆とする大きい地震は、スロースリップで逃げる可能性が大きいと思い、それぞれの山に対応する、スロースリップにならない程度の「中規模地震」と考えて予測したものです。

しかし、今回はスロースリップは発生せず、まとまったひとつの大きい地震として発生したようです。

図3. 中国地域 日毎データ(2013/03/24 ~ 2014/03/09)

自然界の現象はなかなか一律にはいかないものです。

予測担当会議メンバーとしては「ずばり的中」となる要素があったにもかかわらず、まことに残念な過少判断となりました。

自然界の異常値を検出する比率処理について

図4. 中国地域 比率処理・平均データ(2013/03/24 ~ 2014/03/09)

比率処理データは、日常データに対する異常値の検出に有効です。
北九州観測点は震源から100Kmで広島のデータとほぼ同時収束が見られ地震発生の可能性が高まりました。
(図5. 北九州 比率処理・時間毎データ)

ただし、各観測点でセンサの感度方向が異なるので、大きな予兆データは広島観測点以外は捉えていません。観測点の増加が望まれます。

図5. 北九州 比率処理・時間毎データ(2013/09/22 ~ 2014/03/16)

3月12日配信していた地震予知情報

3月12日の地震発生予測情報は広島周辺、宮崎周辺、その他紀伊半島にも予測がでていました。

  • 広島周辺:半径100km範囲 M4.8 ± 0.5
  • 宮崎周辺:半径100km範囲 M5.0 ± 0.5