2012/06/12
業界コラム
日本のものづくりと創造デザイン No.3 世界初のガソリン自動車と教育
金沢大学の米山です。第3回目の今回は、機械設計や技術についての教育についてお話します。
私の東京大学の恩師である畑村洋太郎先生は、企業における経験も活かして、「実際の設計」と称して、設計のやり方や具体的に使う知識について研究室内で講習されていました。その後、研究室の卒業生も集まって、「実際の設計」を本にしようという話が進み、「実際の設計」シリーズの出版が始まりました。私も当初から現在まで、この活動に参加しています。この活動で面白いのは、最初は寸法公差や、材料、加工法などの具体的な事柄について、その考え方や実際に使う知識をまとめるという作業だったのですが、失敗体験をどうまとめ、伝えるか、設計においてどのように選択・決定を行ったか、設計の企画をどうやるか、設計の経験をどう伝えるか、設計の成功の視点というように、しだいに議論の内容が上位過程の方へ上がっていったことです。それによって、機械の設計だけでなく、すべての設計や企画に共通する考え方ややり方が浮き彫りになってきて、幅が広がりました。このシリーズでは、最近、富士通(株)の藤田和彦氏が、「設計者に必要なソフトウェアの基礎知識」という本を出して、ソフトウェアの設計のやり方も機械設計のやり方も考えの流れが共通であることを示しています。...
金沢大学工学部 理工研究域
機械工学系 教授
米山 猛