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新川タイムズ

小林 正生

2015/08/04 業界コラム

振動トラブルシュートとアラブの人々

重工業の機械振動の研究部門に所属して、かれこれ 30 年以上が経過した。ここに籍をおいたのが元で業務として必然的に、いわゆる振動トラブルシューティングを多く担当することになった。 構造力学や材料関係の部門では、トラブルシューティングといっても物が壊れてしまった後の原因調査が多いが、機械振動の場合は現在進行形のトラブルがほとんどである。壊れそうだから早く調べてくれ、早く直してくれという案件が多く、つまり時間との闘いになる。他部門でのあまり時間に追われないトラブルシュートがうらやましかったのが事実である。急ぎと言っても振動原因を調査するのが目的なので、身ひとつで行っても意味が無い。計測屋数人とチームを組んで、現場計測用の計器類を段ボール数箱に梱包して現場に出向くわけである。うまく原因が分かって効果的な対策が取れればトラブルシューター冥利に尽きるが、そうすんなりとは解決させてはくれない。アカデミアとは無縁の、企業における機械振動屋としての実力が試される大変な仕事といえる。しかし専門性とは別の、幸か不幸か良く分からないが、いろんな種類の経験が得られる。...

株式会社IHI 技術開発本部 技監
小林 正生