2014/11/11 インフォメーション 地震予知「逆ラジオ」は御嶽山噴火の予兆を捉えたか?噴火 16 日前の異常データの事実 御嶽山(標高 3,067m)が 9 月 27 日 11 時 52 分頃に噴火しました。気象庁は、噴火を確認した後、12 時 36 分に噴火警報(火口周辺警報)を発表し、噴火警戒レベル 1(平常)から 3(入山規制)に引き上げました。 気象庁火山活動解説資料によると、9 月 10 日から 11 日にかけて、剣ヶ峰山頂付近で火山性地震が増加もしたが、その後次第に減少していたとあります。 先のコラムで紹介した自宅でできる地震予知「逆ラジオ」は、何らかの予兆を捉えていたのでしょうか。御嶽山の南西に位置する観測点は、一様に同期し反応していました。「逆ラジオ」では、広範囲に渡る一本立ち同期データは大きな地震の前兆になりますが、特徴でもある数週間に渡る山なりのデータが見当たらない不思議な同期した一本立ちでした。 今回の噴火との関連性はわかりませんが、「逆ラジオ」の会員などからの問い合わせも多いことから、9月11日前後に得られているデータを公開し考察してみます。 御嶽山出典:国土地理院ホームページ(http://gsi-cyberjapan.github.io/ontake/#11/35.8637/137.4822) WEBマガジン事務局にて4枚合成(平成26年09月28日、29日撮影)長野県木曽郡木曽町・王滝村と岐阜県下呂市・高山市にまたがる東日本火山帯の西端に位置する標高 3,067 m の剣ヶ峰を主峰(火山としては富士山に次いで 2 番目の標高)とした独立峰。 はじめに戦後最大の犠牲者を出した御嶽山の噴火について、多くの方々から「逆ラジオ」ではなんらかの前兆現象がとらえられていなかったか?というご質問がありました。ここでは、「逆ラジオ」で得られたデータを考察してみます。 噴火 16 日前の不思議な現象噴火の 16 日前、9 月 11 日に新潟十日町、岐阜大垣、浜北、御前崎、豊橋 2 か所、四日市、京都伏見、神戸、という中部から関西にかけた広範囲の 9 か所の観測点でほぼ完全に重なった一本立ちの同期データが出ていました。 この 9 か所のデータはかつてないような広い範囲の同期であり、もし地震性のデータとすると震源は地理的な中央の岐阜から琵琶湖あたりとなります。 従来のデータでは、このような広範囲の同期データは大きい規模の地震の前兆であり、これらの同期した一本立ち以外の観測点に少なくとも数週間程度は続く大きな山なりのデータが出ますが今回の場合、そうした山なりのデータが見当 たらない、不思議な同期一本立ちでした。 御嶽山 火山性地震の回数(8月1日~9月25日) 出典:気象庁ホームページ(http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/ tokyo/STOCK/weekly_report/2014/2014w39/2014w39.htm)後でわかったことですが、この広範囲の同期した一本立ちデータの出た 9 月 11 日は、御嶽山の前兆地震が 1 日 85 回とここ数年で最高の回数を記録した日と同じ日でした。 もしこの事例から、電磁波ノイズ測定装置「逆ラジオ」が活火山の小噴火などの前兆データが取れるのであれば、鹿児島の桜島や伊豆大島、軽井沢の浅間山などの周囲に装置を置き、ときどきある小噴火の前兆との相関関係をとってみたいと思います。 以下、9 月 11 日前後のデータを紹介します。 「逆ラジオ」により得られた詳細なデータ9 月 11 日に広範囲に同期した一本立ちデータの出現9 月 11 日に新潟十日町、岐阜大垣、浜松、御前崎、豊橋の 2 点、四日市、京都伏見、神戸灘、の中部~関西の広範囲にまったく同期して重なるデータが出ています。 通常ではこのような広範囲の同期データは大きい地震の前兆になり、どこか数か所に大きな山なりのデータが出ますがこの場合、山なりのデータが見当たらない、不思議な同期一本立ちでした。 また地図をみると複数データの中央は岐阜~琵琶湖あたりになりますがこの近辺に大きいデータがみられず中部の地震とは考えられませんでした。 9 月 11 日に一本立ちデータの出た観測点※グラフデータは、逆ラジオ方式を採用した計測装置によって観測されたパルス性電磁波ノイズ(強さと回数)と、これまでに発生した地震との関係をしめします。 グラフの縦軸は 1 時間当たりのノイズ発生回数を示し、最大では 1 時間当たり 360 万回です。横軸は、経過時間を示し、最大で 4 週間分が表示されます。 私たちの生活(身の周り)において観測されるノイズは、1 日に数十回から数百回程度ですが、地震が発生する前は 1 日当たり数万回から数百万回という膨大な回数が、数週間にわたって観測されます。 比率処理データでの同期の検証上記の新潟十日町、岐阜大垣、浜松、御前崎、豊橋の 2 点、四日市、京都伏見、神戸灘の中部~関西の広範囲の同期データを比率処理すると以下のグラフのようにきれいな重なりがみられます。 中部から関西の各観測点データの比率処理(平均)中部から関西の各観測点データの比率処理(時間毎)※ 比例処理は、観測点のデータが、現在どのような状況にあるのかを判断するために、平均値を割出して比率処理を行って表示しています。ノイズデータの量と組み合わせて利用することで判断の助けとなります。 同期データ観測点これまでのデータから、9 月 11 日の近辺に東海~関西の広範囲に同期データが出ています。新潟十日町、岐阜大垣、浜松浜北、豊橋、四日市、京都―伏見、神戸―灘であり、新潟から、浜松、さらに神戸までの広範囲の同期データは極めて珍しいものでした。 左の図は、同期データの出た観測点の位置です。 中央の赤丸は御嶽山のおおよその位置になります。 おわりに日本は四つのプレートがひしめきあう世界有数の地殻変動地域にあり地震火山国です。東日本大震災以降、首都圏の地下で起きる地震活動は活発化しています。地震頻度は 3 倍に跳ね上がり、文部科学省が発表しているように「いつ発生しても不思議ではない」状況が続いています。 地球上で起きている自然現象を科学的に明らかにする地球科学では、「過去は未来を解く鍵」という言葉があるとのことです。そのような地球科学の視点から注視されている南海トラフで起きる巨大地震の連動は、東日本大震災が誘発するのではく、独立して起きると考えられています。南海トラフ沿いに起きた巨大地震の過去 5 回程度の記録を見ると、独自の時間的規則性があるからです。その年は 2030 年から 2040 年とも言われています。 広報誌「ぼうさい」 出典:内閣府ホームページ(http://www.bousai.go.jp/ kohou/kouhoubousai/h21/05/index.html)最近の予測実績は向上していますが、政府や自治体などの公共機関が扱うには予測情報を人々にどのように伝えるか、というコミュニケーション上のノウハウが必要になります。そこでは、多くの方が事前の正しい知識と震災発生前後のシュミレーションが必要となります。 内閣府のポスターで「地震より怖いのは、まさか来ないという自信」というのがありました。心理学の用語で「正常化の偏見」と呼ばれていることをよく表しています。不意打ちにあわないように、地震が必ず来るという前提で出来る事から始めては如何でしょうか。 「逆ラジオ」によって得られたデータの活用が減災につながることを願っています。 ダウンロード各観測点(9 ヶ所)のデータ詳細比率処理の各データ詳細その他の地域(名古屋、和歌山、神戸市)の 1 年間のデータ この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 関連情報 その他 株式会社 新興技術研究所 関連サイト 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月