2016/12/06 HOTな製品情報 東北電子産業株式会社 有機物の酸化・劣化に伴う微弱なフォトンレベルの光を検出するケミルミネッセンスアナライザー コラム執筆にあたって ケミルミネッセンスとは「化学反応において、反応系の分子が励起状態から基底状態になる際に生じる微弱な光」のことで、この光を検出する方法がケミルミネッセンス法です。 ケミルミネッセンスはケミカル・ルミネッセンス(Chemical Luminescence:化学発光 )で単にケミルミ (CL)とも呼ばれます。ケミルミネッセンスは非常に微弱な光のため測定装置は他の光検出装置に比べて超高感度となります。 プラスチック・化粧品・薬品・食品・生化学などの中に蓄積した微量な過酸化物(酸化劣化)に伴う微弱な光を捉えることができる装置です。 ケミルミネッセンス※ アナライザー(CLAシリーズ)は人の眼には見えない非常に微弱な光を測定する装置で、 物質からの発光をフォトン(光子)のレベル(50光子/cm2/sec、蛍の光の一万分の一程度の光、10-14 wattレベル)で捉える事ができる世界でも最高感度クラスの微弱光検出装置です。 特徴 物質の変化(酸化劣化、化学反応)を極初期に捉える 活性酸素、微量物質の検出 キャビテーションや摩擦などによる物理的発光の検出 HPLC(高速液体クロマトグラフィー)やレーザ光源などと組み合わせて 高感度分析(フェムトモル、ppb レベル)が可能 寿命評価に求められる促進時間の短縮や製造工程中の酸化劣化の検出、 材料の受け入れなど、1 ランク上の品質向上が実現用途微弱発行計測の応用範囲 分類 サンプル 目的 高分子 樹脂、塗料フィルム、ゴム、ポリマー(PP、PE、PCなど)、梱包材料、接着剤など 早期劣化診断、開発期間の短縮 新素材開発時の酸化安定性評価 添加剤の効果判定、酸化安定性評価、スクリーニング 購入材料の受け入れ検査 出荷製品の品質管理 成形加工条件の検索(温度、雰囲気など) リサイクル材の評価 2次元発光画像測定による測定部位、酸化過程の確認、多検体同時測定 電子照射、表面処理過程のモニター 食品 化粧品 薬 各種食品(油、ビール、米、お茶、健康飲料等)、化粧品類、抗酸化物質 食品、化粧品類、薬の早期劣化評価 製造工程における酸化劣化管理 材料の受け入れ検査 出荷製品の品質管理 新規抗酸化物質のスクリーニング、最適濃度、組み合わせの検討 微量成分の検出(微量過酸化物、カテキン、過酸化水素など) 2次元発光画像測定による劣化部位、酸化過程の確認、多検体同時測定 生化学 血液、臓器、皮膚、細胞、植物、種子、薬など 生体試料の発光と疾病研究 血中過酸化物測定 生体ストレス検出(透析、薬剤、光照射等) 抗酸化物質や各種薬剤の効果測定 高感度傾向検出によるがん診断、蛍光マーカの高感度検出 2次元発光画像測定による劣化部位、酸化過程の確認、多検体同時測定 プラスチックの酸化測定例 (約35秒) https://www.shinkawa.co.jp/wp-content/uploads/2020/03/vol008_no12_pic01_06.mp4ポリアミド(PA)の初期品と劣化品の測定例 (約18秒)https://www.shinkawa.co.jp/wp-content/uploads/2020/03/vol008_no12_pic01_07.mp4抗酸化活性評価の測定例 (約34秒)発光現象に関して酸化反応由来の発光現象物質は酸化すると内部に酸化物を生じます。 酵素原子(O)を 2 つ以上持つ過酸化物が酸化過程で生じ、分解時に微弱なフォトンレベルの発光を生じると言われています。これを化学発光(CL:Chemiluminescence)と呼びます。 CL 原因物質は酸化物の分解時に生成される励起カルボニル(C=O※)や一重項酸素(1O2)などの励起物質で、これらが基底状態へ戻る際に光エネルギーを放出します。その CL 量を測定することでサンプルの酸化劣化度を評価できます。他の装置では測定不可能な初期の、あるいは微量な酸化度の評価が可能です。 微弱光発光装置では、試料表面に生成された過酸化物を強制的に加熱分解し、発生する微弱光を測定して酸化度を測定します。 自動酸化機構と発光現象未酸化物(RH)は光や熱などの刺激によりラジカルを生じ、酸素と反応してペルオキシラジカル(ROO・) を生じ、その後過酸化物(ROOH)となる。ROOH は分解して再び ROO・となり、この 2 分子反応によって 高いエネルギー状態の励起カルボニルと活性酸素の 1 つである一重項酸素を生じます。 励起カルボニルと一重項酸素は励起状態から基底状態に戻る際にエネルギーを光と熱として発散します。この時に生じる 極微弱な光を検出することで ROOH の生成量、すなわち酸化度を測定することが可能です。 これがケミルミネッセンス法であり測定値は発光量としてあらわされます。 通常は試料を加熱することで ROOH を分解し、試料内に生成し蓄積している極微量の ROOH を検出します。 他の測定方法ではある程度酸化反応が進まないと変化が見られませんが、ケミルミネッセンス法は酸化の 中間生成物である ROOH を高感度に直接検出するため、強度の低下、色の変化(黄変)などが現れる前の、 酸化の極初期の変化を捉えることが可能です。 自動酸化機構と発光現象一般的な加熱測定時の CL 挙動と評価方法一般的な加熱測定時の CL 挙動と評価方法サンプルが加熱されるに従い過酸化物が分解し、励起カルボニル由来の CL が増えピークを迎えます(図中①)。 これは、その時点でのサンプル中に存在する過酸化物量に相当します。 その後、空気中や酸素中での測定は酸素分子により酸化反応を促進しますが、サンプル内の安定剤により CL は均衡状態になります(図中②)。 安定剤が消費されると酸化反応が急激に進み、再び著しい発光が現れます(図中③)。 この時間(図中④)を酸化誘導時間(Oxidation Induction Time: OIT)と呼び、OIT で安定剤の評価をすることも可能です。 なお、窒素中での測定においては、酸化反応は進行しないため、図中①のピーク後に発光は減衰します。 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 東北電子産業株式会社のHOTな製品情報 2016/12/06 HOTな製品情報 有機物の酸化・劣化に伴う微弱なフォトンレベルの光を検出するケミルミネッセンスアナライザー 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月