1年~2年ほど前に3Dプリンタが大きな話題となり、テレビを初めとしたメディアに登場しない日は無い、と言っても過言ではないブームのような盛り上がりをしたことは未だ記憶に新しいと思う。
展示会に出展すれば黒山の人だかり、「3Dプリンタ」という表題の入ったセミナーはいつも満席状態で、販売をしている立場の我々もどこに向かって行くのか困惑した覚えがある。
一過性のブームを終えた3Dプリンタ ??

それから間もなくブームは去り、メディアへの露出もほとんど無くなってしまったし、展示会等に出展をしてもおかしな言い方だが平穏な状況が1年近く続き、もしかすると一過性のブームでこのまま終わってしまうのではないかと不安さえ覚えた時期もあった。
この時のブームは業界内では3回目と言われていて、その前の2回は文字通りブームで終わってしまった過去もあっただけに、このまま収束してしまうのではないかと販売する側の人間として昨年末ぐらいまで一抹の不安を感じていた。
しかしながら年が変わって年度末を控えた最近になって、胎動と言った感じだが間違いのない確かな動きが出てきている。
問い合わせの件数や展示会等の集客数も増加しているが、何より問い合わせの中身の濃さがブームの時とは全く違う。
明確な使用目的を決め、それに合った製品はどれだろうか、また3Dプリンタの特性を理解した上で、このような応用はできないだろうかと言ったご相談がほとんどになってきた。
ものづくりに組み込まれた3Dプリンタ
少し前に導入されたお客様は研究が目的であったり、学校等、具体的な事業に直結されていないケースも少なくなかったが、現在はきちんと物作りの一連の流れの中に組み込まれはじめている。
これは、ブームの時は3Dプリンタで作った物をそのまま販売する事を考え、従来品にそのまま置き換えようという考え方が多かったように思うが、現在は物を作り出すための流れの中のツールの一つとして使われ始めているからである。
それも、現在の3Dプリンタの生産性やコスト、どういった物を製作するのに向いているのかが理解され始めたからに他ならない。

以前行った講演でインターネットの発展に例えて3Dプリンタの立ち位置をご説明したりもしたが、10年~15年前にインターネットの恩恵を受けていた人は僅かであったが、現在は携帯電話や銀行等誰もが使う製品やインフラはインターネット無しには成り立たなくなっており、直接間接を意識せずにその恩恵を受けているのと同じように、3Dプリンタも少しずつではあるが、誰でも知らないうちにその恩恵を受けていくようになるのではないかと考えている。
お客様とお話しをしている中でも、「それは3Dプリンタで作ってしまえば良いのではないか」といった会話が取引先との間で普通に使われ始めているという話を聞くようになり、確実に実際の仕事の中に当たり前のツールとして市民権を得始めていることを感じる今日この頃である。
新しい発想が3Dプリンタの未来を創る
現在の3Dプリンタは、確かに未だ「本物」を作るには生産性、品質、精度、強度、コスト等の様々な課題が残っているが、従来の物づくりの行程の中に溶け込み始めており、行程の短縮や効率化等に貢献し始めているのは間違いなく、結果として最終製品の生産性向上、コスト削減等の戦力として使い始められている。

物づくりだけでなく、GIS※、医療、芸術、デザイン、文化財保存、エンターテイメントや思いもよらない分野で新しい発想での使い方も次々と考案されており今までに無かったサービスや用途が生み出されている。
※GIS:地理情報システム
(geographic information system(s))

この2月には、国土交通省 国土地理院様でも弊社の製品を防災、災害発生時に使う立体地図を製作する為に正式採用いただいた。
今後は3Dプリンタの肝と言っても良いデータ作りの新しいツールも次々と考案されてきており、写真感覚で3Dデータを一般の人が作る、入手できるようになるのも時間の問題である。

3Dプリンタ自体もこれから益々進化し「本物」を作れる製品の登場もそんなに時間はかからないのではないかと考える。
以上のように現在の3Dプリンタは未だ過渡期にあり色々な意味で未成熟なのは否めないが、発展する為のインフラはすでに一定の完成をしており、インターネットが我々の生活に溶け込むのにかかった時間よりはるかに速く3Dプリンタが生活の中で当たり前の存在になるのもそんなに遠い未来の話ではないのではないだろうか。
関連資料
紙ベースの3Dプリントが優れている10の理由(2015年4月16日)
Mcor IRIS Case Studies No-01 (2015年2月19日 JBM特需営業部翻訳)
株式会社 ジェービーエム 関東支社 特需営業部 課長 松浦 謙一郎さんのその他の記事
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