信州大学工学部 電気電子工学科 教授

水野 勉

工学博士(リニアサーボモータ)
中国・太原理工...もっと見る
工学博士(リニアサーボモータ)
中国・太原理工大学 客員教授
日本AEM学会 論文賞(平成15年(2003年))
電気学会産業応用部門 部門活動功労賞(平成21年(2009年))
日本AEM学会 論文賞(平成22年(2010年))

経歴
昭和33年(1958年)6月 長野県に生まれる
昭和56年(1981年)3月 信州大学電気工学科 卒業
昭和58年(1983年)3月 信州大学大学院 工学系研究科 電気工学専攻修士課程 修了 工学修士
昭和58年(1983年)4月 株式会社アマダ 入社
平成 6年(1994年)3月 工学博士(信州大学)
平成 8年(1996年)4月 信州大学工学部 助手
平成11年(1999年)4月 信州大学工学部 助教授
平成23年(2011年)4月 信州大学工学部 教授

今月号から、隔月で計3回担当する信州大学の水野です。よろしくお願いします。

水野研究室の大学院修士課程1年生(M1)は、毎年5月に開催される「電磁力関連のダイナミクス」シンポジウムで発表することにしている。発表申込は1月、論文提出が3月であるために、卒業研究のまとめとして研究室全員のM1が発表する。

「電磁力関連のダイナミクス」シンポジウムの目的は以下のとおりである。

「電磁力関連のダイナミクス」シンポジウムの目的

「機械と電気を有機的に結合し、ダイナミックな系を構成することによって高い機能を有するシステムが実現されている。このような技術体系をさらに発展させるためには、機械、電気、原子力、材料、化学、生物、制御などの多岐にわたる学問の共創が不可欠であり、「電磁力」と「ダイナミクス」に関連する異分野、異業種の研究者が一堂に会し、情報交換と討論を行うことによってこの分野の研究を総合的に発展させる場を作ることを目的としている。シンポジウムは、これらの研究者が情報交換と討論を行う場として、日本機械学会、日本AEM学会、電気学会によって、それらの学会の特徴を生かしながら運用している。」

第24回シンポジウム ~6名のM1が参加

本シンポジウムは1989年から毎年開催されており、図1に示したように本年度の第24回は富山市の国際会議場で開催され、電磁力関連材料、アクチュエータ、電磁力関連応用技術、電磁力関連の力学と機能性の制御、計測とセンシング・信号処理、電磁界解析・シミュレーション技術、ロボット・医療福祉応用らのセッションが組まれた。当研究室からは6名のM1が参加して、その内容は、電磁センサ:2件、ワイヤレス電力伝送:2件、パワーインダクタ:1件、アクチュエータ:1件、の計6件であった。

図1.会議が開催された国際会議場前を通過する富山市路面電車
(愛称: セントラム )

メタリック系の色彩を用いて都市的でかつモダンな表情である。
その他に、クリーム色に赤色が映えるポートラムも運行されている。
滞在したホテルで頂いた「旅行者向け利用券」によって半額の100円で市内を移動できた。

口頭発表の難しさ

学会での口頭発表が始めてであるM1は、多数の聴講者の前でかなり緊張しながらも、自分の研究を参加者に伝える必要がある。すなわち、問題・課題、問題・課題の解決方法の提示、他者の解決方法、目標、結果、らを通して新規性と有用性を聴講者に理解して頂く(分かったつもりになっていただく)必要がある。しかも、限られた発表時間内で行わなければならない。本シンポジウムは電気系、機械系などの多様な参加者、特に分野が異なる専攻の学生がいるために、さらに難しさが増している。これらの一助として図解をすることになるが、誰にでも一目瞭然な図を作成することはかなり難しい。

最大の難関~質疑応答

さらに、口頭発表には、話し方、声の大きさ、話すスピード、立つ位置、姿勢、レーザポインタの使い方、などの様々な心配りが必要である。上記の事項は学生が集まって行う発表練習によって、すこしは改善される。発表が終わると、学生はホットする。しかし、最大の難関である質疑応答がまっている。この質疑応答を予測して、付録の図等を準備していても、予想外の質問がある場合がある。答えに窮した場合には、すなおに「分かりません」と応えるしかない。しかし、その言葉さえも発することが出来ずに、「だんまり」を決め込む学生の場合には会場が最悪な雰囲気となり、座長の手を煩わせることになる。さらに、質疑応答は対話形式であるために、普段の言葉使いがでてきて、「・・・ね~」などと友達感覚の言い回しがポロリと出てしまう。学生には場所に応じた正しい日本語を話して欲しいと考えており、このような場合には極めて不愉快な気分にさせられる。

発表後のM1は名刺を持参して、質問をして頂いた方に挨拶に伺う。そのときに、質問の内容を深く理解でき、かつ名前と顔を覚えていただけるチャンスにも繋がる。発表後に、良かったこと、改善すべき点などを整理することができる学生は、発表における技能が伸びるスピードが速いようである。

口頭発表の終わった後の楽しみ

口頭発表が終わった学生には、食事が最大の楽しみである。富山ではホタルイカの刺身(図2)をいただこうと決めていたが、出会えなかったのが心残りである。発表を明日に控えた小心者のM1は、明日の発表が気になって楽しむ余裕がない。お酒の飲み方も私の学生時代とは大きく変化しており、バカ真面目な学生が急増している。

繁華街の大きさは人口とも関連しており、富山市と私が住んでいる長野市の人口は、それぞれ、約42万人と約39万人で、同程度である。しかし、富山市の印象は長野市よりも大きく、かつ綺麗な街であった。富山市は、勤労者世帯の実収入:全国1位 (平成18)、持ち家率:全国1位 (平成17)、1人あたりの県民所得:全国7位 (平成17)、国立大学進学率:全国1位 (平成19)などと住み易い街として知られている。
これらの点が繁華街の大きさや街の綺麗さにも繋がっていよう。

図2.ホタルイカの刺身。
私が住んでいる長野市では、ボイルしたホタルイカだけしか販売されていない。
ホタルイカは特に「足が速い」らしい。