2018/01/10 業界コラム 竹内 三保子 ライター こぼれ話 No.3 『 キャンピングカー・ブーム』 株式会社カデナクリエイト 代表取締役社長 竹内 三保子 東京生まれ。1983年 明治学院大学経済学部卒業。同年、西武...もっと見る 東京生まれ。1983年 明治学院大学経済学部卒業。同年、西武百貨店入社。紳士服飾部、コンセプトショップ担当、特別顧客チームなどを経て経済評論家の竹内宏に師事。百貨店で学んだ顧客視点をベースに、主に「中小企業」「地域再生」「働く女性」などに関する記事を執筆。その後、編集プロダクション、株式会社カデナクリエイトを設立。 現在は高齢者ビジネスに対する関心が深まり、『介護経営白書』(日本医療企画)等に執筆。共著に『課長・部長のための労務管理問題解決の基本』『図解&事例で学ぶイノベーションの教科書』などがある。 東洋経済オンラインに連載中。 キャンピングカーの保有台数がじわじわと増えています。日本 RV 協会の調査によれば、2005 年の保有台数は 5 万台だったのに対して、2016 年には 10 万台を超え、倍以上の伸びを示しました。また、キャンピングカーの売上総額も過去最高を記録。とはいっても、その額は、やっと 300 億円台後半と、まだまだ小さな市場です。しかし、今後、大きな市場に育ちそうな兆しがいくつか見えてきました。 華やかになるキャンピングカーショー加えて、まもなく幕張の JAPAN キャンピングカーショー(2 月 2 日 ~ 4 日)が開催されます。この数年、毎年、見物に行くほどのファンという個人的な理由でもあり、今回は『キャンピングカー・ブーム』について書くことにしました。 キャンピングカーで通勤?そもそもキャンピングカーに興味をもったきっかけは、ある金融系会社のマネー入門サイトで、ローンを使って夢を叶えた人の紹介記事を書いたこと。「MBA を取得した」「専門家に習いながら、夫婦でプロヴァンス風の家を建てた」「30 台以上もバイクを乗り換えた」をはじめ、様々なローン体験談を伺いました。その中に、キャンピングカーを購入した A さんがいたのです。 A さんは、まず、キャンピングカー選びで悩んだという話から始めました。最大の悩みは、勤務先の車庫に入るかどうか…。 「キャンピングカーで会社に行くのですか?」 思わず聞き返してしまいました。恥ずかしながら、キャンピングカーとは、バスやトラックを改造したり、トレーラーとけん引する巨大な車という認識だったので、てっきり、そんな車で会社に行こうとしているのかと思ってしまったからです。 ワンボックスカーとは思えないゆったりとした室内この取材を通じて、はじめてトヨタのハイエースや日産のキャラバンといったワンボックスカーの室内を改装したバンコン(バン コンバージョン)の存在を知りました。同じハイエースでも、手掛けるキャンピングカー事業者によって、ベッドやテーブルの位置などがまるで違うことにも驚きました。スペースとの相談ですが、テレビ、電子レンジ、エアコン、ソーラーパネル、ポータブルトイレなど、様々なものを積み込めます。 しかし、外から見れば、キャンピングカーには見えません。なるほど、それなら、通勤でも、買い物でも使えます。普通のサラリーマンが持つことも、それほど難しいことではないでしょう。A さんの取材をきっかけに、キャンピングカーを身近に感じるようになりました。 そんな折でのキャンピングカーの保有台数倍増のニュース。一方、『オートキャンプ白書 2007』では、10 数年横ばいだったキャンプ人口が、4 年連続で増加したと発表していました。加えてグラマラス(贅沢・魅惑的)とキャンプを組み合わせたグランピング・ブームも沸き起こり、三浦半島の観音崎京急ホテルの敷地内や新宿ルミネの屋上をはじめ、意表をつくような場所にグランピング施設が続々と誕生しています。 何やら、キャンプを取り巻く環境に大きな変化がありそうです。そこで、某通信会社のニュースサイトで、キャンプ・ブームをテーマに記事を書くことにしました。ところが、オートキャンプからおしゃれキャンプ、グランピング、ワンデイキャンプまで手を広げすぎて、肝心のキャンピングカーについて書くスペースがほとんどなくなってしまいました。そこで、今回こそ、キャンピングカー・ブームについて書こうと思ったわけです。 整い始めたキャンピングカーのインフラキャンピングカーの保有台数が増えたひとつのきっかけは、ラインナップが豊富になり、手ごろな価格帯のキャンピングカーが増えてきたことでしょう。軽自動車を改造したキャンピングカーなら 200 万円程度からあるそうです。売れ筋は、前出の A さんも購入したワンボックスカーを改造したバンコン。中でも 500 万円台のものが人気です。 バンコンは普段使いができることに加えて、近所の人にキャンピングカーを購入したと気付かれないことを選択理由にあげる人もいます。確かに、キャンピングカー然とした外観の車であれば「お金があっていいわね」などと嫌味の一つもいわれるかもしれません。 キャンピングカーでの旅を快適にするインフラが整ってきたことも、キャンピングカー人気に拍車をかけています。筆頭にあげられるのはコンビニエンスストアでしょう。コンビニに行けば、食品から日用品まで何でもそろっています。しかも、全国どこにでもあるので、長期間の旅でも困らなくなりました。 会場の駐車場には、イメージ通りのキャンピングカーが勢揃い道の駅の存在も見逃せません。道の駅の中には、温泉施設やレストランが備わっている上にキャンピングカーでの宿泊が可能なところも沢山あります。そうした場所に宿泊すれば、温泉を楽しんだり、レストランで食事をしたり、あるいはテイクアウトの料理を持ち帰って車内で食べたりできます。寝る場所以外は、ほとんどすべて外にそろっているので、キッチンとしての機能は電子レンジがあれば充分。なくても困りません。それどころか、トイレがないという簡易なキャンピングカーも成立するわけです。 ちなみに、持ち運びが簡単なポータブルトイレも含めて、トイレを備えているキャンピングカーの割合は全体の 6 割。4 割は、トイレがありませんが、特段、不便は感じないといいます。 RV パークの整備が進めば、キャンピングカーの旅の利便性は、さらに高まることが期待できます。RV パークとは、民間の温泉施設や道の駅などが用意するキャンピングカーのための駐車場。1 台から 5 台くらいの駐車スぺースがあり、宿泊費は一泊 2000 円程度。電源、トイレ、シャワーなどの入浴施設をはじめとした RV 協会が定めた基準を満たせば、RV パークと認定されます。2012 年からスタートして、現在は 100 個所程度まで増えています。中には、パン屋や地ビールのブルワリーが運営する RV パークも登場しました。 キャンピングカーの主役はシニア世代 それでは、実際には、どんな人がキャンピングカーを購入しているのでしょうか。 保有台数を大きく押し上げたのは団塊の世代をはじめとするシニア層。モータリゼーションの進展とともに育った、この世代は車好きが多いので、旅の手段としてキャンピングカーが浮上してきたというわけです。退職金でキャンピングカーを購入して夫婦で北海道一周など長期間の旅を楽しむといったパターンが典型です。 シニアの場合は、ずっとキャンピングカーに宿泊したり、中で食事するというケースはまれ。数日おきにホテルや旅館に泊まったり、豪華な食事を楽しむというパターンが一般的だそうです。移動の交通費が安いので、その分、宿泊代や食事に使ってしまおうというわけです。 ペットを連れての入場も可能。 ペットコーナーも年々充実RV 協会のアンケートによれば、キャンピングカーの購入動機の 1 位は夫婦で旅行を楽しむため。2 番にはペット連れの旅行に最適という理由がきています。ペットブームも保有台数の増加に寄与しているわけです。ペットをつれて夫婦で旅行というのが典型的な楽しみ方といえるでしょう。 一方、スキーや釣りやカヌーをはじめとしたアウトドアの趣味を楽しむためのベースとしてキャンピングカーを活用する人もでてきました。また、訪日外国人からは、キャンピングカーで日本旅行を楽しみたいという要望が高いそうです。欧米では、キャンピングカーでの旅の文化が根付いているので、日本でも同様の旅のスタイルを楽しみたいというわけです。今後はレンタルのキャンピングカーも充実していくでしょう。 現在は、グランピングをはじめ、自然に対する耐性が弱い人でも、アウトドアを楽しめる商品やサービスが増えています。また、野外コンサートをはじめ、自然の中で開催されるイベントも増えています。 このようにアウトドアに親しむ機会が増えるとともに、キャンプに興味を持つ人が増え、それにともなって、キャンピングカー・ブームも盛り上がっていくことが期待できそうです。 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 株式会社カデナクリエイト 代表取締役社長 竹内 三保子さんのその他の記事 2018/01/10 業界コラム ライター こぼれ話 No.3 『 キャンピングカー・ブーム』 2017/12/05 業界コラム ライター こぼれ話 No.2 『水道局が嘆く井戸水人気』 2017/11/07 業界コラム ライター こぼれ話 No.1 知っておきたい『ミサイル対策の基本』 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月