株式会社美麗書院 代表取締役 書家・美文字講師・書パフォーマー

北原 美麗

書家 1964年和歌山市生まれ
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書家 1964年和歌山市生まれ
子どもの頃から書道を始め、1991年に師範免許を取得。
書道教室で生徒を教える一方、作品を数多く発表し、受賞歴多数。
ライブ活動やワークショップ、筆耕も精力的にこなす。
2015年、モリサワフォントから美麗流「錦麗行書」がリリース。

ミセスQUEEEN2016ファイナリスト。

今回は美文字の法則についてお話します。
まず文字を綺麗に書く前に「美しい文字」とはどういう文字なのかを説明していきます。

八つの基本点画

すべての文字は点と線で出来ており、これを「点画」と呼びます。また線の中には止める線、はねる線、払う線などがあり、これらを纏めて「基本点画」と呼びます。

【永字八法】

この基本点画には八つの要素があります。それぞれの決まり事を知れば、組み立てられたときに美しい文字になるのです(以下たて線を縦画、よこ線を横画と表記します)。この八つの要素が全て入っているのが「永」の字で、いわゆる「永字八法」と呼ばれ書の勉強によく使われます。

①点(側)ソク

②横画(勒)ロク

③縦画(努)ド

④ハネ・左上 (趯 )テキ

⑤払い・右上 (策)サク

⑥払い・左下(掠)リャク

⑦払い・左 (啄)タク

⑧払い・右下( 磔)タク

❶漢字の全ては点からのスタートです。縦画、横画を引く時はまず始めに点を入れる気持ちで紙に筆圧を加えましょう。

❷やや右上がり(約 6 度)が美しく見える角度といわれています。複数並んだ横画は平行に(平行の原理)、間を等間隔(等分割の原理)にします。

❸縦画は漢字の柱になることが多いので曲がるとバランスが悪くなります。書き始めの点に力をを加えてその反動で線を引きます。手首を動かさず肘を後ろに引く意識で書いてみましょう。(垂直の原理)

❹縦画からの流れではねるので、途中までは縦画と同じです。はねる所で十分力を加えたら一旦止まり、左上 45 度の方向に抜きます。ここで力を入れないように。

❺短い線です。まず紙の上でペンを止めてから一気に払います。水のフや氏のレのように繋がる場合と、土へんのように独立している場合があります。

❻右上から左下への大きな払いです。払う方向を定めて伸びやかに払いましょう。この時払う直前に少しだけ力を加えると線の先が細くならずやや膨らみ、次の線に繋がりやすくなります。

❼角度が緩やかで短い払いです。点の角度に力を加えたら、一旦軽く浮かせて(同じ場所で上下運動)点に被せるように左方向に力を抜きます。

❽左下への大きな払いから繋がってきている線なので、書き始めは点を意識せず、気脈を大切にします。はねる所に向かってだんだん筆圧を加えていき(止まった位置で上下運動)最後に力を抜くと自然な右方向にはねる事が出来るはずです。

美文字のルール 1

文字を図形に入れる

実は全ての文字にはそれぞれ決まっている 6 つの形があります。

特にひらがなは元の漢字を崩したものなので、本来はフォントのような正方形ではなく、丸、三角、四角、縦長四角、横長四角、菱形の 6 つの図形に当てはまるのです。これはひらがなに限らず全ての字に当てはまります。

《 例 》

「た」と「に」

元の漢字は太と仁です。

図形では両方とも正方形ですが、これが行書から草書にディホルメされていく場合、太の三画目が長く最終画がが点ですの最終画は小さくなります。同じように仁は最終画は長くなるのです。

「わ」と「れ」

元の漢字は「和」と「礼」です。

和を崩していくと逆三角形に、礼を崩していくと三角形になります。

【ひらがな】

◯グループ あ め の む ね ゆ

△グループ ふ ろ み ん よ れ

▽グループ な か や せ わ て す と

□グループ は た お に

縦長□グループ こ る ほ く け も き ち ら ま ひ え う り し

横長□グループ い つ へ ぬ

◇グループ そ を

 

【漢字】

◯グループ   赤 水 派

△グループ   山 友 見 品

▽グループ   下 可 市

□グループ    国 陸 則

縦長□グループ   月 身 用 負

横長□グループ   十 皿 血 四

◇グループ   子 千 姿 意 去

ひらがなは大まかにこれらに分類できますが、一つだけの図形ではなく二つの要素が入っているものも複数あります。

あ ⇒ ○+△ 、け ⇒ 縦長+▽ 、ゆ ⇒ ○+▽

む ⇒ □+○ 、よ ⇒ 縦長+△ = 二等辺三角

美文字のルール 2

★リズムをつける

生き生きとした文字を書く為には速い部分とゆっくりの部分のメリハリが大切です。

短い線は速めに、長い線や左右の払い、曲線などはゆっくり書きます。

具体的に、例えば「二」を書く時に一画目は 1 秒なら、二画目は倍の2秒にします。

「花」なら七画なので、一画目が 1 秒なら二画目以降は 0.5 秒、0.5 秒、1 秒、1 秒、0.5 秒、2.5 秒となります。

このように速さを考えながら書くことにより、文字にリズムが生まれて活きた文字になるのです。

美文字のルール 3

★漢字を単体と複合体に分類する

漢字の中で一つの漢字で成り立っているものを単体、へんとつくりから成り立っているものを複合体といいます。単体で複数の横画がある漢字には主画(しゅかく)と呼ばれる長い線が必要です。

また、複合体には 3 つからなるものや、4 つからなるものもあります。

単体の漢字は中心から左右対称に書き、なおかついずれかの図形に入れていきます。 複合体の漢字はへんとつくりの面積の分割を考えてから図形に入れていきます。分割は画数により 1/2 : 1/2 または 1/3 : 2/3 を決めます。

★へんとつくりの複合体(6 パターン)

①へんが広い 引 倒

②つくりが広い 低 行

③へんが短い 断 神 科 拝

④つくりをずらす 都 印

⑤へんが小さい 味 球

⑥つくりが小さい 細 和 仁 仏

★上下に重なる複合体(2 パターン)

①上が大きい 肯 暫 習

②下が大きい 災 思 盟

★三部分が重なる複合体(4 パターン)

①巾が同じ 謝 術

②中央が狭い 縦 靴 班

③中央が広い 掛 倒

④中央が短い 湖 御 樹

★へんとつくりは相手の領域を侵さない

複合体では、それぞれが独立した漢字として成り立つので、もとの大きさやバランスで書いてしまいがちですが、 へんは右のラインを揃え、つくりはへんに被らないよう、お互いの領域を侵さないように書く事が大切です。

詩 如 絵 響

美文字のルール 4

★たれ

がんだれやまだれなど、たれのある字はバランスを取るのが難しいものですが、ポイントは中を右にずらす事です。そうする事により左右対称の外形になりバランスが良くなります。

広 原 圧 展 応 岸

★同じカタチが並ぶ時

同じカタチが 2 つ並ぶ時は、後から書く方を大きくします。

「小→大」 林 昌 双 多 炎 替

同じカタチが 3 つ並ぶ時は筆順に従って「大→小→中」と大きさもかえます。
「大→小→中」 森 臨 協

4 つ並ぶ時は筆順の早いほうから「小→中→中→大」にします。
「小→中→中→大」綴 傘

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美文字のルール 5

★日と曰を書き分ける

   「日」「曰」は活字にするとほとんど変わりませんが、漢字により用途が変わります。日は平行に、曰は下すぼまりに書きます。口も同様ですが口だけは最終画の接筆が右に出ますので注意して下さい。

・日グループ(日 目)

 音 円 同 因 国 者 見 側 照

・曰グループ

 白 回 田 昌 星 曲 甲 豊 書

・口グループ

 中 向 吉 品 可 若 京 追 照

美文字のルール 6

★筆順は正しく書く

美しい文字には筆順がとても重要です。筆順は、その字を書くのにとても都合がよく、バランスのよい形に仕上がるように決められたものです。原則は上から下へ、左から右へ書きます。間違いやすいものに注意して下さい(右、必、飛など)。