2010/09/07 業界コラム 宋 欣光 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.2 新川電機株式会社 ソリューション本部 宋 欣光 SI部担当部...もっと見る SI部担当部 第1回目のメールマガジンでは、UnityBoyの機能などを概要的に説明しました。今回はUnityBoyで遠隔監視システムを構築した場合、組込型のUnityBoy自身の特性から、開発過程、システム運用及び保守といったシステムライフサイクルにおいて、顧客のTCO(Total Cost of Ownership)がどのように削減できるかについて説明します。 組み込み型SCADA製品の特性一般的なSCADAシステムは、PCやワークステーションなどで構築するものですが、長期データを自分のところに保存する必要はなく、設置環境が割と厳しい状況では組込タイプのものを考えた方がよいでしょう。例えば、盤が狭い場合や、環境温度変化範囲が広い時などは、工業用PCの利用、または特別な対策を取れば対応できるのは当たり前ですが、厳しい予算枠内にシステムコストを抑えるコツがなければ実現できません。 普通のPCと違い、組込型のUnityBoyには次のような特徴があります。 本体が手のひら程度の大きさと小さく、狭い盤への設置が容易。 OS、アプリケーション及びデータの保存にHDDを使ってない為、運搬・設置工事、または設置場所の環境振動による機械故障の発生する可能性が低い。 異常停電または再起動に強い。 WindowsCEという組込系のOS上で稼働するUnityBoyは、OSのイメージファイル及びアプリケーションなどのソフトはすべて一枚のCFカードに保存されています。起動時これらのファイルがCFカードからRAM上に展開されます。異常停電またはWatchDogで計画的な再起動をしても、RAMにあるものが消えるだけで、PCのようにHDDの故障は発生しないし、OS関連の一時ファイルがHDDに残ることもないので、再起動したシステムは初期起動状態とまったく同じように走ることになります。 逆に、OSまたはアプリケーションに占有されたシステムリソースをPCの再起動で開放する実例の中に、数十回の再起動でPCのOSが立ち上がらなくなった報告を聞いたことがあります。つまり、OSの一時ファイルの残骸やごみは、単にHDD上に残るだけではなく、ある程度たまるとシステムの安定性にまで影響する可能性があります。 I/O点数が数百点以内で、設置環境が厳しい、特に無人なところに遠隔監視システムを導入するなら、組込型のSCADAソリューションUnityBoyをお勧めします。 アプリケーション開発過程でのコスト削減一般のSCADAシステムを構築された経験のある方ならSCADAパッケージソフトの利用が有効です。ライセンス費用を除けば、システムの品質を保ちながら開発期間の大幅短縮で、開発コスト削減効果が得られます。しかし、組込型装置に踏み込んで行くと、汎用的なものは少なく、CやVB言語を利用するケースが多いことから、SCADAエンジニアたちの悩みの種となり導入を抑制します。組込型のソリューションが顧客のニーズにマッチしても、提案まで持ち込むのもなかなか難しい現実がそこにあります。 それでは、開発難の問題はUnityBoyがどのように解決しているでしょうか。それは AxedaBuilderという開発ツールです。もともとこのツールは設備の遠隔監視システム用に、組込系の実行環境を想定した上で作られたもので、一般のSCADAパッケージの便利さを得ながら、組込型用のアプリケーション開発ができます。 ここでUnityBoyプロジェクトの開発の流れを概要的に説明します。 (1)通信ドライバの選択 顧客が使用しているPLC制御装置のタイプに合わせて、内蔵している通信ドライバを選択します。UnityBoyに利用できるドライバ(2010年7月7日時点で)は、三菱電機、横河電機、オムロンなど国内十数社の製品に対応し、UnityBoyをご利用の顧客に無償提供しています。また、市場需要性または顧客の要望に応じて新規開発も行っています。 (2)タグ(Data Item)の定義で制御装置上のメモリとマッピング これで、データ収集から、演算ためのExpression、記録ためのLogger、表示画面上のアニメーションとの連動が簡単にできるようになります。 (3)ロジック処理 UnityBoyのアプリケーション開発には、CやJavaのような言語知識は不要ですが、LogicSchemaという起動条件(トリガー)と実行内容(アクション)ペアの定義で顧客の要求に応える仕組みが入っています。トリガーとは、タイマー(Timer)、アラーム(Alarm)、タグ値の変化のようなもので、アクションには、メール(E-Mail)送信、データ記録(Logger)、タグ値変更などがあり、これらはすべて開発者が定義できます。例えば、毎正時(トリガー)に指定したタグ値をあるロガーファイルに保存(アクション)したり、アラーム発生または終了時(トリガー)に指定したメールを配信(アクション)すると同時に、(マルチアクション)FTPクライアントソフトを起動させ、指定したデータファイルを遠方のFTPサーバに転送したりすることができます。 (4)表示画面の作製 UnityBoyの表示はすべてインターネットエクスプローラ上で行うことから、素からWeb対応のSCADA製品と言えます。特に、AxedaBuilderの画面定義情報は自動的にUnityBoyの描画エンジン(JavaApplet)用に変換されるため、開発者の技術ハードルが下げられ、開発負担が軽くなり、開発期間が大幅に短縮され、コスト削減効果が明確に見えます。 運用及び保守面でのコストメリットシステム運用段階において、よくある事情は担当者の異動です。システムに組み込んだ警報メールの宛先やシステムセキュリティ関連のユーザ名・パスワードの変更が度々発生します。UnityBoyの遠隔監視機能には、標準なシステム管理ページが用意されています。そこで、関連情報の変更は遠隔から素早く対応できます。更に、システムの保守の一環として既存システムへの機能変更なども、インターネット経由で遠隔から行える仕組みがAxedaBuilderに組み込まれています。これらによって、顧客は現地作業回数が減り、現場までの移動経費不要と時間の節約となり、最終的にトータルコストダウンを感じてもらえることになります。 上記で説明したように、組込型のSCADA製品にはそれなりの特徴があり、UnityBoyはその中の1つの選択肢です。特に、AxedaBuilderの利用で、技術面とコスト面のハードルが他のソリューションより優れ、UnityBoyとAxedaBuilderの遠隔機能を活かすことで、運用・保守の面においても顧客のTCO削減目標が達成しやすくなるでしょう。 次回のメールマガジンでは、UnityBoyで構築した遠隔監視事例を紹介させていただきますので、楽しみにして下さい。 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 新川電機株式会社 ソリューション本部 宋 欣光さんのその他の記事 2012/11/06 業界コラム TracSYSでGISをより現実・より手軽に顧客の手に 2010/11/09 業界コラム 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.4 2010/10/05 業界コラム 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.3 2010/09/07 業界コラム 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.2 2010/08/03 業界コラム 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.1 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月