2010/10/05 業界コラム 宋 欣光 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.3 新川電機株式会社 ソリューション本部 宋 欣光 SI部担当部...もっと見る SI部担当部 第2回目のメールマガジンにはUnityBoyの導入によるTCOの削減について説明しました。また、TCO削減の過程においてUnityBoyのアプリケーション開発ツールの特徴により、組込型装置にアプリケーション導入ための技術ハードルが下げられ、一般PCベースのSCADAシステムの開発とほぼ同じ感覚で効果的なシステム構築ができることを説明しました。 今回はUnityBoyで遠隔監視システムを構築した場合、業務拡大に伴って、分散サイトの導入から中・大規模な集中的なシステムへの進化について説明します。 UnityBoyで構築される組込型遠隔監視システムは、主に下記三つのタイプで運用されます。 (1) 分散Webサーバ方式 (2) 中央Webサーバ方式 (3) 分散・中央Webサーバ混合方式 (1) 分散Webサーバ方式 図1. 分散Webサーバ方式 (UnityBoyの内蔵Webサーバ利用)分散Webサーバ方式はもっともシンプルで、初期UnityBoyを導入していた顧客はほとんどこの形態でシステムを運用されています。 監視対象装置の情報は各現場に設置しているUnityBoyに直接収集され、装置状況を監視するには、担当者が監視PCから現場のUnityBoyに直接アクセスして行うようになります。 また、UnityBoyからインターネットへの接続は、有線(ISDN、ADSL回線を利用する各種インターネットサービス)・無線(NTTドコモのFOMA、ウィルコムのPHSなど)を問わず基本的にルータ経由で行います。こうするに二つの理由があります。一つは、UnityBoyのSCADA機能は最優先に実現すべきもので、通信機能を持たせるには、本来の性能が影響される可能性があります。もう一つは、現在販売されているルータにはルーティング機能の他に、ファイアウォールやVPNなど様々なセキュリティ機能も組み込まれています。これらの製品との組み合わせにより、システムインテグレータがよりスピーディ、低コスト、且つ高品質・高安全性のシステムを顧客に提供できるメリットがあります。 応用事例の中に、LNGサテライト基地やエコステーションの遠隔監視、河川スクリーンや水位監視、雨天時越流水スクリーン設備の遠隔監視システムなどが挙げられます。雨天時越流水スクリーン設備は降雨時における合流式下水道の越流水に入っている汚濁物質を除去するものです。スクリーン設備が正常に動作しなければ、汚濁物質がそのまま都市の河川や下水路に排出され、その水質に影響を与えてしまうことになります。そこにUnityBoyが導入された理由もやはりコストでした。従来テレメータ方式のものと比べ、UnityBoyの開発・導入コストが安く、アプリケーションでの対応柔軟性も理由の一つです。 (2) 中央Webサーバ方式図2. 中央Webサーバ方式一般的に、上記分散Webサーバ方式で導入した遠隔監視ステムの数がある程度になると、担当者にとって各サイトに直接アクセスするだけでも面倒になる感じなので、中央Webサーバ方式のシステム構築が自然的に必要となってきます。この際、各サイトに分散しているUnityBoyが定期にまたは必要時、設備状態データを中央サーバに送り、そこのデータベースに保存されます。各サイトの状況監視は、担当者が各サイトに直接アクセスするのではなく、中央システムのWebサーバにアクセスして行います。通常、リアルタイム状態監視が必要なら、現場と中央Webサーバ間の通信はインターネットに常時接続できる環境が要求されます。また、中央サーバ側に各サイトからのデータが集められ、様々な画面表示機能を提供する必要もあるため、システムの構成スペックを高くしなければなりません。従って専用アプリケーションの開発・導入及びデータベースも必須となるので、その分のシステム導入コストが必要となります。 LNGサテライト基地の設備管理のために導入された例はあります。監視対象となる拠点数が数十以上になったため、日常の監視及びデータ収集作業が大変になってきたとのこと。また、タンクレベルの情報が定期的に中央監視センターに収集されてから、更にLNGタンクローリーの配車システムに渡されるので、配車計画も以前より手軽に作成できるようになったようです。 (3) 分散・中央Webサーバ混合方式図3. 分散・中央Webサーバ混合方式この運用方式は上記分散Webサーバ方式と中央Webサーバ方式を同時に利用する仕組みとなっています。各サイトに分散しているシステムが正常に稼働している時、UnityBoyに収集された設備情報があらかじめ設定した周期で定期的に中央サーバに送られます。一方、現場の設備に何らかの異常が発生し、警報メールが担当者に送られた場合、担当者は、さらにリアルタイムに状態確認が必要となってきます。その際、担当者が監視PCから直接特定の現場にアクセスして確認を行います。このように構築したシステムには、現場リアルタイムデータの監視はもちろん、中央サーバに保存されたデータに基づいて、設備状態の長期変化傾向確認もできます。 日本国内における、某社の「設備のリモート監視と予防保全サービス統合システム」は、このような仕組みで運用されているようです。そこにUnityBoyが装置から収集した計測データとログデータをFTP(File Transfer Protocol)で定期的にカスタマーセンターに送信し、そこのデータベースに蓄積します。これらのデータは日報・月報・トレンドデータのレポート作成や、地絡電流、バッテリー電圧などのトレンド解析による設備劣化の傾向管理に利用されますが、装置異常原因を特定する際、担当者がカスタマーセンターからインターネット網経由でUnityBoyにアクセスしリアルタイム状態を確認するようになっています。 その他、UnityBoyがP2P(Point-to-Point)のかたちで運用され、無線LANも使えないところで構内無線電話システムを生かし、通信ランニングコストゼロの警報転送システムや、生産ラインの看板システムとしての応用形態もありますし、様々な用途に合わせるかたちで導入できますが別の機会に触れたいと思います。 次回のメールマガジンでは、UnityBoyで遠隔監視システムを構築及び運用する際に考慮すべき事項について説明させていただきますので、楽しみにして下さい。 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 新川電機株式会社 ソリューション本部 宋 欣光さんのその他の記事 2012/11/06 業界コラム TracSYSでGISをより現実・より手軽に顧客の手に 2010/11/09 業界コラム 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.4 2010/10/05 業界コラム 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.3 2010/09/07 業界コラム 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.2 2010/08/03 業界コラム 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.1 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月