2010/11/09 業界コラム 宋 欣光 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.4 新川電機株式会社 ソリューション本部 宋 欣光 SI部担当部...もっと見る SI部担当部 今までUnityBoyが組込型SCADAソリューションとして容易に小規模から大規模遠隔監視システムまでの導入プロセスについてすでに説明しました。しかし、容易に導入できると言っても、安易に使っていいこととイコールしてないところがあります。遠隔監視システムの機能を実現するには様々な関連要素とその役割がきちんと働いているのが必要です。重要なところに利用される場合は、各要素を分析しどのようにシステム全体の信頼性が上げられるかについて細かく検討しなければなりません。 (1) メール送信について 遠隔監視システムの運用に必要な機能は主に二つあります。一つは警報メールを含むデータ転送機能、もう一つは画面表示操作機能です。図1は、警報関連信号の収集、判断と警報メールの発信から、有線・無線二つ経路で担当者の携帯電話にメールが届くまでの流れを示すものです。 図1. 警報メール配信機能の関連要素はじめに、無線網経由のケースで説明します。遠隔サイトに配置されているUnityBoyは警報発報する際、メールが無線通信カードの入っているルータからオレンジ色の経路を沿って無線網キャリア系のサービスプロバイダISPwに送られます。その後、ISPwから青色の経路でこのメールを担当者の携帯電話まで送信します。 他の有線タイプのISPを利用する際、メールはルータから緑色の経路でISPiに行きます。その後、ISPiがこのメールをインターネットと無線網へのゲートウェイ経由でISPwに転送します。最終的にISPwから同じ青色の経路で担当者にメールを届けることになります。 言うまでもなく、UnityBoyからのメールが担当者の携帯電話に届く前提条件とは、図1上の各矢印の線及び通過する要素がすべて正常に機能していることです。 PLCとの通信ここに問題が発生すると、センサーのデータがPLCから正常に収集できず、事前に設定した警報判断ができないため、関連の警報メールも正常に送信できなくなります。 UnityBoyUnityBoyは遠隔監視システムの中でデータ収集、処理、警報判断、警報発信の中心であり、重要な役割を果たしています。一方、長期間システムが走り続けるとWindows CEシステムに利用可能なリソースが減少するのが一般的で、それによってUnityBoy全体のパフォーマンスが低下したり正常に機能しなくなる可能性はゼロではありません。そのため、システムリソースが減らないことを祈るより、UnityBoyの再起動は一つの現実的な回避手段と考えられます。また、異常再起動と計画再起動の中で、後者はシステムへの影響まで想定可能なので、よりよい問題回避の実現ができるでしょう。 ルータUnityBoyの次に重要な要素はルータです。現在市販されているルータは単にISPと接続し通信経路を確保するだけではなく、セキュリティ関連、ハッカー攻撃対応など様々な付属機能が盛り込まれています。そのため、UnityBoyとよく似ており、ほとんどのルータの中に組込タイプのコンピュータが入っているようです。従って、そこにもシステムリソースの問題が存在し、不調時にリセットで元に戻ります。UnityBoyと同様に、このリセット仕組みをシステム設計の段階で検討すべきだと思われます。しかし、一つUnityBoyと違うところは、ルータが直接通信回線と接続しているため、異常発生で通信回線が切れなくなったら、予想外の通信コストが発生する可能性があります。 通常、顧客がランニングコストを抑えるため、遠隔監視の通信時間や通信データ量にぴったり合うような回線契約プランを選択する傾向があります。例えば一日1通のメールしか飛ばさない遠隔サイトなら、月に約1,000円程度のプランで十分ですが、ルータに異常が発生したら、通常の契約料金を大幅に上回る請求書が顧客に来るかもしれません。このような事態にならないように定額の使い放題契約プランが一番望ましいと思われますが、契約料金が少し高いため、利用したくない顧客もいるでしょう。その意味でも、通信と通信料金の仕組み及びリスクの取り方について、顧客の理解が必要です。最終的には顧客の責任で契約プランを決めることになります。 通信電波状況の影響ルータからISPwまで通信電波状況がよくなければ、ルータからのリトライが頻発し、送信時間が遅れたり、通信コストが通常より高くなる可能性があります。同様にISPwから携帯電話までの電波状況がよくなければ、あるいは担当者が通信圏外にいる時に、警報メールの確認はできなくなる可能性もあります。運用上、上記の可能性を減らすには、警報メールを複数担当者に送信することや異なる通信形態でメール送信を取り込むことが考えられます。 ISPwのメール配信ポリシーの確認携帯メールの送信ポリシーが一般有線ISPのものと異なる点に注意が必要です。UnityBoyの導入先に下記のような事例があります。UnityBoyからISPi経由で複数のシステム担当者の携帯に警報メールを送信する際、メールが届かない人がいます。UnityBoyのシステム履歴、 ISPiの受信履歴及びISPwに転送されたところまで確認し、最後に分かったのが非常災害に電話設定をした担当者のみすべてのメール受信ができたことです。なお、本件に関してはあくまでISPiとISPwの組み合わせであり、他のISPまたは他のISPwだったらどうなるかはあらかじめ契約先に確認した方がよいでしょう。 (2) 遠隔監視画面の表示について図2はUnityBoyのWeb画面を表示し、遠隔サイトの監視を有線接続にて行う場合のデータ流れを示します。 図2. 遠隔監視時のデータ流れプロキシサーバーの邪魔直接ADSL経由で現場のUnityBoyにアクセスする場合は殆ど表示に問題はないようですが、会社の社内LANからUnityBoyの画面を見る際、時々画面が見えない、アニメーションが動かないなど顧客から報告を受けたことがあります。殆どの原因は、社内LANに設置しているプロキシサーバでした。つまり、UnityBoyの監視画面に見る時に、プロキシサーバの設定によって通信パケットがブロックされたり、変更されたりすることがあるからです。この場合は、全社ネットワークポリシーを変更するのが一般的に難しく、新規回線を用意した方が無難だと思われます。 Java VM(Virtual Machine)の準備UnityBoy監視画面の構成には、HTMLページの裏にJavaAppletが使われています。画面のデータ更新、アニメーションの表現、操作の処理などはすべてJavaAppletプログラムより処理されるため、JavaAppletが走るために必要なJava VMをあらかじめ監視用PCにインストールしなければなりません。Java VMは、専用サイトからダウンロードし利用できますが、場合によってPCのシステム管理者からの応援が必要かもしれません。 (3) 表示関連の通信コスト及び表示速度についてJavaAppletプログラムをあらかじめ監視PCに用意上記UnityBoyの遠隔表示にJavaAppletが使われていると説明しました。担当者が監視PC上のブラウザを開いてUnityBoyのIPアドレスにアクセスする際、担当者が何らかの操作は要らないが、このJavaAppletプログラムをPCにダウンロードする必要があります。この仕組みで、Java VMが入っているPCであれば、どれでも遠隔監視に使えます。 一方、回線通信速度が遅い場合、または回線利用に時間あるいはパケット数に応じて課金される場合は、このJavaAppletプログラムのダウンロードで最初画面の表示に時間や通信料金がかかることになります。 もし監視用のPCがほぼ固定であれば、このような利用時間と利用料金の心配を解消する方法があります。つまり、あらかじめUnityBoy表示用のJavaAppletプログラムを監視PCに入れることです。これで上記のようなダウンロードがなくなり、表示の高速化が実現でき、回線料金の削減に繋がります。 以上、UnityBoyの遠隔監視機能の紹介及び注意すべきところについて説明させていただきました。これから、UnityBoyはさらに進化し、遠隔機能を持つ組込タイプのSCADAソリューションとして、トータルシステム導入コストの削減で顧客の満足を実現して行きます。今後とも、UnityBoyのご活用とご愛顧いただくようよろしくお願い申しあげます。 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 新川電機株式会社 ソリューション本部 宋 欣光さんのその他の記事 2012/11/06 業界コラム TracSYSでGISをより現実・より手軽に顧客の手に 2010/11/09 業界コラム 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.4 2010/10/05 業界コラム 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.3 2010/09/07 業界コラム 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.2 2010/08/03 業界コラム 超小型SCADA製品UnityBoyについて No.1 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月