2021/07/13 業界コラム 大佐古 伊知郎 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第2回 SCADAの変遷とIIoT 新川電機株式会社 大佐古 伊知郎 技術統括本部 システムアプリケーション部 IVPグループ...もっと見る 技術統括本部 システムアプリケーション部 IVPグループ 第1回では、SCADAの機能とその生い立ちについて概要を説明しました。第2回では、SCADAがどのように変遷していったかを説明するとともに、SCADAとIIoTの関わりについて概説します。 SCADAの発展と変化当初、比較的安価・小規模な制御システムとして採用され始めたSCADAですが、オープン化技術を採用していることで急激に能力が向上していきます。’00年代に入り、パソコンのプロセッサやメモリ・ディスク容量といったハード的な能力向上に加え、Windows2000,XPとOSの進化により画面表現力の強化・ネットワーク利用の利便性や通信速度が向上しました。また、これらの機器やソフトウェアは基本的に一般市場にも出回っているものであるため、その巨大な市場を背景に製品価格も劇的に下落していきました。 これにより、SCADAソフトの利用領域が拡大していき、従来DCSの独壇場であった大規模システムの監視/制御といった用途にも適用されるようになりました。その一方でDCSもオープン化技術を取り込み、マンマシンインターフェース部分が専用端末からパソコンへ、ネットワークも専用データバスからEthernetへと変化し、技術的な差異は縮小しつつあります。 ただし、利用シーンはDCSとSCADAで異なっており、早くからDCSが普及していたプロセス制御系などにおいてはプロセス制御に適した機能を数多く有するDCSが現在も主流で、SCADAはDCSが普及していなかったビルオートメーションやパイプライン監視などでの採用が目立ちます。これらの特徴的な点は、1か所あたりのI/O点数は少なめ・処理内容は比較的単純である一方、ネットワークを構成するノード(この場合はPLC)の数が多く、かつ、ネットワークの総延長が非常に長くなる傾向にあることです。 こういった経緯により、一口にSCADAといっても、大規模・広域をカバーするためのSCADAと、従来からの中・小規模なローカルシステムに用いるSCADAに分化していきました。 また、この時代、ソフトウェア技術も進化し、Javaの普及などWebベースで用いる技術の応用で遠隔から高度なグラフィック画面を参照出来るようになってきました。これにより現場から収集したデータをサーバで蓄積し、複数のオペレータが数台のクライアントPCで監視・運用するというニーズに対して、これらの技術を応用した製品が出てきました。 このようにSCADAというプロダクトが目まぐるしく変化する中、UnityBoyは小型BOX PCに予めSCADAパッケージをプリインストールし、小規模SCADAでありながらWebベース技術に対応し、遠隔地のクライアントPCから画面を参照できるという特徴的な機能を持つ製品としてリリースされました。 IIoTとはここで話は変わり、今回のタイトルに出てくるもうひとつのキーワード・IIoT(産業用IoT・IoTはInternet of Thingの略でモノのインターネットと呼ばれる)ですが、これを簡単に説明すると、通常のインターネットは基本的にコンピュータとネットワークを介して人と人の間で情報を伝達することで付加価値を生み出すものであるのに対し、モノのインターネットはモノとモノ(あるいはモノとコト)がネットワークで繋がり、情報を伝達することで付加価値を生み出すものであると言えます。 具体的には工場内に張り巡らされたセンサによりデータを収集し、現場で起きている事象を捉えて、これを解析することで生産上のボトルネックを解消して生産性を高める・あるいは生産設備同士が連携して自律協調運転することでラインのトラブルが起きても生産を継続できる冗長性の高いシステムを構築する・設備の異常を予知またはいち早く捉えることで保守コストを抑制するといったことが挙げられます。 IIoTの大規模な例のひとつとして、スマートグリッドが挙げられます。各家庭に取り付けられたスマートメータ(通信機能を搭載した電力量計)からリアルタイムに送られる消費電力の情報を集約して、気象情報などと組み合わせたビッグデータ解析により電力需要を精緻に予測した上で、供給側の広域に分散した太陽光発電や風力発電の発電量情報なども参考にしつつベースロード電源の火力発電の発電量を決定したり、自然エネルギーの使用量を決定することで、電力供給の最適化を図るというものです。 ここまでSCADAとDCSについて説明したのちにIIoTについて説明しましたが、実はIIoTの源流はSCADAやDCSにあり、基本的な考え方はSCADAやDCSと大きく違いません。しかし、無線ネットワークや省電力・プロセッサ・センサといった技術の進歩と標準化が一層進展したことによるコストダウンが、文字通りあらゆるモノにセンサとプロセッサを付けることで緻密なデータ収集を可能にし、多変量解析などデータ処理テクノロジの進歩がビッグデータ活用の道を開くことで、より高い付加価値を生み出せるようになったと言えます。 本コラムでのご紹介製品 遠隔監視に最適化した超小型SCADA UnityBoyIV この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 新川電機株式会社 大佐古 伊知郎さんのその他の記事 2022/03/08 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第6回 UnityBoyⅣでできること 2022/01/12 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第5回 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣとは(2) 2021/11/09 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第4回 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣとは(1) 2021/09/14 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第3回 IIoTに求められる機能 2021/07/13 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第2回 SCADAの変遷とIIoT 2021/05/11 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第1回 SCADAの概要と変遷 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月