2022/03/08 業界コラム 大佐古 伊知郎 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第6回 UnityBoyⅣでできること 新川電機株式会社 大佐古 伊知郎 技術統括本部 システムアプリケーション部 IVPグループ...もっと見る 技術統括本部 システムアプリケーション部 IVPグループ 1年間に渡って連載して参りました本コラムも今回で最終回になります。第4回、第5回は技術的な部分に踏み込んだ話でしたので、最終回では、これまでの納入実績やUnityBoyⅣの利用シーンを具体的に挙げてご説明します。遠隔監視を検討する際の参考にしてみてはいかがでしょうか。 UnityBoyⅣと他プロダクトの比較UnityBoyⅣは本コラムにて説明されているとおり、SCADAパッケージを小型コンピュータに実装したもので、主に遠隔監視を目的として、それに求められる各種機能を用意しています。その説明の中でPLCやタッチパネルなどといった機器についても少し触れてきましたが、IIoTや遠隔監視といった視点からこれらの機器について説明してみたいと思います。また、近年はクラウドサービスによるIIoTプロダクトも出現していますので、これについても考察してみます。 まず、全般的な話としして、従来は制御・監視・データ記録といった具合に用途別に製品が開発されていましたが、プロセッサの性能向上やコストダウン、高付加価値化・高機能化といった流れもあって、現在はいずれの製品もハイエンドモデルになると主たる機能に隣接する機能を搭載するようになっています。 具体的には、PLCの中にデータ収集してCSVファイルを作成する機能を搭載したり、タッチパネルに簡易PLC機能を搭載するといった感じです。遠隔監視のための機能についても同様で、ビューアソフト等を組み合わて遠隔監視を実現したり、簡易Web画面を用意する製品も多くなりました。 また、インターネットの普及に伴い、遠隔監視に特化した製品も既に市場に存在していて、これらは優れたWeb画面によるGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を提供しています。用途特化であることから、カスタマイズには一定の制限があるものの、遠隔監視という普遍的ニーズを捉えた、非常に扱いやすい製品です。 そして、近年はIIoT技術の発展に伴い、現場に設置したデータ収集機器から直接クラウドサーバへデータを送り、クラウドサービスによって各種データを蓄積/加工してWebを介して表示するシステムも存在します。弊社も、ZARK(ワイヤレス振動センサ)とMachine Dossier(クラウド設備監視プラットフォーム)を組み合わせたクラウドサービスを展開しています。これらは、導入が非常に簡単かつシステム保守の大半をサービス運営会社側が行なってくれることから、手間が掛からないメリットがあります。 このように、遠隔監視に関する製品は非常に多様化している一方で、これらの製品は、それぞれ異なる背景で生み出されたものですので、当然、製品によって得手不得手が存在します。それゆえ、システム導入を検討される方は、現場で求められるものに対して適切な製品を選択することが非常に重要になっています。 UnityBoyⅣをどのように使うかここまでの説明にあるとおり、UnityBoyⅣと競合する製品は数多くありますが、その中でUnityBoyⅣが採った差別化戦略は、UnityBoyシリーズが従来から持っている優位性・グラフィック画面の表現力を維持しつつ、比較的小規模なシステムで柔軟性を発揮して顧客のニーズにジャストフィットさせるということでした。 先のプロダクト比較にもありますが、UnityBoyⅣは遠隔監視目的で開発していることから、遠隔監視が可能であることは勿論ですが、SCADAとして一通りの機能を持っていることから、SCADAとしての利用や、タッチパネル搭載のパネルコンピュータなどと組み合わせればタッチパネルとしても利用出来ますし、PLC通信ドライバなどを用いた簡易プロトコル変換、データ収集機能を活かしてデータロガーや演算・ロジックスキーマを活用したエッジデバイスとしても利用可能です。 しかし、個々の機能を単独で見た場合、専用機に使い勝手の点で及びません。UnityBoyⅣは、All-In-Oneという特徴を活かして、小規模システムをこれ1台でまとめて構築すること・このクラスで屈指のグラフィック機能などにメリットを見いだすことができます。 UnityBoyⅣアプリケーション事例UnityBoyシリーズは20年に及ぶ歴史があり、産業分野の多種多様な現場に対して採用実績があります。いずれもUnityBoyの特徴である、高い柔軟性や強力なグラフィックなど製品の特徴を活かせる場所で使われています。 これまでのUnityBoyシリーズ販売実績を見るとエネルギー分野での採用実績が多く、特にガス関連設備の遠隔監視用途でご利用いただいています。設備の数が数十カ所程度で大量生産とまではいかない数量で、かつ設備毎に細部が異なり、基本は同一ソフトをベースとしつつも、設備毎に細かな手直しが発生するような場合に、UnityBoyはその能力を遺憾なく発揮します。 また、上位システムと連携しつつも、単独システムとして独立していることから、万が一上位システム側がダウンした場合であっても、現場の設備監視には何ら問題ないこと、特定の現場でトラブルが発生しても他の設備監視には全く影響が出ないこともUnityBoyならではの利点で、ゲートウェイやPLCだけで構成したシステムやクラウドサービスに対する優位性と言えます。 もうひとつ、UnityBoyの面白い使い方として、現場を巡回する運転員が持つスマートフォンに対して警報メールを送信するという、それ自体はオーソドックスなものですが、警報の種類に応じて添付するファイルを切り替えており、警報の内容に応じたトラブル対応マニュアル兼チェックシートのPDFファイルを送付しています。これにより、運転員は制御室に戻ることなく警報の発生を知ることができ、その対応マニュアルとチェックシートが送付されることで、そのまま現場に向かうことが出来ます。 単純なことではありますが、用途に特化した専用機で実現するのは難しく、汎用的なSCADAパッケージを使うには大がかり過ぎるため、小型PCにプログラム言語で実装することになりそうです。しかし、データを取得してメールを送信するまで一連の処理を実装するとなるとそれなりに手間が掛かります。特にPLC通信のようにマイナーな通信処理とオープン技術であるメール送信両方の知識を持つプログラマはOA系やWebエンジニアの様に多く居ないのが実情です。 UnityBoyはプログラムレスで一連の処理を実装することが出来るため、エンジニアリング費の抑制と可読性向上・属人性排除といった保守面での優位性があります。工場設備は長期に渡って運用されることから、保守性については十分考慮しておく必要があります。 最後に筆者はこれまでの産業用アプリケーション開発の経験から、産業用システム・特に設備監視の分野は、監視対象が多種多様であるためマスプロ化された製品をそのまま適用するのが難しい一方、システムで組み上げようとすると、色々なデバイスを組み合わせる必要があるため、大がかりになりすぎてトータルコストが高いという問題に悩まされていました。 UnityBoyⅣ開発にあたって目標としたのは、製品ライフサイクル全体で見たときのシステム導入ハードルを下げ、ニッチな市場に柔軟に適合する製品を作るというものでした。掲げた理想にはまだまだ到達していませんが、これからもより一層扱いやすい製品を目指して磨き上げていきますので、今後とも応援していただければ幸いです。 また、UnityBoyⅣ開発担当としてはUnityBoyⅣを推していきたいところですが、それぞれの製品には得手不得手があります。弊社ではUnityBoyⅣ以外にも多様なプロダクトを取り扱っておりますので、お客様のニーズに沿って柔軟に最適なシステム提案をおこなう事が可能です。お気軽にご相談いただければと思います。 本コラムでのご紹介製品 遠隔監視に最適化した超小型SCADA UnityBoyIV この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 新川電機株式会社 大佐古 伊知郎さんのその他の記事 2022/03/08 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第6回 UnityBoyⅣでできること 2022/01/12 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第5回 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣとは(2) 2021/11/09 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第4回 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣとは(1) 2021/09/14 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第3回 IIoTに求められる機能 2021/07/13 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第2回 SCADAの変遷とIIoT 2021/05/11 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第1回 SCADAの概要と変遷 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月