2021/09/14 業界コラム 大佐古 伊知郎 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第3回 IIoTに求められる機能 新川電機株式会社 大佐古 伊知郎 技術統括本部 システムアプリケーション部 IVPグループ...もっと見る 技術統括本部 システムアプリケーション部 IVPグループ 第1回、第2回とSCADAの歴史を軸として、現在のIIoTに至るまでの道筋を技術的な視点から概観しました。 第3回は、具体的なIIoTの利点や活用事例にはどういったものがあり、それを実現するためにどのような機能が必要なのかを解説していきます。 IIoTによって何が変わるのか?第2回でも簡単に触れていますが、IIoTの本質は大量のデータを安価に収集できるようになったこと・それを扱えるデータ処理技術の進歩が、人手では処理し切れなかったデータを扱えるようになり、これまで見えなかったものが見える様になったところにあります。 具体的な例をひとつ挙げると、工場内に工作機械が多数存在し、その工作精度にばらつきが出た際の原因がどこにあるのかを切り分けたいとき、それぞれの工作機械近傍に温度センサを設置して、これの温度を収集することで室温分布がリアルタイムに把握出来るようになります。 これと工作機械が加工した部材の工作精度の相関を見ることにより、工作機械の設置場所によって生じる温度差がワークの熱膨張のばらつきを生み、工作精度にも影響を及ぼすことが可視化出来ます。このデータを元に設置環境の改善や温度による加工の補正をおこなえば、製品の歩留まりを向上させることが可能になります。 これらは多くの場合、長い時間をかけて試行錯誤しながら培った職人の経験と勘に頼っていた部分ですが、データや理論的な裏付けを取ることで、技術の継承や属人化の解消に繋がります。また、こういったアプローチを人力で行なうことも可能ですが、IIoTによってそのスピードを加速することができます。今風に言えばOODAループの実現といったことでしょうか? この究極の姿が、現実世界を全てデータ化してリアルタイムに計算機の中に取り込み、現実世界の複製を作り、その中で分析やシミュレートした結果を元に現実世界の制御にフィードバックして最適化を図る、いわゆるデジタルツインと呼ばれるものになります。 その中で、IIoTはデジタルツインの第一歩・現実世界と計算機の橋渡しをおこない、見える化を実現するものであるという位置づけになります。 IIoTの利用シーンIIoTの利用シーンですが、既に製造現場において、主要な生産設備に対してはSCADAやDCSといった監視/制御システムが普及しており、この手のシステムが全く存在しないということは無いと思われます。あるいは、比較的最近の生産設備であれば、高性能化したタッチパネルがSCADAの代替となっていたり、ユーザーインターフェースを必要としない設備の場合、高機能化したPLCでデータ処理までおこなっている事もあると思われます。こういった場合であれば、データ収集・処理を行っているSCADAサーバ等からデータを得ることができるので新たに何かを追加することは無いと思われます。 しかし、生産設備に付帯する設備、例えばプロセス系の場合は製造工程の環境条件(温度・湿度分布など)が製品品質にどのように影響を及ぼしているか調べたいであるとか、ディスクリート系であれば、工作機械そのものの動作については機械のモニタで確認できるが、工場内の工作機械全ての稼働状況を集中的にモニタしたいといった場合、機械側のインターフェース仕様が不統一である・仕様が公開されていないなどの問題があり、意外と実現のハードルは高くなります。 また、広域に分散している設備、例えばコジェネレーションの発電設備やLNGサテライト設備、簡易水道のポンプ場や山間部の小水力発電所などといった設備は遠隔監視やデータ収集のニーズはあるものの、設備規模に見合った規模のプロダクトがない、ネットワーク敷設コストが高いなど主に経済的な理由により監視を断念しているケースもあります。 もちろん、これらは従来のDCSやSCADAでも技術的には構築可能ですが導入コストが高すぎて折り合わない・システムの柔軟性が足りないといった問題があります。これらがIIoTでカバーすべき領域であると考えられます。 IIoTに求められる機能こういった分野に適合するプロダクトに求められるものとしては、何よりもコストが安いことが求められます。コストは単純に製品価格だけではなく、施工の容易さやエンジニアリング費用、さらには運用コスト含むライフサイクルコスト全てを指します。 次いで、施工の容易さとも関連しますが、広域・分散した場所からデータを容易に収集できるようにするためには、強力なネットワーク機能・具体的には無線通信機能を持っている必要があります。先述の例で言えば工場内の温度分布の場合はセンサ間の近距離無線ネットワーク、簡易水道のポンプ場のようなケースではLTEやLoRaWANなどの広域通信能力が必要になります。 これら、現場に広く分散したデータを収集したのち、何らかの形で集約する必要があることから、上位システムとの連携がシームレスに行えることが求められます。従来からのパターンで、サーバへデータを転送する場合もあれば、近年であればクラウドサービスと接続することもあると思われます。こういった現場の取り纏めを行なうコンピュータをエッジコンピュータ・エッジサーバなどと呼びます。 そして、IIoTに限ったことではなく、近年ではDSCやSCADA含む産業系システム全般に求められる機能となってきましたが、セキュリティに配慮されている必要があります。その一方で広域に分散した大量のデバイスを保守することを考えた場合、遠隔保守が出来ることも運用コストを考える上で重要になります。 本コラムでのご紹介製品 遠隔監視に最適化した超小型SCADA UnityBoyIV この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 新川電機株式会社 大佐古 伊知郎さんのその他の記事 2022/03/08 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第6回 UnityBoyⅣでできること 2022/01/12 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第5回 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣとは(2) 2021/11/09 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第4回 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣとは(1) 2021/09/14 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第3回 IIoTに求められる機能 2021/07/13 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第2回 SCADAの変遷とIIoT 2021/05/11 業界コラム 超小型SCADA / Webサーバ UnityBoyⅣのご紹介第1回 SCADAの概要と変遷 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月