来年度実施される改正省エネ法で最大の改正点は役員クラスのエネルギー管理統括者を置き、従来対象外であった事業所も含め企業全体としての省エネ推進が求められる点です(図1)。また、早ければ来年末にはエネルギー管理に関する規格であるISO50001が発行される見込みであり、日本の審議会では省エネ法と整合性を持たせた案作りをしています。
1.企業に求められる省エネ推進活動
一方、CSR(企業の社会的責任)の観点から、企業のCO2排出特性(多くの場合エネルギー使用特性)を見える化するためのカーボンフットプリントやカーボンオフセットなどの制度化も始まっています。これら低炭素社会に向けた大きな動きに対して、企業としてはその場凌ぎの受身な取り組みでなく、積極的に取組んでいく必要があります。
具体的には省エネ活動を更に強化する事は勿論ですが、以下の2点について体系化が必要です。

2.省エネ推進のために体系化が必要なふたつの取組み
(1) エネルギーマネジメントシステムの確立
当社の顧客から、これまでの省エネ活動は投資対効果の旨みのある案件のみ優先的に実施してきたためペイしない案件ばかりが残り、行き詰っている事をよくお聞きします。一方では、改正省エネ法により特定事業者に新たに指定されるが、省エネ活動にどの様に取組んだらいいか分からないというお話もあります。
これらの事から言えるのはエネルギーを管理下に置くための「見える化」をまず行い、省エネのための課題発見と課題解決を体系的かつ継続的に行うしくみづくりが必要であり、ISO50001ではまさしくこの事が要求されます。
(2) 全社的なエネルギー情報管理システムの構築
上記の「見える化」を全社レベルで行うためには全社的なエネルギー情報管理システムの構築が必須です。従来、本社レベルで必要なエネルギー情報としては経理や燃料購買部門のための情報が中心でしたが、新設されるエネルギー管理統括者やエネルギー管理企画推進者のための情報提供や全社的なエネルギー施策検討のためのケーススタディーを行えるシステムが必要になります。また、このシステムでは入力や加工作業の効率化のため、工場側で進められているSCADA化との連携も重要な点となります。
3.EMASの開発
お客様におけるこのエネルギーマネジメントシステムの確立と全社的なエネルギー情報管理システムを早期に実現する事をご支援する目的で、パッケージソフト EMAS(Energy Management Assist System)を当社において開発しましたが、以下の様な特徴を持っています。
- 図2の様なモジュール構成となっており、各社の実情に応じて選択できます。
- 全社集約データから各工場の各フィーダーデータまでのドリルダウンが可能で使用目的に応じたデータが迅速に検索できます。
- ユーザーインターフェース部分はExcelのアドインソフトの形態を取っており、導入時の操作教育などが少なく、低価格である事を併せ導入負荷は最小です。
- 各ベンダーのSCADAと連携が可能であり、マニュアルによる入力の無いシステムの構築も可能です。
- すべてが人手による巡回検針データの段階からの導入が可能で、小さく入れて、最終的にはすべてのデータをSCADAから収集する大きなシステムに育てるまで同一ソフトで対応が可能です。
- 単なる情報系のシステムでなく、定型業務の効率化も図れます。
- ゲートウェイとしてMESの各種システムや本社ERPとのデータ連携も行います。

次回からは以下の予定で各モジュールの説明を行います。
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