2012/11/06 業界コラム 島本 治 電力システム改革考 No.2 新川電機株式会社 島本 治 顧問...もっと見る 顧問 前回、原発問題に起因する長期的な電力不足に対応するために製造業において電力システム改革を進める負荷が増大していくが、電気主任技術者などの対応力が低下しており、そのギャップをいかに解消していくかという事自体が今後の大きな課題となっていく事をお話ししましたが、そのためのひとつの施策がITと計測・制御技術を利用した省電力の推進と共に電力管理業務の徹底した効率化であり、当社でもその実現のお手伝いをする事がひとつの役目だと認識しています。 製造業での電力管理の課題解決に向けて現在、スマートグリッドで社会全体の電力管理を効率化する事が検討され、一部の地域ではスマートシティーとしての実証実験も行われていますが、製造業においても、これまでの金さえ出せば電力はいくらでも使えた時代から電力使用可能量に制限のある状態でいかに企業活動を最適化していくか、電力利用に関するスマートカンパニーとなっていかなければならないと思われます。具体的には電力を「管理下におく」という事だと思いますが、その基本はやはり全社に亘る電力の使用状況をしっかりと捉えるという事であり、当社でも、これまで多くの電力SCADA(Supervisory control and data acquisition)システムを納入させて頂きましたが、スマートメーター技術の応用で今後はコスト的な面など更に導入が容易になっていく事と思われます。 一方で、これまで電力SCADAの導入でデータは集まる様になり見える化は進んだが、データの有効活用がもうひとつだというお話もよくお聞きします。そこで当社では収集したデータは骨の髄までしゃぶりつくそうという発想で、そのツールとして収集したデータの統計解析/定式化機能や電力管理業務における実績処理をデータベース中心に一元管理できるパッケージソフトEMAS(電力管理支援システム)を開発し、各企業における同業務の効率化をご支援して参りました(図1)。 図1. EMASを用いた電力管理システム構成例 特に、ここに来て電力管理業務の効率化機能についてのニーズが高まっています。これは従来、製造部門や事務部門に比べて電力管理部門に対してIT投資による業務の効率化がされておらず、ある企業においては電力管理技術者の勤務時間の50%以上が実績報告書の作成や官への報告資料作成など技術者にとっては付帯業務とも言える業務に充てられており、このあたりの業務負荷を減らして、電力システム改革などの本来業務に充てる時間を捻出していきたいという事の表れではないかと思います。 また、まとまったIT投資が行われていない分、業務担当者ご自身でマイクロソフト社のExcelを用いて身の周りの業務の効率化を長年図られてきましたが、団塊の世代が定年を迎えられる時代となり、膨大なExcelシステムを開発し、使用されてきた方々が会社を去られて、それを引き継いだご担当者がそのメンテナンスや新たな業務の統合化を行うのに非常に苦労され、何とかしたいという例も多くなっています。小職もExcelを否定するものではないものの、個人が自分の業務をExcel化して個人の業務効率を向上するには申し分のないシステムですが、広範囲の業務を一元化したり、膨大な複雑な式で書かれたシステムを開発者以外の人に引継ぐには限界があるツールと思っています。 EMASはExcelの良さを活かし、電力系統図を介してデータベースの定義や検索、参照を可能としており、ご担当が直感的に理解・操作し易く、言わば処理の見える化を実現したツールとなっています(図2)。全工場の積算計のデータをSCADAやタブレット検針システムから取込み、比例配分など計算により使用量を算出する仮想的な積算計の値も含めて決定し、原価計算部門や環境活動グループなどの部門別に配布するという実績処理については、どの企業においても変わるものではなく、現在Excelなどに積算計の名称など既に有る場合にはEMASを使えば1日か2日で稼働が可能です。 また、EMASは電力だけでなく、トリー(樹枝)状の構成のシステムであれば適用可能であり、先般、受注した大手化学企業殿では蒸気、圧縮空気、用水など他のユーティリティーも併せて現状のシステムからEMASに置換えられました。即ちEMASはエネルギー管理支援システムとしての性格も併せ持ちますので、顧客でのご要望も柔軟に反映させて行くことが可能です。 図2.EMASの系統図とデータベース連携画面例 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 新川電機株式会社 島本 治さんのその他の記事 2012/12/04 業界コラム 電力システム改革考 No.3 2012/11/06 業界コラム 電力システム改革考 No.2 2012/10/02 業界コラム 電力システム改革考 No.1 2010/05/12 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.6 最近の事例より 2010/04/06 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.5エネルギー使用最適化計算モジュール 2010/03/02 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.4エネルギー使用特性解析モジュール 2010/02/09 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.3 エネルギー及びCO2排出原単位管理モジュール 2010/01/13 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.2実績データ収集と部門別配布モジュール 2009/12/01 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.1EMAS(Energy Management Assist System)概要 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月