新川電機株式会社

島本 治

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前回はエネルギー実績使用量を見える化する機能のご紹介でしたが、今回は省エネ活動の重要な指標である製品別エネルギー原単位と今後重要となるCO2排出原単位の見える化機能です。

1.使用燃料・電力の製品への配布機能

前回の実績データ収集機能では図1の電力使用例の様に蒸気や圧縮空気といった用役(ユーティリティー)部門を含めた工場全部門別の使用実績を把握します。

図1. 全部門電力使用量

図2. 製品別電力使用量

一方、この機能では製品を製造するために使用した電力として、製品製造部門で直接使用した電力だけでなく、蒸気や圧縮空気など製品製造のために供される用役の発生時に使用した電力も各製品の用役使用量比で配分します(図2)。更に、電力以外の用役についても、すべて同様の配布を行いますが、自家発電がある場合の様に電力発生のために蒸気を使用し、ボイラープラントで電力を使用するといった用役同士が使用しあう場合には連立方程式を解く事になり配布は容易ではありません。当モジュールはこれらの構造の事を意識せずに、表1の様に製品の指定(区分)とお互いの使用実績データを与えさえすれば構造をシステムが判断し、必要な場合には表1、2の例の様に連立方程式も解きます。

表1. 入力表 (EMASで処理している用役は自動的入力されます。)
表2. 処理結果

化学工場など用役部門のエネルギー使用量が大きい場合には、この例の様に製造部門で直接使う量と用役使用分まで配布した使用量では使用量順位が変わる事もあり、製品数が多い場合には、省エネ活動の優先順位を見誤ることの無い様に、これらの処理での確認が必要です。

2.原単位算出機能

製造量や用役発生量を取込み、月次/四半期/半期/年間の原単位について表3の様に用役を含めた全部門のものと前述の製造部門にすべて配布した両方の原単位を計算します。原単位は使用量データと共に長期保存され解析や各種管理資料作成のための統計処理が可能です。

表3. 全部門電力原単位表

3.CO2排出原単位の算出

図3. LCAの対象範囲

地球温暖化防止活動についてCSRの観点からLCA(Life Cycle Assessment)やカーボンフットプリントに取組む企業が増えてきましたが、そこでは製品1単位あたりの原料採掘から廃棄までのCO2発生量、所謂CO2排出原単位を求める必要があります。

図4. カーボンフットプリント 経済産業省統一マーク

当モジュールでは省エネ活動の指標として決定したエネルギー使用原単位(工場全体のエネルギー使用量をすべて製品に配布したもの)を用いて下記の式によりCO2排出の大半を占めるエネルギー由来の排出原単位を計算します。

※ CO2排出原単位=CO2排出係数×燃料換算係数×エネルギー使用原単位
※ CO2排出係数と燃料換算係数は環境省や経済産業省で提供のデータを使用しています。