2010/04/06 業界コラム 島本 治 エネルギー管理ソリューション No.5エネルギー使用最適化計算モジュール 新川電機株式会社 島本 治 顧問...もっと見る 顧問 前回ご紹介しましたエネルギー使用特性解析モジュールにより、精度の良い定式化が行なわれたならば、それを用いて今回ご紹介する最適化計算モジュールにより、実際にエネルギーのコストダウンが図れます。 最適化計算機能Excelのソルバーは非線形計画/線形計画/整数計画などの問題を解くための定評ある機能ですが、EMASではこれを用いてエネルギー管理の場面で必要となる最大化、最小化問題を解くモデルを用意しています。 最大化モデルこれは各種制約の下で利益を最大とする解を求めるものですが、簡単な例を以下に示します。図1が実行前ですが、製品A,B,Cを製造するのに5種類のユーティリティーを使用しており、各々の原単位が特性解析モジュールで求められた事を意味します。この図の空色のセルをすべて与件として入力しますが、これらの制約条件の下で目的関数「利益合計」を最大にするには3製品をそれぞれいくら製造すればいいかという問題です。 図1. 実行前図2が実行結果ですが、この様に直接解を求めるだけでなく、この場合だと電力が能力(例えば契約電力)一杯使用する事になっているため、これを50増やしたら、利益がいくら増えるかといったケーススタディーも簡単に行なえます。 図2. 実行後最小化モデル図.3 ボイラー特性これは与えられた制約条件の下で目的関数を最小化する場合の解を求めるものです。例としては複数のボイラーを運転している場合に、負荷配分をどの様にしたら燃料費やCO2排出量を最小にできるかという問題があります。図3の様なボイラー特性はメーカーから与えられますが、経年変化もあり、まず、特性解析モジュールで実際の運転データで解析した特性式を求めます。 この特性式はボイラー毎に異なり、しかも非線形な特性なので、総合効率を最もいいものとし、燃料費用を最小とする負荷配分を求めるのは難しい問題となります。燃料種別が異なる場合などは更に複雑なものとなります。しかし、エネルギー多消費型の企業ではボイラープラントの数パーセントの効率化でもメリット金額が大きいため、古くより検討され、実施されてきたテーマで、かなりな規模のコンピューターを用い、線形計画法や非線形計画法などによって解を求めていましたが、現在ではこの様な複雑な処理でもパソコンの世界で出来る様になった訳です。 図4はボイラー3缶運転時、工場全体の蒸気の必要量が180T/Hの場合、最適化計算を実行した場合の結果を示していますが、すべての場合に効率のいいボイラーの負荷を最大にするのがいいとは限らなくて、定格負荷時に最大効率で、それ以上になると低下しますし、効率の悪いボイラーの負荷を落すと更に効率が低下するので、ある程度の負荷はかけておいた方がいい場合がある、ある燃料の単価が急変した場合など、直感的に考える負荷配分とかなり異なる場合があります。 図4. 最小化問題例逆に、設備運転での最大化問題として送水ポンプなど何台かをパラランさせて同一目的で使用している場合に総合効率を最大とするとするには負荷配分をどの様にしたらいいかといってものがあります。しかし、これらはいずれも精度の良いエネルギー使用特性解析を行う事が前提となります。 次回は最終回として、その他の機能や実際の導入事例をご紹介します。 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 新川電機株式会社 島本 治さんのその他の記事 2012/12/04 業界コラム 電力システム改革考 No.3 2012/11/06 業界コラム 電力システム改革考 No.2 2012/10/02 業界コラム 電力システム改革考 No.1 2010/05/12 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.6 最近の事例より 2010/04/06 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.5エネルギー使用最適化計算モジュール 2010/03/02 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.4エネルギー使用特性解析モジュール 2010/02/09 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.3 エネルギー及びCO2排出原単位管理モジュール 2010/01/13 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.2実績データ収集と部門別配布モジュール 2009/12/01 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.1EMAS(Energy Management Assist System)概要 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月