2012/10/02 業界コラム 島本 治 電力システム改革考 No.1 新川電機株式会社 島本 治 顧問...もっと見る 顧問 先般、政府から30年代の原発稼働ゼロを目標に掲げた「革新的エネルギー・環境戦略」が発表されましたが、使用済み核燃料の再処理事業については継続するとか2050年まで稼動する原発の建設許可を出すなどの矛盾の指摘、米国との原子力利用協調への配慮、更には、経済三団体から一斉に猛反発されて、結局、1週も経たない内に発表内容は参考資料とする事になりました。 これがいい例で、原発問題についての議論は未だ続くと思われますし、日本の今後を大きく左右する方針決定を選挙対策のためなどで拙速に行なうのは厳に避けるべきと考えます。 多様な対応が必要となる電力管理しかし、新規原発を次々と建設し電力需要の半分をまかなうという従来の原発路線の見直しは必至であり、経済産業省の電力システム改革専門委員会でまとめられた基本方針-国民に開かれた電力システムを目指して-にある様に「安くて手軽な電力の時代」は終わったという「電力供給」を巡るパラダイムシフトを前提として、以下の様な各種施策を社会全体で取り入れていく事になっていくのだと思います。 再生可能エネルギーの開発・導入 電力の自由化 発送電の分離 多様な電力料金体系 省エネ社会と省エネ電力取引 製造業各社では震災後の電力不足に緊急避難的な施策での対応を行なわれてきましたが、上記の様な社会全体での「電力供給」を巡るパラダイムシフトに対応して自社に最も合った電力管理改革を体系的に推し進めていく事が必要になってきます。 電力管理対応力の低下しかし、この様な社内での活動を考える場合、顧客でよくお聞きするのがそういった活動を進めていく人材が不足している、または今後不足するという事です。企業内において電気設備の計画/導入/維持運用を行なっていく時、ある程度以上の設備で必要になる電気主任技術者の不足の事を言われている場合が多いのですが、具体的には最も基本的なレベルである第三種電気主任技術者試験の合格者の2000年以降の推移は図1の様になっています。 図1 第三種電気主任技術者試験 合格者数推移この図の様に合格者は減少傾向にあります。これらは若年者の絶対数の減少/工学系志望者の減少/電気系の卒業者が採用数も多い電気自動車や燃料電池など新たな分野を志望する傾向が強い/製造業の海外シフトなどが原因として考えらますが、「電気の時代」と言われだしたここ数年は新規分野を志望する者も技術的なレベルの証のために受験する例が多いとの事なので(受験者数は増加しています)、製造業での電力管理を希望しての合格者はかなり減少していると思われます。 また、2007年問題という事で団塊の世代が60歳になり定年でベテラン技術者が減るという事が言われましたが、実際には定年延長などで少し遅れて、彼らが65歳となる今年以降、高度成長期に多くの電力管理や電気設備の計画から維持運用までの実務を経験したベテランが大量に去っていくという事が現実の問題となります。 ギャップの解消のためにすなわち、図2の様に電力管理の担当部門でやるべき業務量は高度化し、増大していくのに、それをこなしていく体制を整えるのが難しくなるという事で、このギャップをいかに埋めていくかが今後の大きな課題になっていくという認識を各社でお持ちになっていると思います。 図2 経験年数による業務量と対応力(概念図)当社も、震災前から地球温暖化防止のための省エネ推進再強化の視点で、エネルギー管理支援システム(EMAS)の開発を行い、ギャップ解消対策のご提案を幾つか行ってきましたが、今後はこのギャップ解消のためのニーズが益々顕著になると考えています。 次号からはギャップ解消の為に「どの様にして電力管理業務の効率化をおこなうか」、「電力使用量に制限がある場合にどの様に最適化をおこなうか」についてEMASを応用した事例でご紹介したいと思います。 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 新川電機株式会社 島本 治さんのその他の記事 2012/12/04 業界コラム 電力システム改革考 No.3 2012/11/06 業界コラム 電力システム改革考 No.2 2012/10/02 業界コラム 電力システム改革考 No.1 2010/05/12 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.6 最近の事例より 2010/04/06 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.5エネルギー使用最適化計算モジュール 2010/03/02 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.4エネルギー使用特性解析モジュール 2010/02/09 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.3 エネルギー及びCO2排出原単位管理モジュール 2010/01/13 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.2実績データ収集と部門別配布モジュール 2009/12/01 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.1EMAS(Energy Management Assist System)概要 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月