2012/12/04 業界コラム 島本 治 電力システム改革考 No.3 新川電機株式会社 島本 治 顧問...もっと見る 顧問 使用可能な電力が企業の制約条件になる場合、電力は工場各部門から企業全体までの殆どの活動に関係してくるため、電力量や電力料金の最適化を考える場合に非常に多くの制約条件の基でのコストミニマムまたは利益最大化を検討する事になります。 製造業における電力管理を含む最適化問題この様な場合に有効になる手法がオペレーションズ・リサーチの代表的な手法である線形計画法(LP)です。LP及びその考え方を発展させた非線形計画法は古くから石油精製企業において製造量、製品性状、半製品の混合比率、在庫能力など数多くの制約条件の基で企業全体としての利益を最大化するための生産計画立案やボイラーを複数缶運転している場合、各ボイラーの負荷量をどの様に割り振れば、全体としてコストミニマムになるかという最適負荷配分計画立案などの場へ適用されて大きな成果を挙げられています。 この手法の利用により、電力使用量に制限がある場合にその制約の範囲内で企業の利益を最も損なわない生産計画の立案や時間毎に異なる電力料金で契約している場合、またはその契約の検討時に時間帯別に多段で実行し、トータルとしての電力料金を最小化する計画を立案する事が可能になります。 これらの問題の解を求めるには、大きなモデルの場合、以前は大型コンピュータを用いなければなりませんでしたが、現在では以前の大型コンピューター以上の能力になったパソコン上でマイクロソフト社のExcelのアドインソフトであるソルバー機能を用いてかなりの規模のモデルにまで適用する事が可能になりました。また、対話形式で各種のケーススタディーを行う場合は大型コンピューターよりパソコンの方が有効だと言えます。 ただし、ソルバーでは図1の様にモデルを定義していく訳ですが、実際の生産計画で製品数が数十、制約式数が数百になる場合には、正確に定義するのは大変な作業になります。このため当社の電力管理支援システム(EMAS)では生産計画モデルと複数機器の運転計画モデルを用意しており、表形式でデータを定義すればマトリックスジェネレータとしてソルバーの式を自動的に生成して実行できます。これにより、ユーザーでは制約式を定義する作業を大幅に軽減できると共にモデルの正確性を図る事が出来ます。図2が生産計画モデルの簡単な実行例で、水色のセルを入力して実行ボタンを押すと利益合計が最大となる様に緑色のセルが算出されます。 図1.ソルバーの定義画面 (制約条件をひとつだけ入れた時点の例) 図2.EMASによる生産計画モデルの簡単な実行例 また、従来の電力デマンド管理システムでは契約電力を越えそうな場合、空調だとかオフサイトの系統を一括停止して、製造部門の停止は極力避けるという対応が多かったのですが、先般の計画停電時には多くの企業でそれだけでは不足なため製造量を落として対応されました。ただし、その対応は人手で行なわれたため製造部門のご担当が走り回られている様子がテレビでも報道されていました。 そのため、今後電力不足への対応が必要な場合に使用可能な電力量の範囲内で最も利益を損なわない工場全体の生産計画の立案システムとその計画に則り各製造部門の製造量を自動的に変化させるランピング制御システムが必要になると思われますが、当社ではこの従来のデマンド管理システムより大幅に機能アップさせたアドバンスト・デマンド管理システムをEMASとSCADAの組合せで実現します(図3)。 ただし、その様なシステムを稼働させる前提として社内各部門、各工程の電力使用特性の精度の良い定式化が必須であり、この様なフェーズにおいても当社ではSCADAで必要なデータを収集しEMASの統計解析モジュールにより定式化を行うシステムのご提案を致します。 図3.アドバンスト・デマンド管理概念図 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 新川電機株式会社 島本 治さんのその他の記事 2012/12/04 業界コラム 電力システム改革考 No.3 2012/11/06 業界コラム 電力システム改革考 No.2 2012/10/02 業界コラム 電力システム改革考 No.1 2010/05/12 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.6 最近の事例より 2010/04/06 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.5エネルギー使用最適化計算モジュール 2010/03/02 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.4エネルギー使用特性解析モジュール 2010/02/09 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.3 エネルギー及びCO2排出原単位管理モジュール 2010/01/13 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.2実績データ収集と部門別配布モジュール 2009/12/01 業界コラム エネルギー管理ソリューション No.1EMAS(Energy Management Assist System)概要 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月