2019/02/05 業界コラム 小畑 きいち 地域(地方)創生に関する諸視点 ( 1 ) 社会リサーチ・サイエンスト、日本専門家活動協会理事 青山学院大学社会情報学部元客員教授 小畑 きいち 学歴:青山学院大学で経営学を学ぶ、東京電機大学大学院で都市工...もっと見る 学歴:青山学院大学で経営学を学ぶ、東京電機大学大学院で都市工学を学ぶ、 東京大学大学院で技術管理・MOT を学ぶ 職歴:米国系メーカーで、ソフト製品開発、コンサルタント、マーケティング、国際協働チームマネジメント、 カストマー・サポート統括、産学連携マネジメントを歴任 教育歴:工学院大学、浦和大学、東京大学先端研、早稲田大学(早稲田総研)、青山学院大学、東京電機大学などで非常勤、常勤、特任、客員など講師、研究員、教授などで従事 担当分野:システム工学、E-ビジネス、プロジェクトマネジメント、技術経営、社会情報、ユーザ・リサーチ、AI、空間計画(街づくり)、都市交通、都市社会、起業論など 近年、地域(地方)創生がうたわれ中央政府、各地自治体が施策・計画・事業を促進している。しかし多くの場合、その成果はまだら模様である。行政による、計画策定の枠組みの限界、地域における基盤・資源、地域人材、文化歴史環境、社会経済変化などの要因によって種々の対応が必要とされることが理由である。地域の既存要因に合わせた柔軟な発想と計画によって地域活性化が各地で促進されて地方創生が進むと考える。 3 回に分けてその現状を整理し、紹介する。 ( 1 ) 地域(地方)課題の気づき地方創生が注目され始めたのは、元総務大臣の増田寛也氏を座長とする「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会が 『2040 年までに消滅する恐れがある市町村が 896 ある』との報告が発表されたことが切っ掛けである。2010 年の国勢調査に基づいた試算で、2040 年に 20~39 歳の女性人口が半減する自治体を『消滅可能性都市』と報告している。女性の減少が出生数を減らし、地域人口が 1 万人を切ると、自治体運営が成り立たなくり消滅するとした報告で、これによれば全国、約 1800 市町村のうち約半分が消滅することになり全国に衝撃を与えた。 日本の人口は第二次大戦後の 1945 年で約 7,200 万人、2015 年では約 1 億 2700 万人となっており、この 70 年間に約 2 倍弱の人口増加があった。この間、日本経済は復興経済、高度成長経済そして経済停滞からの復調と推移した。1980 年代の高度成長期から 1990 年代後半のバブル崩壊経済期をへて、2017 年には国内総生産(名目 GDP )は約 2 倍の約 549 兆円(約 4 兆 8721 億ドル)となり、ここ数年は微増傾向にある(図 1 参照)。 しかし、世界対比では、日本が占める名目 GDP はバブル経済直前では 17.7%(1994 年)占めたが、バブル経済崩壊により景気低迷で縮小が続き、復調傾向ではあるが、現在は 6.1%(2018 年)までに低下した。 世界経済に占める日本の地位が新興国シェア拡大などにより、製造業などでは地盤沈下が続いている。 図 1:日本の実質 GDP 成長率推移(%) 出典:内閣府ホームページ 国民経済計算より作成識者の一部は、日本の企業は、バブル崩壊後はコスト削減一本の経営に走り、技術開発、人材開発、技術継承などへの将来を見据えた経営を失い、急速にものづくり日本の技術的優位性を失ったと論じている。 (2)社会構造の変化(収縮社会へ)日本の人口は、2008 年の 1 億 2,808 万人をピークに減少に転じ、2016 年の合計特殊出生率は 1.44 と減衰し、人口増が見込まれず 8 年連続人口減が続いている。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、日本の人口は 2048 年に 9,913 万人と 1 億人を割り込み、2060 年には 8,674 万人まで減少すると見込まれており、縮小社会の到来となっている(図 2 参照)。 図 2:日本の人口推移 出典:内閣府ホームページ (https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/index.html)これまでは、人口増、経済成長を基底とした GDP 成長を果たした日本社会も転換点を迎えている。この変化に最初に直面したのは、東京、関西、中京など大都市圏への人材供給供源である地方地域で、深刻な人口減少と高齢化が同時進行で急速に進みつつある。 地域経済の活性化、生活基盤の整備(子育て・福祉など)、就業機会の創成、地域協働体制、 まち・ひと・しごとの創生による地域基盤の持続的な維持などが必要となる。 一方、人口減少は全国的な現象であるため、今後大都市圏周辺も無縁ではない。大都市圏の郊外都市でも高齢化・人口収縮が進みつつある。これまでの高密度・消費優先社会から持続的社会への変換が急がれる。 参考:日本の将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所) この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 社会リサーチ・サイエンスト、日本専門家活動協会理事 青山学院大学社会情報学部元客員教授 小畑 きいちさんのその他の記事 2024/03/12 業界コラム 都市を巡る『北スペインにおけるスマートシティ』 2023/05/09 業界コラム 海外都市を巡り『キーウ (キエフ)』歴史に翻弄されてきた千古の歴史都市 2022/09/13 業界コラム 都市を巡る『中国・重慶 Chongqing』退潮工業都市から先端スマートシティへ 2022/02/08 業界コラム 都市を巡る『米国・デンバー Denver, Colorado』公共交通基盤整備による地区再開発と地域再生・ビジネス振興の仕組みづくり 2021/04/12 業界コラム 都市と地域創生 / 再生都市巡り『イタリア・ボローニャ(Bologna)』 2019/04/02 業界コラム 地域(地方)創生に関する諸視点 つづき( 3 ) 2019/03/05 業界コラム 地域(地方)創生に関する諸視点 ( 2 ) 2019/02/05 業界コラム 地域(地方)創生に関する諸視点 ( 1 ) 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月