新川電機株式会社

大西 徹弥

ST製品事業本部 ST製品企画室...もっと見る ST製品事業本部 ST製品企画室

第四回と第五回は、新川電機でラインナップしているワイヤレスシステムをご案内します。
今回はワイヤレスセンシングシステム「e-SWiNS」のご紹介です。

冒頭には「e-SWiNS」のラインナップである、920MHzタイプとISA100タイプの実機をお見せしながら、概要や特長など本コラムの内容を説明した動画をご用意しました。
コラム内にはシステム構成図や、「傾向監視データ収集ソフトウェア infiSYS Lite」の操作画面を掲載していますので、併せてご覧ください。

ワイヤレスセンシングシステム「e-SWiNS」紹介動画


e-SWiNSの概要と特長

ワイヤレスセンシングシステム「e-SWiNS」は、920MHzタイプとISA100タイプの2種類ラインナップしています。920MHzタイプは、Wi-Fiなどの2.4GHz帯無線と比較して通信距離が長く回折性に優れている920MHz帯無線を採用しており、配管や構造物などの障害物が多い工場やプラントにも安定した通信を実現することが可能です。ISA100タイプは、国際標準規格であり強固なセキュリティと高い信頼性を併せ持つISA100.11a工業用無線を採用しており、更に日本における本質安全防爆に対応しています。

どちらのタイプにも振動解析に必要な振動周波数の情報を送信する機能を有しており、専用の傾向監視データ収集ソフトウェアinfiSYS Liteで収集データの一元管理を行うことで、回転機械の傾向管理と異常原因の推定が可能です。

e-SWiNS (920MHzタイプ)

920MHzタイプのe-SWiNSは、振動を測定するセンサと無線の送信機を搭載した子機から無線の受信機である親機を経由してinfiSYS LiteがインストールされたPCにデータを伝送します。子機と親機の距離が離れている場合や障害物が多い場所で通信が途切れてしまう場合には中継機を設けることで通信品質を確保することが出来ます。

図1 e-SWiNS(920MHz)システム構成

920MHzタイプは用途や使用環境に合わせて最適なものを選択できるように、長距離通信が可能なパワード(電源供給)型、振動だけでなく温度も測定できるバッテリー型、ハーベスト(自己発電)型など計5機種の子機をラインナップしており、各子機の特徴をまとめた一覧表を図2に示します。

図2 各種子機の特徴

5機種ラインナップしている子機のうち最新機種である一体型バッテリーセンサは、振動センサ、温度センサ、バッテリー、無線送信機すべてを内蔵したALL IN ONE設計であり、無線の利便性と機動性を最大限に活かすことが出来ます。また送信される振動は加速度振動だけでなく、エンベロープ処理されたe-加速度振動、速度振動、変位振動をあらかじめ用意された組み合わせから最適なものを選択することで、傾向監視から異常原因の推定まで幅広い用途に対応しました。e-SWiNS(920MHzタイプ)の特徴である振動周波数解析結果の送信データはTOP10とし、他機種のTOP5から増やすことでより綿密な解析を可能としています。防塵防滴構造(IP66)で屋外の回転機械にも十分適用することが出来ます。

e-SWiNS (ISA100タイプ)

ISA100タイプのe-SWiNSは、1つのセンサで加速度センサと温度センサを内蔵しており、フィールド無線用アクセスポイントと管理ステーションを経由してinfiSYS LiteがインストールされたPCにデータを伝送します。

図3 e-SWiNS(ISA100)システム構成

ISA100タイプにおいても、回転機械に発生する様々な異常兆候の早期発見のため低周波数から10kHzまで対応するセンサを使用しています。また、12時間または24時間おきに振動の生波形データを送る機能を搭載しており、infiSYS Lite側でエンベロープ処理や周波数分析を行うことで異常箇所の推定が可能です。920MHzタイプと同じく防塵防滴構造(IP66)で屋外での使用も可能で、本質安全防爆に対応したことで石油プラントや化学工場などの防爆エリアに点在する回転機械にも適用することが出来ます。

傾向監視データ収集ソフトウェア infiSYS Lite

infiSYS Liteはe-SWiNSの920MHzタイプとISA100タイプ共通のソフトウェアで、測定したデータの時系列変化を見ることが出来るトレンドグラフや周波数分析結果を表示するウォーターフォールグラフ、ISA100タイプから送信される生波形データを見ることができる波形グラフの表示ができます。

図4 傾向監視データ収集ソフトウェア infiSYS Lite

infiSYS Liteで収集した振動値や周波数分析結果などの全てのデータはIoTプラットフォームに送ることができます。e-SWiNSで測定したデータを上位システムと連携することによりビッグデータ解析や遠隔監視など様々な用途で活用することができます。

次回は、当社がラインナップしているもう一つのワイヤレスシステム「ZARK & Machine Dossier」をご紹介します。

本コラム関連製品

e-SWiNS(920MHz)

e-SWiNS(ISA100)