2013/05/14 業界コラム 生田 幸士 創造のなぎさに遊ぶ No.08 作って落として感動しよう 東京大学 名誉教授 / 名古屋大学 名誉教授 / 大阪大学 医学部 招聘教授 / 立命館大学研究教授 生田 幸士 1972年 大阪府立住吉高等学校 卒 1977...もっと見る 1972年 大阪府立住吉高等学校 卒 1977年 大阪大学 工学部 金属材料工学科卒業 1979年 同学 基礎工学部 生物工学科卒業 1981年 同大学院 博士前期課程物理系・生物工学専攻修了 1987年 東京工業大学 大学院 理工学・EE、究科 博士後期課程・制御工学専攻修了 (工学博士) 同年4月より米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校ロボットシステムセンター 主任研究員 1989年 東京大学 工学部 計数工学科 専任講師 1990年 九州工業大学 情報工学部 機械システム工学科 助教授 1994年 名古屋大学大学院 工学研究科 マイクロシステム工学専攻 教授 2010年4月 東京大学大学院 情報理工学系研究科 システム情報学専攻 教授 2010年10月 東京大学 先端科学技術研究センター 教授 (兼務) 2010年秋 紫綬褒章受章 2019年 東京大学 名誉教授 / 名古屋大学 名誉教授 2019年 大阪大学工学研究科栄誉教授 2020年 大阪大学 医学部 招聘教授 1996年-2001年 日本学術振興会 未来開拓学術研究推進事業 複合部門「生命情報」推進委員 「人工細胞デバイスの開発」プロジェクトリーダー 2003年より 21世紀COE研究サブリーダ 2004年より2009年 名古屋大学 高等研究院 研究員併任 2004年より2009年 科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CRESTタイプ プロジェクトリーダー 所属学会 IEEE,ASME,日本機械学会,日本ロボット学会(理事,会誌編集委員長),日本ME学会(会誌編集委員), 日本コンピュータ外科学会(理事)等会員. 6月1日(土)、東大先端科学技術研究センターの公開日の期間に、懸案の「たまご落とし」コンテストが開催される。誰でもが誰でも手ぶらで参加できるコンテスト。事前登録すれば確実だが、当日でも枠があれば参加可能。午前、午後それぞれ100人以上の参加者を見込んで準備している。本メルマガの読者も、親子で参加すれば良い思い出になるはず。参加賞まで先端研は準備している。よほどの雨天でない限り決行である。 「たまご落とし」コンテストやります本コンテストの経緯や過去の作品の様子は、昨年のメルマガを再読すればヒントになるが、あまり過去の作品を勉強しないで、自分で構想してみて欲しい。 その方が独創的で楽しい作品ができる。過去の作品群より、読者の脳内空間の方が広いはず。 普段は、B5サイズのボール紙と白い木工用ボンド、生たまご(M)が材料である、今回は1時間程度で作製し、即、落下実験なので、速乾性ボンドを使う。ボール紙のサイズも、普段の2倍のB4サイズ。自前のカッター、はさみなど持参してもらえば幸だが、会場ので貸し出しもある。 こんなサービスは、東大でも今回のオープンラボだけである。詳しいことは、下記のWEBを一読して欲しい。 理科教室の案内⇒http://komaba-oh.jp/science/science.html 講演と研究室も見ようWEBにも掲載されているが、5月31日(金)、6月1日(土)は、先端研、生研の研究者による頭を刺激する講演がある。一例としては、地震後の復興政策の策定者の御厨先生による災害アーカイブ、卓上サイズの可愛いロボットの開発者の講演もあります。医学、理学、工学、社会学から文科系の講演まで幅広いのが特徴。先端研は理系文系のトップ研究者が在籍しているので、子供から大人まで楽しめる。まるでアカデミックディズニーランドである。 愛知万博での手術ロボットのデモ筆者も、31日(金)午後2時から講演する。お時間があれば、どうぞ。メルマガと違いライブ。広報部の配慮で、素敵な女性司会者がサポートしてくれる。 講演内容もWEBに掲載されているが、単なる研究紹介よりも、研究時の状況、反響など苦労話も話す予定である。 講演会の案内⇒http://komaba-oh.jp/lecture/lecture.html 先端研のキャラも発表研究展示の詳細もWEBにオープンラボの特集ページに公開されている。入り口では手のひらサイズのカラーパンフレットももらえる。 さらに、今年は、「先端研のキャラ」も掲示予定。先端研には6つの部門があるので、「先端6レンジャー」になている。流行のあるキャラではない。先端研の研究者は常に尖っていることが期待されているので、「とんがりキャラ」である。作画はセミプロのDr.矢島画伯。彼は筆者の研究室で2011年に工学博士を取得した若手である。現在、某メーカで研究開発しつつ、土日は漫画、イラストの執筆中の、ユニークな人材である。先端6レンジャーには、それぞれ深い意味とストーリーがある。ご自分の眼で確認して欲しい。 人を育てる「オープンラボ」公開イベントのお世話は、先端研の広報担当職員が仕切るが、展示説明やたまご落としコンテストは、研究室の若手研究員と大学院生が中心である。前任地でも筆者の研究室の見学会や学外での研究展示には、大学院生が活躍してくれた。2005年の愛知万博やビッグサイト、札幌での子供科学博、医学会総会での遠隔手術ロボット、医用マイクロマシンの実演展示など数多くのイベントで、子供を中心に市民に研究を紹介してきた。 開催日までに手術ロボットのハードとソフトを完成させ、分解、梱包、発送、現地で待ち構え、梱包を解き再度組み立て、再調整、遠隔制御実験まで、すべて大学院生たちに任せる。もちろん、横目で見ているのだが、20年ほど前は経験もなく、学生どころか筆者も奔走した。この理由は、本当に多くの想定外の問題が発生するからである。 中学生による模擬手術 事前に書面で頼んであった電源が来ていない。(これではロボット動かせません) 展示照明がない。(見せられないぜ) 現地でロボットを組み立てたら、動かない。(確実に動作する設計にせよとアドバイスしてきたのに。。。) 移動中に重要な部品が壊れていた。(剛性の低い設計にするからだよ) 操作体験をしてもらったお客さんにロボットを壊された。(設計強度が低かったので、引き分け) 病気のプロの熟年者が来て、手術ロボットですぐ癌を切ってくれと迫られる。(大学の研究は実用機では無いんだけど、それは言い訳ですね) マイクロマシンが見えないと怒る来館者。(数ミクロンの物体は肉眼では見えません) ハンサムな学生にナンパしてくる熟女たち。(世代を超えた交流は大切ですよね) 以上のような、物的、人的、精神的な問題を、その場で即座に解決しなければ先に進めない。火事場の底力ならぬ、「火事場の底知力」で乗り越えて来たのである。読者の中にも、仕事上で似た経験をされた方も多いと思う。学外での展示実演のお世話は、学生の経験知を高めるには最高の道場である。子育てされた熟年主婦の問題解決能力が高いのも、同様の理由である。 さらに、学生の場合、市民への説明と質疑応答のデスマッチで、発表能力の大幅向上のメリットがある。愛知万博の際は、一日12時間の展示を2週間行った。その年の卒研発表会は、全員、事前の指導が不要なほど高いレベルであった。これも隠れた万博効果の一つである。 人のお世話で自分が育つこれは筆者の持論であるが、「人間力を育てる近道は、他人のお世話をすること」。医療や福祉に役立つロボットや装置を開発する際、この気持ちを強く持っているか、単なる研究成果を出そうとしているかが、運命の分かれ道。企業も単なるお金儲け集団になると、途端に先が見えなくなる。社会への貢献を考えれば、自然とシナリオが見えてくる。成功者が言う言葉は総じて同じである。たまご落としをして、自分の会社がどうすれば人の役に立つか脳細胞をフル稼働させるのも悪くない。たまごは食べなくても脳の栄養になる。 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 東京大学 名誉教授 / 名古屋大学 名誉教授 / 大阪大学 医学部 招聘教授 / 立命館大学研究教授 生田 幸士さんのその他の記事 2021/03/08 業界コラム 人間力の鍛え方教えます - 教育から共育へ - (2) 2021/02/04 業界コラム 人間力の鍛え方教えます - 教育から共育へ - (1) 2020/12/01 業界コラム 創造のなぎさに遊ぶ No.12宇根さんの虹 2016/07/05 業界コラム 創造のなぎさに遊ぶ No.11 「サイエンスがロボティクス?!」 2013/11/12 業界コラム 創造のなぎさに遊ぶ No.10 不気味の谷に集う人々 2013/09/03 業界コラム 創造のなぎさに遊ぶ No.09 先端研たまご落としで学んだこと 2013/05/14 業界コラム 創造のなぎさに遊ぶ No.08 作って落として感動しよう 2013/03/12 業界コラム 創造のなぎさに遊ぶ No.07 桜の下で馬鹿になれ 2012/12/04 業界コラム 創造のなぎさに遊ぶ No.06 馬鹿になってノーベル賞 2012/08/07 業界コラム 創造のなぎさに遊ぶ No.05 キャンパス夏事情 2012/07/10 業界コラム 創造のなぎさに遊ぶ No.04 女王陛下の手術ロボット 2012/04/10 業界コラム 創造のなぎさに遊ぶ No.03 たまごが割れたらブレイクスルー! 2012/02/14 業界コラム 創造のなぎさに遊ぶ No.02 パリでの日本再考 2012/01/17 業界コラム 創造のなぎさに遊ぶ No.01 小さな機械で大きな夢を 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月