「そんな酷い人だとは思わなかった!」
誰かに騙されたりした時に、よく聞くセリフです。自分は相手を信じていた、あるいは、そんなことをするとは思ってもいなかったということですが、裏を返せば、そういう相手だということを見抜けなかった、あるいは、騙されていることに気がつかなかったということでもあります。
ナイーブでは困るのです
会社などの組織で、異動あるいは新しくヘッドハンティングで会社に入ってきた人と話すと大抵は次のような会話が交わされます。
「是非、XXさんのような外から来た方の目で、悪いところをご指摘いただいて!」
「わかりました。お任せください。私の経験を活かせると思います」
そして暫くすると。。。
「これほど酷い状態だとは思わなかった!」
いずれも、” 期待していた状態と違っていた ”、ということなのですが、期待の前にもう少し情報をインプットすることは不可能でしょうか。
基本的に悪い人は少ないという性善説をとると、あまり調べないで、期待を膨らませ、前述のようなガッカリ状態になることは少なくありません。
日本では、ナイーブという言葉の使われ方が、英語の意味と正反対のニュアンスであることは既に知られていると思います。「あの人はナイーブなひとだから」私自身も最初はいい意味で使っていました。
ナイーブ = ケガレのない純粋な人
というような意味あいで。しかし。。

アルクのオンライン辞書「英辞郎 on the WEB」※1 で調べると
http://eow.alc.co.jp/search?q=naive
うぶな人、だまされやすい人、経験不足であまりに考えが甘い、鋭さに欠ける、
などの訳が並びます。一部を除いてどれもいい意味ではありません。
私が体験したイスラエルとの訴訟でも、あまりに振る舞いが非道いので、在日イスラエル大使館に聞いたところ、「万代さんお気の毒ですね。でも、その場合は、騙されるほうが悪いです。少し調べれば判ったでしょう?」
と、商務官に言われた事がありました。
日本以外では、ナイーブでは困るのです。英語の意味は正しい。
約 120 年ぶりの民法の債権関係の規定を改正する閣議決定がなされました。
企業と消費者の契約で、消費者が想定外の過大な不利益を被る条項は、仮に合意がされていたとしても、不当な場合には無効とできるようにして、消費者保護を強化する目的です。
法務省 民法の一部を改正する法律案
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00175.html
消費者にとって不利な約款はあとで不当と判断されれば無効となる = 弱い立場の消費者を保護するという観点からは、” いいこと ” ではあるのでしょうが、実は、ますます、約款や利用規約をよく読まなくなってしまうのではないかと懸念しています。
「私は弱い消費者。” ナイーブ(この場合、純真無垢な的な)” な消費者。どうせ守ってもらえるもんね」って。
改正では、消費者がキチンと約款の内容を把握、理解して合意している場合は有効であるともしています。
サイン、押印するならば、やっぱり ” よく読んで理解 ” しないといけないですよ。
もっと、” 契約 ” に親しみましょう。
※1: 「英辞郎 on the WEB」は、株式会社アルク [http://www.alc.co.jp/]が提供する英和・和英対訳データ検索サービスです。「英辞郎」は道端早知子氏の登録商標です。
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