2019/06/04 業界コラム 万代 栄一郎 テクノロジーは答えか? 株式会社 ODR Room Network 代表取締役 万代 栄一郎 1981年 立教大学経済学部 経営学科卒業 事...もっと見る 1981年 立教大学経済学部 経営学科卒業 事務計算センター(現日本システムウエア株式会社)入社 イスラエル製品マーケティング担当 副本部長 2004年 株式会社リンクマネージ取締役 経営管理担当 2008年 日本システムウエア株式会社(NSW) 非常勤顧問 2008年 株式会社 ODR Room Network 代表取締役 システムエンジニアとして各種システム設計・開発・運用に従事、 早稲田大学 情報化プロジェクト、杏林大学 総合情報センター技術顧問、 独立後 ODR 専門家として外資系日本法人の IT コンサルティング、弁護士事務所等の IT サポート、総務省のODRプロジェクト、経済産業省 ERIA プロジェクト、経済産業省の国境を越える電子商取引の環境整備プロジェクト、消費者庁越境消費者センター事務局 群馬県出身 / 横浜市在住 新しい技術は日々現れる。そして、大抵は制度の方が追いついていなくて、できるのに「やってはいけない」とされている場合も多い。今回は、最近の新技術ではあるが、制度がおいついていない話題を 2 つご紹介する。まずは、 自動運転どの命を救うべきか問題もう随分前からこの問題は議論されている。原作・鉄腕アトムの時代から。 人命に関わる究極の選択時、誰を救うようにプログラミングすべきか。 NewsWeek 日本版 2018 年 12 月 10 日(月) 自動運転車は「どの命を救うべきか」世界規模の思考実験によると… https://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2018/12/post-11392_1.php 子供が車道に飛び出してきた。避ける道は 1 つ。するとその先に 5 人の老人がいる。 同じ命題で、 トロッコの先に 5 人の作業員。分岐で切り替える先には 1 人の作業員。 ノーベル賞候補者の 1 人か、そうでない 5 人か 男性 5 人か女性 1 人か、女性 5 人か男性 1 人か 高額納税者か、生活保護受給者か 与党議員 1 人か、野党党員 5 人か、野党 1 人か与党 5 人か キリスト教徒かイスラム教徒かユダヤ教徒か仏教徒か神徒か、無宗教者か 人数か、学歴か、性別か、収入か、政治信条か、宗教か、、、、いい人か悪い人か。。。 答えている人の素性や立ち位置によっても異なりそうだ。 人口が少ない国なら人数をとるかもしれない。 知識の豊富な老人を守る国柄もある。 若い可能性を選ぶべきか。 学歴のある研究者が生きるべきだ? 女性は子供を産めるから。。。 男性がいないと守れない? 高収入者がいなくなると困るかも? 与党で安定? 野党で革命? マイナー宗教こそ守るべき? 「鉄腕アトム」が原作の浦沢直樹氏の漫画 PLUTO(PLUTO – Wikipedia)では、「あらゆる可能性をインプットしようとするとロボットは目覚めず、なんらかの基準を持った “憎悪” をいれることで目覚める」ことになるが、 偏り、こだわり、欠点を持たせないと、上記の命題には答えられないのかもしれない。ただ、車の場合、止まるという機能強化ができそうにも思う。 そうなると、急停車により、乗車している人の命があやうくなるのか。 上に、ジャンプという選択肢はとれないのかな。 しかし、よくよく考えてみれば、これは自動運転だけの命題ではなく、人間が運転していても遭遇する選択だ。人間の運転であれば責任は人間について回るが、自動運転の場合は誰に責任がいくかが問題になるので、選択の理由がより議論されているのだ。 単に技術的な問題ではなく、実は答えが出ない問題は世の中にたくさんある。そうしたことに折り合いをつけていくべきなのだ。そういう時期に世界は、日本は、入ってきている。 請求書の電子化 さて、もう一つは、請求書の電子化。「紙の請求書なんか時代遅れや?、変化できんのは頭が古いからや?」という向きもあるだろうが、実際にやろうとすると出てくる具体的な、時に制度的な問題にぶち当たる。そこから解決に向き合っていこう。 昨年の BLOGOS ブログ。請求書が紙で要求されることにすごく怒っている有名ブロガーがいた。 いまだ紙の請求書を郵送させるのは企業。今すぐメール添付に切り替えろ https://blogos.com/article/342522/ 多少は同感するが、実際はどうなのか? 改めて自分でも自社の場合を元に考察してみる。 自社送付の請求書 自社の取り引き先で請求書を紙で送っているのは、91%。メール添付は 9%。圧倒的に紙が多いが、電子化もそれなり増えつつはある。 自社受け取りの請求書 自社の受け取る請求書のうち紙は 35%(11 月時点)、電子化されているのは 65%。電子化が主流になってきているのか? しかし、これらには、電話会社、携帯会社なども含まれている。またクラウドサービスの会社などが含まれている。 電子化で受け取った場合 月次集計時に印刷している。これは在宅で依頼している会計担当者に送付するためだ。以前は電子データを送っていたが作業効率や正確性の点から結局印刷して作業しているとのことなので、時間と印刷コストを負担されないようにそのように変更。 また、将来会計監査が入った際に備えて帳票は印刷してファイルしている。 デジタル監査のためには 監査がデジタルだと、何をどのように渡すのか? なんらかの専用システムやデータ標準が必要になるだろうし、渡す側がそれに合わせてデータを揃える必要があるだろう。社内のデータ統一や窓口の一本化なども実務的には必要となる。そうでないと、結局、税務監査の際に誰かが全部印刷することになる。もしそうなら、単に紙出力の工程を先送りにしただけのことだ。 情報センサー 2018 年新年号 デジタル監査の実現にむけた IT 施策 -監査インフラとしての IT 技術の展開- https://www.eyjapan.jp/library/issue/info-sensor/2018-01-08.html システム対応できているかどうか そうなると、請求書を受領する側がデジタル請求、会計、監査までに対応できているかどうかがポイントとなる。一方的に請求書をデジタル化して送りつけても誰かがどこかのタイミングで印刷し紙資料にしなくてはならない。 税理士からの見解 1) 国税関係書類に保存については原則、紙ベースとなる。 2) 書類を電子化して保存する場合は開始 3 ヶ月前までに税務署に承認申請を行う必要があるが、電子保存についてはかなり事細かい要件があり、実際にはあまり進んでいないのが現状。 3) 電子帳簿保存法では、受領書類、発行書類ともに、監査に備えて、a)記録の修正履歴などの確保、b)帳簿間での相互関連性、c)検索性の確保が求められ、守られていない場合青色申告が取り消される可能性もあり。 4) 結局、適用には要件を具備した電子計算処理システム等が必要となる。 5) ちなみに、スキャナ保存の要件のひとつで入力期間の制限があるが、これまで受領者以外の者が電子化を行う必要があったが、H28 年 9 月の規制緩和において、領収書受領者本人が電子化する場合の特例方式が追加された。 上記受領者本人が電子化する場合は受領後、自筆でフルネームを署名して、3 日以内に電子化を行う必要があり、期限を過ぎてしまった領収書等については、紙ベースでの保管が必要となる。まめに保存しないとダメだということ。これらもコスト要因。 6) また従業員がいない場合、相互けん制の要件を満たさないため、税理士の定期的な検査(最低年 1 回)が必要となり検査終了後、領収書等の廃棄が可能となる。 7) 税務調査については、調査官がパソコンで自らデータの検索を行って調査することも考えられる。 こうして改めて冷静に考えて見ると、請求書の “一方的な” デジタル化は、新たなブラックを生み出してしまいそうだ。 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 株式会社 ODR Room Network 代表取締役 万代 栄一郎さんのその他の記事 2020/09/10 業界コラム ITエンジニアが法律に影響している 2020/08/18 業界コラム 「弁護士費用立て替え」という訴訟投資ファンド 2020/08/04 業界コラム 司法IT化は日本でも進むか、その後のステージ 2019/08/06 業界コラム 司法 IT 化は日本でも進むか 2019/07/02 業界コラム オフィスハック -オフィスで役立つ様々な考え方- 2019/06/04 業界コラム テクノロジーは答えか? 2018/08/07 業界コラム 働き方改革 No.3 『散歩ミーティング実践』 2018/07/03 業界コラム 働き方改革 No.2 『議事録 2.0 またはそれ以上』 2018/06/05 業界コラム 働き方改革 No.1 『3 つの IT ツール』 2017/06/06 業界コラム ” 秘密情報 ” の秘密 2017/05/10 業界コラム あ! それは証拠隠滅!!? 2017/04/04 業界コラム 思わぬ漏洩 – 街中の PC は覗かれている – 2016/04/05 業界コラム ナイーブでは困るのです 2016/03/08 業界コラム 謝罪の文化と文法 2016/02/09 業界コラム 弁護士は教えてくれない その 2 2016/01/13 業界コラム 弁護士は教えてくれない その1 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月