ご縁がご縁を招き、この度『SHINKAWA Times』にコラムを投稿させて頂く機会を賜りました。
第一話~二話は常日頃目にする常態的 IT 担当者不足に悩む中堅中層企業経営者層にちょっと気の利いた対処方法をアドバイスさせて頂こうと思います。第三話は私自身 16 年ほど継続しているメルマガを通じた縁尋機妙・多逢聖因についてご紹介させて頂こうと思います。駄文雑文ですが気づきに繋がって頂けましたらこの度のご縁を幸いに思います。

さて、1週間ほど前に Windows10 がリリースされましたね。
当初スタートボタンが無くなり大騒ぎとなった Windows8(8.1含む)は 20% にも満たず、依然 Windows7 が 70% 超と圧倒的シェアを誇っているといった記事も目にする中、Windows10 無償提供…と思い切った施策が打ち出されたりと、とかく話題先行の IT 業界には地に足をつけた経営視点で臨みませんと無駄な IT 投資につながりかねません。
例えば万一下記の様な問題が御社内で発生したとしたらどのように対処されるか、どこに相談されるか、中堅中小企業層での実話をもとに “地に足の着いた” 経営視点での一手を模索してみたいと思います。
◇モデルケース 1.資本金7億円 製造販売業様
『昨年 ERP を導入しましたが半年経過した現時点でも未解決問題が多数ある状況です。弊社システム全体の中でこの ERP を継続使用すべきか見直すべきかの判断つかずに悩んでいる。』
◇モデルケース 2.資本金5億円 鉄鋼製品製造業
『オフコンの保守期限が迫っているので長年付き合っている業者に入替えの概算を聞いたところ 2000 万円かかると言われました。他業者に依頼したことがないため価格の妥当性が判断できない上に経営層からも妥当性を調査するよう言われ悩んでいる。』
◇モデルケース 3.資本金30億円 工業用品製造業
『現在 A 社の○○システムを使っているが 2015年XX月には保守が切れ、それにあたり次世代システムを探したいが、どの様にすれば見つけ出せるかが解らずに悩んでいる。現時点では実際の構築やどこのパッケージを入れるといった段階ではなく、選定前段階として相談できるところを探している。』
◇モデルケース4.資本金3千万円 健康食品製造業様
『弊社では生産管理・在庫管理・販売管理・営業・財務経理などのシステムを個別管理している。業務効率化の為、基幹システムの統合パッケージ導入を検討してるが専門知識を持っていない為、RFP が作成出来ず悩んでいる。』
◇モデルケース 5.資本金27億円 計測機器製造業
『トップの意向により IT 関連の問題点を抽出したところ、大小様々な問題が出てきたが専任の担当者もいないため、どうやって解決策を進めていけば良いかわからずに悩んでいる。』
“SHINKAWA Times” の読者様は製造業のお客様が多いのではないかと思い製造業のお客様からの実際のメッセージをピックアップしてみました。
どのメッセージも切実で且つなかなかピタッとはまった相談相手が思い浮ばないモデルケースではないかと察せられます。内容によっては「実はわが社も…」と身に覚えのある方も居られるのではないでしょうか?

解決しようにも微妙な要素が多々含まれます。例えば経営層と情報システム部門/担当との視点の違いや力関係や人間関係。出入りされている IT 業者に丸投げ、もたれ合わざるを得ない事情・実情とか。
厳しい表現になるのですが、経営層が期待していることに対し幅広い知識や経験ならびに客観的な視点がないために情報システム部門/担当では困難…という根本問題も存在します。従ってこのような “悲鳴” は情報システム部門/担当からではなく経営層、経営企画室といった役回りの方々から発せられるケースが多いのも一つの傾向です。
例えばモデルケース1の場合、
当たり前ですが出入りの IT 業者に対し不信感が有るわけですからそのような所に相談など出来るはずが有りません。しかし中堅中小企業層ではモデルケース 2 のように他の業者との付き合いはお持ちでない可能性も高いと思います。また業者を替えても同じようなことを繰り返すのでは…と気にかかるのではないでしょうか?
モデルケース3の場合、
一般的な IT 業者は “特定製品の販売” や “受託開発” が主業務のはずです。“選定前段階” に相談をしてみても客観的な公平中立な意見を入手できるかと言えば、当然自社扱い製品寄りの提案がなされる可能性は織り込まないといけないでしょう。モデルケース 4 に有る “RFP” (Request For Proposal/提案依頼書)を依頼する際にも自社寄りの内容を織り込まれた RFP ではまさに “出来レース” といった結末に至ってしまいます。
モデルケース5の場合、
中堅中小企業では情報システム部門/担当が居なかったり、極端に少なかったりと言った問題は常態化してます。その結果、情報システム部門/担当の弱体化、ある意味出入りの IT 業者頼みになってしまいかねません。経営層と情報システム部門/担当との意識の乖離現象を引き起こし相互不信へとつながります。かといって出入りされている IT 業者に相談すれば、当然のようにいま流行りの IT 用語がちりばめられた次期システムの提案書や見積書がすぐに届くでしょう。しかしそもそも経営層が “IT 関連に問題点“ を感じているのですからそれでは経営目線にはかなってません。かといって情報システム部門/担当は人手不足、能力不足で何をどこから手を付けてよいやら…つまり経営上の重要な懸念点が堂々巡りの無限ループに陥ってしまうわけです。
さて、御社で上記のようなモデルケースが発生したらどうされますか? 如何にすれば経営視点にかなった解決につなげられるでしょうか?
例えば建設の世界ではコンストラクションマネジメントといった方式が早くから存在するようです。

コンストラクション・マネジメント(construction management)
コンストラクション・マネジメント(construction management)とは、建設プロジェクトにおいて、建設発注者から準委任を受けたコンストラクション・マネジャー(CMr)により、中立的に全体を調整して、所期の目的に向かって円滑に事を運ぶ為の行為のことである。CM 方式。
引用:Wikipedea コンストラクション・マネジメント
その担い手が設計事務所や一級建築士のようです。会計の世界では公認会計士や監査法人なども “中立的な” 立ち位置でその役割を果たします。
では、IT の世界では…。
会計や建設といった業種から比べるとまだまだ歴史の浅い IT 業界ですがシステムコンサルタント、IT システムコンサルタント、ICT システムコンサルタント(以下システムコンサルタントと表記)という職種の方々を活用してみるのも経営視線に叶っているのではないかと思います。丁度 IT と経営を橋渡しするような立ち位置です。
とかく社内では情報システム部門/担当も経営層に物を申すには勇気が必要ですが、システムコンサルタントとなら互いに IT を理解している者同士話もスムーズですし、かたやシステムコンサルタントは経営層と経営の視点で会話をするため、今まで情報システム部門/担当が上手く経営層に伝えられなかった実情・事情なども経営視点で上手く伝えるメッセンジャーとしての機能を発揮し経営層と情報システム部門/担当との信頼関係回復の一役を担うことが出来ます。
ここ最近、“第三者委員会” といったキーワードを報道等で良く耳にします。某大手製造メーカーにおける不正利益計上の内部調査・報告を行ったのが “第三者委員会” という社外組織でした。社内では様々な都合やしがらみが複雑に絡み真実をつまびらかにできなかったため第三者の力を借りたという形ではないかと思われます。
中堅中小企業層では常態的に情報システム部門/担当が不足している上、専門性が求められる IT システム故にシステムコンサルタントを “第三者委員会”、“公平中立な専門機関” として活用することがこれからの時代の経営のコツと言えるかもしれません。第二話はそのような視点で紐解いてみたいと思います。
青山システムコンサルティング株式会社 顧問 岡田 圭一さんのその他の記事
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