公益社団法人 日本伝熱学会 会員

園井 健二

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暑中お見舞い申し上げます。
私たちは、強い陽射しを避け木陰を求めて、休憩しますが、日傘の役をしてくれる植物は、酸化されるのを防ぎながら、 光エネルギーを利用して水と炭酸ガスを還元します。
更に、光を求めて上へ上へと伸びる強い生命力にも驚きます。

植物の起源とエネルギーの流れ

約27億~21億年前、光合成をする細菌グループ「シアノバクテリア」が登場し、地球の環境は劇的に変化したと考えられている。太陽の光と水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、無機物さえあれば生きていけるこの細菌は、地球規模で繁殖し、数億年の間に地球の大気中の酸素を20%まで増やしたという。

アメリカの生物学者、リン・マーグリス(1938~2011)は、動物や植物の細胞(真核細胞)は、細菌を内部に取り込むことで進化してきたと考える「細胞内共生説」を、1967年に発表した。

この説によると、・・(略)・・原核生物(現在でいうアーキア)が細菌を取り込み・・(略)・・アーキアと細菌が融合した生物は動物の細胞となり、取り込まれた細菌は、細胞内でエネルギーを生み出す細胞小器官「ミトコンドリア」となったのである。

その後この中から、さらにシアノバクテリアを取り込むものが現れた。取り込まれたシアノバクテリアは、光、無機物、二酸化炭素から有機物を生み出す(光合成)。こうして酸素呼吸と光合成を行える、アーキアと細菌の融合生物が誕生した。この生物は植物の細胞に進化して、取り込まれたシアノバクテリアは、葉緑体となったのである。

出典:ニュートン 「バクテリア驚異の世界」※1

植物の光合成に必要な基本的要素

 太陽の光  エネルギー
 水  原料
 無機物(ミネラル)  触媒
 二酸化炭素  原料

酸化と還元を利用したエネルギーの流れ(炭酸同化作用についての説明)

  • 植物は、太陽の光とミネラルの触媒作用で、水を分解して「水素」を発生させます。その水素で二酸化炭素を還元して、単糖類のグルコースなどを経て、多糖類のデンプンなどの炭水化物を作ります。この過程で生成した「酸素」は放出します。
  • 反対に、エネルギーを必要とするときは、「酸素」で炭水化物を酸化して二酸化炭素と、水に戻します。

活性酸素と抗酸化物質について

3種類の活性酸素

出典:生田 哲 薬学博士 「ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、ガンに効く」筆者加筆※1
  1. スーパーオキシド
  2. 過酸化水素
  3. ヒドロキシラジカル
    最強の活性酸素で、消去する酵素は、どの生物も持ち合わせていません。
    酵素ではなく、水素水のみが消去可能です。
    植物は、光合成で水素を発生させているため消去できます。(筆者加筆)

ビタミンCの働き

フリーラジカルはドミノ倒しで連鎖反応し大変危険です。連鎖反応を止める必要があります。

ヒドロキシラジカルにも大切な役割

猛毒のヒドロキシラジカルは理論的に、すべてのウィルスを殺すことができます。

【弊害】
炎症がヒトを病気にする~アスベストの例
アスベストの微粒子が肺の細胞に突き刺さり、周囲の細胞が刺激され、合図となって免疫系の白血球が集まり、活性酸素ヒドロキシラジカルを放出します。

摂食・服用できる抗酸化物質の中で「水素」が特別な理由

活性酸素を除去できる抗酸化物質はいろいろあります。ビタミンC、ビタミンE、カテキン、リコピン、コエンザイムQ10 などなど。
そんな中で、活性酸素(ヒドロキシラジカル)を除去できるのは、水素だけです。

人間の細胞は、まず、細胞を覆う膜があり、その中に細胞質があります。さらにその細胞質の中には、核があり、これも膜で覆われています。これが細胞の構成です。そしてこの構成ゆえに、なかなか抗酸化物質は入っていけないのです。
細胞膜は脂でできているため、水溶性のビタミンCは突き抜けることができません。細胞質は水溶性のため、水に溶けないビタミンEやコエンザイムQ10は作用できません。
脳には、必要なもの以外は排除して脳を護る、血液脳関門があって、高分子の抗酸化物質は入ることができません。

そんな中で、水素だけは細胞内のどこにでも入っていくことができるのです。細胞膜は脂質、つまり脂でできているのですが、水素分子は水でも脂でも、どこでも入り込むことができます。しかも、身体に有害な活性酸素(ヒドロキシルラジカ)だけを「選択的に」還元できるのです。

水素服用に副作用がない理由

水素は、身体に入ると数分以内に体内をかけめぐります。
水素水を飲んだらすぐに水素は細胞に届きます。
そして、活性酸素(ヒドロキシラジカル)とくっつき、還元して水にします。
化学式にするとわかりやすくなります。

分子水素(H2)+活性酸素(ヒドロキシラジカル 2・OH)=水(2H2O)

活性酸素と結びついた水素は、こうして水になって体外に排出されます。もし、体内にヒドロキシラジカルがあまりない人であれば、いくら大量に水素が入ったとしても、(反応しないので、ほとんどの水素は)呼気で出てしまいます。(必要量以外は)身体に溜まることはないのです。水素自体は無害の気体です。副作用は起こりようもないのです。

出典:太田 成男 日本医科大学教授 「水素水とサビない身体」を筆者一部修正※1

著者は、水素水が体内の活性酸素を抑制することを動物実験により立証。『ネイチャー・メディシン』誌に2007年発表。話題になり水素水ブームを起こす。
発表論文 「水素は細胞障害性酸素ラジカルの選択的還元により治療に有効な抗酸化剤として作用する」
★文献紹介:「水素水」では草分けの方で、敬意を表し紹介

新しい水の会 主幹 林 秀光 医学博士「日本発・世界初「水素豊富水」が世界を救う」(高木書房 2011年)

著者は、水の研究で、水素に着目。当初は、電解還元水(アルカリイオン水)を使用。2001年より、棒状のケースに金属マグネシウム顆粒を入れ、常温の水に浸すだけで水を分解して水素を発生させる 「水素発生ミネラル・スティク方式」 を考案・発明。民間での多くの体験事例を紹介しながら、「水素豊富水」を普及。

(紹介書籍p27を引用)

水素をしっかり摂取する方法の事例

A.水素水として飲む

アルミ缶入り「水素水」

(1)水素を缶入りにした水

水素は最小の分子で、PETボトルの場合、時間とともに抜けます。一番抜けにくいのは、アルミ缶入りの製品です。
付近のドラッグストアで見つけたアルミ缶入り「水素水」

大分県鹿鳴越山系の天然水 を使用
栄養成分表示 100m 当たり
ナトリウム 1.4mg
カリウム 0.4mg
カルシウム 1.2mg
マグネシウム 1.0mg
酸化還元電位 -300mV~-650mV
pH値 8.0
硬度 71mg/L
「スーパーイオン水」と「キパワーソルト」

(2)水素を常時発生している水(筆者使用。推奨品)
常温でも、金属マグネシウムが水と接触したとき、水を分解して水素を発生させます。
PETボトルから抜けるより速く、水素が発生し、右のボトルでは、水素の圧力で容器が膨れて、栓を開けたとき、水が吹き出します。

5種類の有用成分を含むスーパーイオン水
金属マグネシウム粒状(15g)、水溶性炭酸カルシウム鉱石、トルマリンセラミックス、サンゴ化石、貝化石、麦飯石、脱塩セラミックス

酸化還元電位 -120mV~-300mV
pH値 7.6~8.6
溶存水素濃度 0.8~0.92ppm(8~12時間後)

B.金属マグネシウムを含む還元塩(高温焼成)を溶かした水を飲む 「キパワーソルト」

還元塩は作用が強いので、ミネラルバランスが大変重要です。ミネラルバランスの悪い還元塩の摂取は、副作用の出る恐れがあります。

5月に本コラムで紹介した「キパワーソルト」が安全で有効です。

成分に、マグネシウムも、含まれています。(761mg/100g)

C.新鮮な旬の生野菜、果物で摂取する

陽射しを浴びる植物には、紫外線から守る抗酸化物質が豊富です。旬の生野菜、果物は生きていますし、未解明の栄養成分もバランス良く含まれています。新鮮なうちに食べるのがポイントです。

夏は、やはり「スイカ」でしょうか?

※活性酸素の発生を促進させる要因として、食品の場合は、農薬、添加物、薬剤、合成界面活性剤、水道水の塩素などが指摘されています。 活性酸素から逃れることはできませんが、良く洗って少なくしましょう。

D.漢方薬を服用する

参考文献:横澤隆子「血管力をつければ病気は治る」(2004年 絶版)、富山医科薬科大学 和漢薬研究所 助教授

  • 横澤隆子助教授(2004年当時)の先駆的研究
    『慢性腎不全モデル動物の作製と和漢薬研究への応用』で 1986 年度とやま賞を受賞
  • 著者は、薬草の丹参に含まれている「リソスペルミン酸マグネシウム塩」が糖尿病性腎不全に有効であることを突き止め、更に、強力な活性酸素「ヒドロキシラジカル」を消去する作用もあることを解明。

※丹参と5種類の薬草を含む漢方薬「冠元顆粒」に興味のある方は、ホームページ イスクラ産業株式会社 まで。

水素水と還元塩による抗酸化力と持続時間の比較実験

(太田教授の本の表紙もリンゴです。)

皮をむいたリンゴは、時間とともに褐色化します。果肉が、空気中の酸素で酸化されるためですが、昔からの知恵として、塩水に浸して、保存します。(今は、サランラップでしょうか?)

以下では、水素水と還元塩を使用した場合に褐色化の度合いを比較した結果を紹介します。

活性炭による浄化水

水素発生スティックで水素追加

使用したリンゴ

室温 27℃

還元塩キパワーソルト使用

塩分濃度 0.90%

試験条件の組み合わせ

4分割したリンゴを浸漬

<スタート>

<30分後>

<60分後>

<120分後>

<180分後>

<210分後>

<270分後>

【結果】

還元塩無しの浄化水と水素水に浸したリンゴの場合、りんごの成分が早く消耗し、歯ごたえがなくなっていました。

還元塩を溶かした浄化水と水素水に浸したリンゴは、塩味が感じられないほどでも、歯ごたえと味も残っていました。

抗酸化力の持続時間では、還元塩水に浸したリンゴが圧倒的に長いという結果です。

浄化水と水素水との有意差が少ない理由は、「水素はすぐ抜けてしまうため」です。リンゴは生きていますから、元々成分として水素を持っているとも考えられます。旬の果物を食べると、体が浄化されたスッキリ感覚がするのは、理由が有るのです。

リンゴの美味しい旬の季節になったら、再度実験しようと思います。

◎用途に応じて使い分ける
水素水は、短時間で、身体の隅々の細胞まで水素を浸透させ、炎症を起こさせている「ヒドロキシラジカル」を還元して水にします。身体に長く残らないのも利点です。
体質改善で、身体に長く残る還元力が欲しい場合は、ミネラルバランスの良い還元塩を摂取すると効果があります。

【引用文献】

  1. 協力:富田治芳/谷本弘一/服部正平/木村郁夫/花田 智/稲垣史生/井町寛之/平石 明/田中 剛/吉野知子「バクテリア 驚異の世界 」(月刊科学雑誌 Newton 2015年6月号)、p42
  2. 生田 哲 薬学博士 「ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、ガンに効く」(講談社α新書 2010年)、 p75 p83 p85 p147
  3. 太田 成男 日本医科大学教授「水素水とサビない身体」(小学館 2013年)、p43-p45