筆者は、人の目による異物検出を、画像処理に置き換える設備の開発を行ってきました。

目の疲労は脳の疲労ですが、脳の疲労原因も、単純なものから複雑なものまであります。現在は、インターネット経由で、人同士がネットワークに組み込まれています。
昼夜逆の地球の反対側の映像も短時間で伝送されてきますから、入力を制御しないと、頭脳の休まる時がなく、疲労し易い環境になっています。
まずは、頭脳を休める必要があるのですが、ネットワークを遮断するだけでは不十分です。
参考文献:梶本 修身 著「すべての疲労は脳が原因」 ※1
「メンタルヘルス」と「ストレスチェック」
多くの人には、あこがれの宇宙飛行士ですが、過酷なストレスにさらされています。
参考文献:週刊東洋経済「ストレスチェックがやって来た!」 ※1
さて、昨年 12 月から多くの企業に「ストレスチェック」(注) が義務づけられました。
以前より「職場のメンタルヘルス」を守る活動が実施中です。
手元に、平成 2 年に職場で配布された小冊子があります。当時の内容は、長時間残業による疲労が引き金となった「心の病」が課題でした。
当時は、朝から夜 10 時までの残業が普通という時代でしたが、周辺は農家の方たちが多く、「クレージー」と噂されていました。実は、残業時間だけで心身全体のストレスを捕捉できません。通勤時間など差し引いた後の、1 日の睡眠時間が重要です。【「睡眠法」については、改めてご紹介させていただきます。】

また、筆者の場合、長年、新製品開発という専門職でしたので、寝ても覚めても考え続ける生活スタイルです。
今は、禁句になった感のある「チャレンジ」という言葉ですが、進め方次第で、「ストレス」が「やりがい」になります。
一般的に、時間不足が「ストレス」を生む大きな要因です。ポイントは、目標設定の仕方と実現可能な工程です。
(注): 当社では、表現を変えて「活き生き診断」と命名しています。
『今日、一日の区切りで生きる』 習慣を身につける
「道は開ける」の最初の章に、サー・ウィリアム・オスラー博士(1849 年 ~ 1919 年)の言葉が記載されています。筆者の ”座右の銘” の一つですが、孫引きで引用します。
引用文献:DALE CARNEGIE 著「道は開ける」 ※1
サー・ウィリアム・オスラーはエール大学の学生を前にして講演した。……(略)……講演の数カ月前、オスラーは豪華客船で大西洋を渡った。
「君たち一人ひとりは、豪華客船よりもはるかにすばらしい有機体であり、ずっと長い航海をするはずです。……(略)……航海を安全確実なものとするために、『一日の区切りで』生きることによって自分白身を調節することを学べということです。……(略)……ボタンを押してみなさい……(略)……生活のあらゆる部分で鉄の扉が過去……(略)……を閉め出してゆく音が聞こえるでしょう。またもう一つのボタンを押して鉄の扉を動かし、末来を閉め出すのです。そうしてこそ、今日一日安泰です。……(略)……昨日の重荷に加えて、明日の重荷まで今日のうちに背負うとしたら、どんな強い人でもつまずいてしまうでしょう。……(略)……未来とは今日のことです……(略)……。『今日、一日の区切りで生きる』 習慣を身につけるように心がけるべきでしょう。」
易しくいうと、「時間を区切り、集中して実行した後は、心を解放して、ぐっすり休みなさい。」ということでしょうか。寝ている間に、頭の中も整理され、良いアイデアも思いつきます。
経験では、難しい課題は、一晩で解決策は浮かびません。何日も掛けて思いつくものです。従って、一夜漬けにならないよう、予め工程をしっかり立て、スタートする必要があります。
ウォーキング・メディテーション(歩く瞑想)
身体を休めていても、頭脳はあれやこれやと考えるのを止めません。脳内の神経の発火現象が止まれば生命の死ですから、生きている限り、止まることはありません。また、”脳” が ”脳” に休みなさいと命令しても、自己矛盾で、休ませることは出来ません。
意識的呼吸がすぐ実行できる良い方法ですが、楽しく実行できる「歩く瞑想」もお勧めです。一見易しいようで、実際に行って見ると、すぐ、心が「よそ見」をしてしまいます。
筆者は見習い段階のため、第一人者ティク・ナット・ハン師の説明を、引用します。
引用文献:ティク・ナット・ハン著「微笑みを生きる――<気づき>の瞑想と実践」 ※1

ウォーキング・メディテーションはとても楽しい瞑想法です。
……(略)……どこかに到着するために歩くのではなく、ただ歩くために歩くのです。現在のこの一瞬に気づくこと、自分の息と歩くことに気づくこと、一歩一歩を楽しんで踏みしめることがこの瞑想の目的です。だからまず最初から、心配ごとも不安もすべて捨て、先のことを考えたり、過去に引きずられたりしないで、ただ、いまの、この一瞬を味わって歩きます。
……(略)……
私たちはいつも歩いているけれど、歩くというより走っていることのほうが多いのではないでしょうか。
……(略)……私たちが歩くときには、この大地に平和と静寂を刻むように歩かなければいけません。
……(略)……戸外でウォーキング・メディテーションを行なうときには、いつものペースよりゆっくりめに歩きます。そして、その歩みに呼吸を合わせてゆきます。
……(略)……歩いていて、しずかな喜びが湧きあがってくるならば、それが、正しい歩き方です。

それから、大地とあなたの足が接する、その感触に気づいてみてください。
……(略)……ときには美しいものに目をむけて、じっと見つめてみるのもいいですね。
……(略)……見つめながらも自分の息からこころを離さないでください。
……(略)……そしてまた歩きたくなったら、見るのをやめて歩きはじめます。一歩あゆむごとに心地よい風が立って、こころと体をリフレッシュしてくれます。一歩踏みだすごとに足もとに花が咲きます。過去や未来を思わず、いま、ここ、このときに生きることができたら、私たちの一歩一歩のあゆみのなかに、だれもが美しい花を咲かせることができるのです。
引用文献および参考文献

梶本 修身「すべての疲労は脳が原因」(集英社 2016年4月)
— 著者紹介 —
梶本修身(かじもとおさみ)
医学博士。大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授。
東京疲労・睡眠クリニック院長。1962年生まれ。
大阪大学大学院医学研究科修了。
2003年より産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。
ニンテンドーDS『アタマスキャン』をプログラムして「脳年齢」ブームを起こす。
著書に『間違いだらけの疲労の常識だから、あなたは疲れている!』『最新医学でスッキリ!「体の疲れ」が消える本』他。

週刊東洋経済「ストレスチェックがやって来た!」(2015年12月19日号)

DALE CARNEGIE「道は開ける」(創元社1999年10月)、p26~27
— 著者紹介 —
DALE CARNEGIE
1888年、米国ミズーリ州の農家に生まれ、州立学芸大学卒業後、雑誌記者、俳優、セールスパーソン等雑多な職業を経で、YMCA弁論術担当となり、やがてD・カーネギー研究所設立。人間関係の先覚者として名声を博す。
1955年、66歳で死去。

ティク・ナット・ハン「微笑みを生きる――<気づき>の瞑想と実践」(春秋社1995年4月)、p33~36
— 著者紹介 —
ティク・ナット・ハン
1926年中部ヴェトナムで生まれる。10代で出家し禅僧となる。
ヴェトナムにおいて社会福祉青年学校、ヴァン・ハン仏教大学、及びティエプ・ヒエン(インタービーイング)教団を設立。コロンビア大学、ソルボンヌ入学で教鞭を取る。
パリ平和会議にヴェトナム仏教徒首席代表として参加。マーティン・ルーサー・キング牧師によってノーベル平和賞に推挙される。1966年以降フランスに亡命。
農業、著述、講演活動のかたわら、世界的規模で難民救出活動を展開、英語、フランス語、及びヴェトナム語による著書は85冊以上に及ぶ。邦訳のある著書に、『生けるブッダ、生けるキリスト』『禅への鍵』『小説ブッダ』 『死もなく、怖れもなく』 『法華経の省察』(以上、春秋社)、『仏の教えビーイング・ピース』(中公文庫)、『あなたに平和が訪れる禅的生活のすすめ』『あなたに幸福が訪れる禅的生活のこころ』(以上、アスペクト)などがある。
— 編者紹介 —
アーノルド・コトゥラー
1969年から1984年まで、サンフランシスコ及びタサハラ禅センターで正規の禅修行を積む。パララックス出版社設立。編集長。カリフォルニア州バークレイの出版社で、ティク・ナット・ハン師の著作を含む、気づきと社会的責任に関する書籍、テープの出版に従事。
— 訳者紹介 —
池田久代
1949年、山口県に生まれる。1975年、同志社女子大学 大学院修士課程文学研究科修了(英文学専攻)。
1989年より、渡辺臣師のもとで、ヨーガ(インド哲学、 サンスクリット語等)、及び、仏教の瞑想指導を受ける。 現在、皇學館大学文学部教授。
著書に、『もっと知りたいニュージーランド』(弘文堂、共著)、 『ニュージーランドを知るための63章』(明石書店、共著)。 訳書に、ティク・ナット・ハン『生けるブッダ、生けるキリスト』 『小説ブッダ』 『死もなく、怖れもなく』(以上、春秋社)など。
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