2016/06/07 業界コラム 園井 健二 日常生活での健康法 ~ 腸内フローラを育てる生活習慣 No.11 公益社団法人 日本伝熱学会 会員 園井 健二 当社 技術顧問...もっと見る 当社 技術顧問 昨年は 10 回にわたり、食による健康法を記載しました。 今回は、健康に役立つレシピとして、ご紹介します。 私たちの腸粘膜の上に、お花畑のように群生している細菌叢「腸内フローラ」を善玉菌優位にし、腸内環境と腸粘膜を良くする生活習慣が、今、注目されています。 ★腸内環境と腸粘膜に良い生活習慣 悪玉菌を減らす。 善玉菌を増やす。 腸粘膜を癒す。 摂取する栄養素は完全消化できる量までとする。 毒になるものは摂取しない。 睡眠中は胃腸を休ませる。 腸内の善玉菌/悪玉菌/日和見菌の細菌バランスが、悪玉菌優勢のまま善玉菌を摂取しても、細菌バランスは良くなりません。悪玉菌を減らすことが優先です。一般的には、薬を服用する方法ですが、同時に善玉菌も減ってしまう副作用があります。本稿では、筆者の実践している悪玉菌のみ減らす方法をご紹介します。 腸内の悪玉菌のみ減らす方法ココナッツオイルの抗菌作用で腸内を殺菌します。ココナッツオイルの主成分であるラウリン酸は、酵素で分解されてモノラウリン酸になると、悪玉菌に対する抗菌力が現れます。しかも、善玉菌には無害ですから、後で善玉菌を補充する必要もありません。因みに、ラウリン酸は、母乳の 成分の 1 つで、乳児の病気を防ぎます。乳児の腸内はほとんど善玉菌ですから、善玉菌に無害の理由は明らかです。 また、消化に悪影響を与えないので、断食する必要はありません。 食物酵素と補酵素で、ココナッツオイルを事前消化ココナッツオイルを摂取した時、膵臓から分泌される消化酵素はリパーゼです。食後、腸で検知してから分泌されますが、分泌量にも限度があります。予め食物酵素で事前消化してから食べると、抗菌作用が直ちに利用でき、消化酵素を節約できます。事前消化に利用する食物酵素は、野菜のなかでも「大根」を摺り下ろした「大根おろし」が便利です。 大根おろしには 100 種類以上の酵素が含まれていて、タンパク質や炭水化物も消化できます。多くの酵素は、酵素の働きを助けるミネラルも 必要ですから、ミネラル豊富な塩を添加し、味も調えます。 食物酵素を、酵素活性の高い温度に加温加温すると酵素の働きが良くなります。但し、多くの酵素は 48℃ 以上で不活化するため、35~45℃ まで温めますが、高温にはしません。 オメガ 3 系の油で、炎症を起こしている腸粘膜を修復オメガ 6 系の油は炎症を促進するのに対し、オメガ 3 系の油は炎症を鎮めます。オメガ 3 とオメガ 6 の油の摂取比率 1:2 が理想ですが、現在の食生活では、オメガ 6 の比率が高くなり過ぎています。 食物酵素で、タンパク質を完全消化「肉を食べれば、直ぐ吸収されて元気が出る」と思いがちですが、タンパク質をアミノ酸まで完全分解するには、多量の消化酵素と時間がかかります。また、必要量以上のタンパク質や消化途中のアミノ酸が連なった「ポリペプチド」は、排泄されてしまいます。 1 日のタンパク質必要量 成人の場合、体重 1kg に対し、約 1~1.5g/日 成人男性(体重 60kg):推奨量 60g/日 成人女性(体重 50kg):推奨量 50g/日 しかし、腸粘膜が弱っていると、「ポリペプチド」を吸収してゴミとして細胞内に溜まります。炎症があれば、ポリペプチドは燃料となって炎症を悪化させます。(※1 の参考文献より。文責筆者) 鶏卵と牛肉のタンパク質含有量と摂取量比較(プロティンスコアと加熱調理による目減りを考慮) 食材と摂取量 生卵(1 個) 牛肉(100g) タンパク質含有量 6.5g 20g プロティンスコア 100 80 調理による目減り 1 0.5 タンパク質摂取量 6.5g 8g 生卵だけを食べるとした場合、成人男性では 9 個/日になります。3 食ですと、毎食 3 個分が必要なタンパク質量です。実際には他の食品からも摂取しますから、卵 1~2 個/日が推奨されています。しかし、タンパク質は、体内に貯蔵できません。必須アミノ酸のバランス(プロティンスコア)をとって、必要量を毎日摂取しなければならない栄養素です。 ◎膵臓の消化酵素だけで、卵を週に何個消化できるでしょうか?この質問を今まで何人もの方にしてみましたが、多くの方は、「1 日 1 個として週に 7 個ですか?」と、返事されます。筆者にも驚きの数値ですが、成人女性の場合で、2 個/週です。 出典:医学博士 永田良隆 著 「油を絶てばアトピーはここまで治る」※1 私たちの調査では、成人女性でも、鶏卵は週に 1 個か 2 個しか消化しきれないという結果が出ています。つまり、月曜の朝に目玉焼きを食べたら、その週は、あとはせいぜい、ゆで卵を 1 個しか食べられない、というわけです。一方、現代の栄養学では「鶏卵の栄養成分は理想的だから」といって、毎日摂取するように勧めています。 一見矛盾するようですが、必要なアミノ酸の量と、” 自前 ” でタンパク質をアミノ酸にまで分解できる量が大きく異なるためです。伝統的な和食の長所ですが、膵臓の消化酵素の働きに依存しないで、食物酵素、発酵菌や食物繊維の摂取量を増やし、腸内フローラを整えて、消化を助ける必要があります。 炭水化物は、お粥にして完全消化お腹をこわしたときは「お粥」が重宝されます。 炭水化物は、消化酵素のアミラーゼで、短時間でブドウ糖になります。更に、大根おろしで「お粥」にすると、アミラーゼも要りません。大根おろしの食物繊維は、腸内フローラのエサになります。 膵臓から分泌されるインスリンは、ブドウ糖を細胞に吸収するとき必要です。インスリンを使わない方法は、りんごなど果物を摺り下ろし、果糖と酵素を一緒にして食べる方法があります。適量なら、果物は体に最も優しい食材です。果物の場合はカリウムが多いので、塩分も摂取し、ミネラルバランスを取るのが良い方法です。 消化が良く、腸内の悪玉菌を減らして炎症を鎮め、栄養豊富な「おかゆ」の作り方材料と測定器 酵素:大根おろし 補酵素、補助因子:ミネラルとしてキパワーソルトまたは藻塩を推奨 加熱:デジタル温度計 油脂:ココナッツオイルとえごま油 たんぱく質:プロティン、きな粉、生卵も可 炭水化物:白米、雑穀米、発芽玄米、玄米(24時間以上浸水) 作り方1.「大根」を切って皮を剥き、「おろし器」でおろします。 大根おろしは、還元力があります。 塩分濃度:0.2~0.3% で、成分にカリウムが多い。 塩分計 0.3%を表示 2.ミネラルを加えます。 写真は、「キパワーソルト」を使用しています。 還元力があり、ミネラルバランスも良い。 塩分濃度:0.5~0.7% になるまで入れます。 味もまろやかになります。 3.点火し、30 秒程度、かき混ぜながら、弱火で温めます。 デジタル温度計で、35℃ になったら火を止めます。 鍋が熱いので、余熱で温度は上がり続け、40℃ になります。 大根おろしは、糖化酵素やたんぱく質分解酵素が豊富ですが、48 度以上にすると、たんぱく質分解酵素が最初に失活します。そのため、45 度以下で温めます。 4.「ココナッツオイル」を、大さじ 1 杯程度、 温めた大根おろしに入れてかき混ぜます。 ココナッツオイルを加えるのは、主成分のラウリン酸を、大根の酵素で、抗菌力のあるモノラウリン酸に分解するため。 分量:大さじ 1 杯(15 グラム)以下 5.「えごま油(またはアマニ油)」を大さじ 1 杯程度、温めた大根おろしに入れてかき混ぜます。 炎症で傷んだ腸の粘膜をオメガ 3 系の「えごま油(またはアマニ油)」で修復。 分量:大さじ 1 杯(15 グラム)以下 6.タンパク質を加えます。 「プロティン」」を大さじ 1 杯程度、または「生たまご」1 個を、温めた大根おろしに入れてかき混ぜます。 7.炭水化物を加えます。 写真は、玄米 + 雑穀米ですが、アレルギーの場合、白米にします。 【引用文献および参考文献】永田良隆「油を絶てばアトピーはここまで治る」(三笠書房 2006年1月)、p33-35 — 著者紹介 — 1965年鹿児島大学医学部卒業。 鹿児島大学小児科学大学院修了。 下関市立中央病院小児科部長、栄養管理部長。 日本アレルギー学会、日本小児科学会、日本東洋医学会の各専門医。医学博士。 アトピー性皮膚炎をはじめ、各種の難治性アレルギー疾患の根本治療に取り組む。 本書に結実した栄養学的アプローチから、1 万人を超える患者を治癒するなど、多大の実績をあげ、各方面から注目を浴びている。 日本リュウマチ学会賞受賞。 おもな著書に『アトピー性皮膚炎ハンドブック』『アレルギーの人の食事』 『母乳と和食で家中病気知らず』などがある。 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 公益社団法人 日本伝熱学会 会員 園井 健二さんのその他の記事 2017/01/11 業界コラム 安全対策 ~ 「うっかり」と「うとうと」によるミスを防ぐ方法 No.16 2016/12/06 業界コラム 日常生活での健康法 ~ 環境や視点を変えて心を整える習慣 No.15 2016/09/06 業界コラム 日常生活での健康法 ~ 睡眠時間と体内時計を乱さない生活習慣 No.14 2016/08/02 業界コラム 日常生活での健康法 ~ 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好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月