2015/11/03 業界コラム 園井 健二 日常生活での酸化還元反応観察 ~ 良い油脂をバランスよく摂取する健康法(4) No.9 公益社団法人 日本伝熱学会 会員 園井 健二 当社 技術顧問...もっと見る 当社 技術顧問 冬近しですが、野生動物は、食料の少ない冬を生き延びるため、秋の収穫物を腹一杯食べて、脂肪細胞に溜め込みます。 この能力が高い程、越冬での生存確率は高くなります。 現在の私たちは、食料の備蓄、衣類や暖房により、余剰の栄養分を 内臓脂肪や皮下脂肪として大量に蓄積する必要性は少なくなっています。 しかし、不足しがちな脂肪酸をしっかり摂取し、冬の寒さに対する備えを したいものです。 どんぐりの栄養素栄養価に富み、18% が脂肪で、6% がたんぱく質、68% が炭水化物で、ビタミン A、C をはじめアミノ酸を多く含みます。 但し、タンニンやサポニンの成分が多いためにアクが強く、(動物と違って)わたしたちが口にできるようになるまでには 時間と手間を必要とします。 出典:いいJAん! 信州 長野県のおいしい食べ方:どんぐりはわたしたちに大切なものを伝える 体内の脂肪の種類 【体脂肪】 体内の備蓄用脂肪 皮下脂肪 ・備蓄エネルギー用 内臓脂肪 ・短時間かつ大量のエネルギー備蓄用 食間、夜間、持久運動時に使用 体内のエネルギー貯蔵量 (基礎代謝量換算) 糖質 8 時間 たんぱく質 13 日分 ★たんぱく質がエネルギーとして 使われる のは飢餓時のみです 脂質 55 日分 【血中脂肪】 血液の中を流れる脂肪 中性脂肪 ・エネルギーの貯蔵物質 ・血液中に流れている中性脂肪は、余剰な糖分が有る場合、 インスリンにより上記【体脂肪】の脂肪細胞に吸収される リン脂質 コレステロール ・細胞を形成する細胞膜を作る 細胞膜: 細胞を包んでいる二重の薄い膜 主成分: リン脂質、糖脂質とコレステロール ・脳や神経を正常に働かせる リン脂質、アラキドン酸、DHA、EPA など ・体を調整するホルモンと血液の原料となる 出典:大櫛 陽一 著 「糖質オフのレシピ」※1 執筆者による編集(文責:筆者) 食品の油脂に含まれている脂肪酸と多く含まれている食品例出典:白澤 卓二 監修 「ココナッツオイルでボケずに健康」※4 執筆者による編集(文責:筆者)中鎖脂肪酸(炭素数 8~12)は、長鎖脂肪酸と異なり、吸収されると、体内ですぐエネルギーになります。ココナッツオイルには、話題となった美容やアルツハイマー予防効果に比較すると目立ちませんが、抗菌作用もあります。 ★ココナッツオイルが、これから本番の”インフルエンザ”に有効な理由 天然の細菌キラー中鎖脂肪酸は特定の微生物にとっては極めて有害である一方、私たち人間には無害である。・・(略)・・ ほとんどの細菌とウイルスは、脂質二分子膜で覆われている。・・(略)・・だが、私たちの肌が比較的強靱なのと違い、 これらの微生物を包む脂質膜は液状に近い。・・(略)・・脂肪膜で覆われたウイルスや細菌を、中鎖脂肪酸は簡単に 殺すことができる。・・(略)・・中鎖脂肪酸は微生物の膜を構成するものと似ているので、容易に膜に引きつけられ、 吸収される。・・(略)・・もともと液体に近かった膜は弱くなり、・・(略)・・ぱっくりと裂け、中身が流れ出して微生物は 死んでしまう。 出典:ブルース・ファイフ (Bruce Fife) 、三木 直子 訳 「ココナッツオイル健康法」※5 炭素数 18 の脂肪酸が、動植物の代謝で、さまざまに変化します。オメガ 3 とオメガ 6 脂肪酸の摂取バランス日本脂質栄養学会や国際脂肪酸・脂質学会では、リノール酸(オメガ 6):α-リノレン酸(オメガ 3)= 約 2:1 を理想の摂取比として推奨しています。しかし、そのためには大幅に食事内容を変える必要があるため、厚生労働省はひとまず 4:1 としています。 推奨摂取比 理想 現行 リノール酸 (オメガ 6) 2 4 α-リノレン酸(オメガ 3) 1 1 出典:守口 徹「えごま油健康法」※2 植物は、全てつくる酵素をもっていて環境に適した比率で生成します。野生の動物も、食べ物が決まっていますから それに応じた代謝もできています。私たちは、進化で失った酵素もあり、雑食で食べ物も急激に変化していますから意識的に、油脂を選ぶ必要があります。 オメガ 3 の脂肪酸を高い比率で含む植物が少ない理由陸から生まれたリノール酸(オメガ 6)、海から生まれた α-リノレン酸(オメガ 3) さまざまな動植物の持つ脂質がどのような脂肪酸で構成されているかは、育つ地域や環境、種によっておおよそ決まります。 一般的に、陸上の動植物にはリノール酸のようなオメガ 6 系脂肪酸が多く、海洋の動植物には α-リノレン酸、すなわち、オメガ 3 系脂肪酸が多く含まれているといえます。 例外的に α-リノレン酸を多く含む陸上の植物は、えごまと亜麻仁くらいしか見当たりません。 また、植物はリノール酸を α-リノレン酸に変換する酵素を持っています。つまり、リノール酸を作っていた植物でも、自身が持つ酵素を使えば、α-リノレン酸に変えることができるのです。 出典:守口 徹「えごま油健康法」※2 コーヒーブレーク秋らしい草花といえばコスモスでしょうか?散歩道の道端にあるコスモスは、秋の始まりから次々と咲き続けてくれています。筆者の近くには古くからの農家も多く、お庭には実のなる木が多く植えられています。美容と健康に良いザクロの果実も実っていました。10 月 11 日には富士山に初冠雪があり、秋の深まりとともに紅葉の季節が到来しています。 新潟県北にある胎内平の紅葉を見に行きました。胎内川の沿道の桜並木が紅葉し美しい風景でした。 胎内のホテルで、久しぶりにコーヒーを頂きましたが、水が良いので、コーヒーの美味しさも変わりません。 【引用文献および参考文献】大櫛 陽一「糖質オフのレシピ」(成美堂出版 2013年2月)、p30-37 — 著者紹介 — 1971年、大阪大学大学院工学研究科修了。 大阪府立羽曳野病院、大阪府立成人病センター、 大阪府立母子センター、大阪府立病院などを経て、 1988年より東海大学医学部教授。 2012年より東海大学名誉教授。 2006年、日本総合健診医学会シンポジウムで、全国約70万人の 健康診断結果から日本初の男女別・年齢別基準範囲を発表。 著書に、『コレステロールと中性脂肪で、薬は飲むな』(祥伝社新書)、 『100歳まで長生きできるコレステロール革命』(永岡書店) 『間違っていた糖尿病治療』(医学芸術社)など多数。 守口 徹「えごま油健康法」 (アチーブメント出版 2015年9月)、p58-59、p64 — 著者紹介 — 麻布大学 生命・環境科学部食品生命科学科教授 日本脂質栄養学会 副理事長 国際脂質脂肪酸学会 理事 1982年横浜市立大学卒業後、製薬会社の薬理部門に勤務。 国立がんセンター研究所、東京大学薬学部に研究出向後 同大学で博士号を取得し、1997年客員研究員として 米国国立衛生研究所(NIH)で脂肪酸と脳研究に関して研究。 2008年より麻布大学 生命・環境科学部教授に就任、現在に至る。 おもな監修書に 『脳と体に効く油』 (宝島社)、『「油」で健康になる!』 (マガジンハウス)がある。 Dr.クロワッサン「「油」で健康になる!」(マガジンハウス 2014年) — 著者紹介 — 守口 徹 麻布大学 生命・環境科学部 食品生命科学科教授 青木 絵麻 東京・浅草橋「金田油店」店長 作田 雅子 管理栄養士、公認スポーツ栄養士 調理師 〈 目次 〉 第1章 油についての基本の「き」 第2章 目的別油のシンプルレシピ ひとめでわかる!植物油の目的別一覧表 第3章 植物油ディクショナリー ひとめでわかる!植物油の脂肪酸別一覧表 白澤 卓二 医学監修 「ココナッツオイルでボケずに健康」(主婦の友社 2014年2月)、p14の表1 — 著者紹介— 順天堂大学大学院医学研究科 加齢制御医学講座教授 ブルース・ファイフ (Bruce Fife) 、三木 直子 訳 「ココナッツオイル健康法」(WAVE出版 2014年2月)、p123-125 — 著者紹介— 著述家、講演家、公認栄養士、自然療法医。 『Coconut Cures』『 Coconut Lover’s Cookbook』を含む20冊以上の著書がある。 『Healthy Ways Newsletter』というニュースレターの編集・発行人であり、また、健康・栄養面におけるココナッツの価値について一般に知らしめることを目的として設立されたココナッツ・リサーチセンターの所長でもある。 ココナッツオイルがもつ健康効果に関するさまざまな医学研究を、一般読者にも理解できる、読みやすい形にまとめて発表したのは彼が初めてであり、ココナッツオイルの健康効果を知ることにかけては右に出る者がないとされている。 そのため、「ココナッツ・グル」と呼ばれたり、敬意を込めて彼を「ドクター・ココナッツ」と呼ぶ人も多い。 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 公益社団法人 日本伝熱学会 会員 園井 健二さんのその他の記事 2017/01/11 業界コラム 安全対策 ~ 「うっかり」と「うとうと」によるミスを防ぐ方法 No.16 2016/12/06 業界コラム 日常生活での健康法 ~ 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正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月