2015/05/13 業界コラム 園井 健二 日常生活での塩分測定(2) ~ 「適切なミネラルバランスによる健康法」 No.3 公益社団法人 日本伝熱学会 会員 園井 健二 当社 技術顧問...もっと見る 当社 技術顧問 大気中で呼吸している私たちは、高山で気圧が低くなる状態より、酸素濃度だけ低くなる酸欠に敏感です。高山では次第に順応できますが、酸欠は死を招きます。では、海で生きている魚の場合は、どうでしょうか? 産卵のため、生まれた川に上る鮭が元気なように、塩分濃度の変化は平気ですが、ミネラルバランスには敏感です。 魚は、塩化ナトリウム 99% に精製された塩水では、海水と同じ塩分濃度3%でも、1 時間 40 分後にすべて死んでしまいます。※1 私たちも、飲食物のミネラルバランスに、もっと関心を持ちたいものです。 舌で分かる! 主要ミネラルのバランスが良い塩残念ながら、ミネラルバランスを直接測定できる機器が有りません。 食品の成分表と塩分計を頼りに、ミネラルバランスを取ることになりますが、人間の舌の味覚でも、バランスの良し悪しが分かります。 伝統海塩は、まろやかで、ほんのり甘みもあって、おいしいです。 これは塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムなどの塩類がバランスよく含まれているからです。塩の味は、これらの主要な塩分で決まります。 おいしい塩とはズバリ、この五つの塩類のバランスがいい塩なのです。※2 五つの塩類の味 出典:村上謙顕 「日本人には塩が足りない!」※2微量ミネラルも重要な役割 ~ 「亜鉛、鉄、銅、マンガン、セレン」の例糖尿病予備軍になると、栄養療法のサプリメントとして、亜鉛が推奨されます。インシュリンの原料ですが、単独ミネラルの摂取を避け、食事から摂りたいものです。 筆者が、ミネラルについて学んだ書籍※3 から、以下紹介させて頂きます。 亜鉛の驚くべき「はたらき」 出典:笠原友子 「糖尿病は栄養をとれば健康に戻る」※3血管での出来事とは? 出典:笠原友子 「糖尿病は栄養をとれば健康に戻る」※3人間が必要とする主なミネラルとその働きミネラルの種類とおもな働き 種類 おもな働き 体内の分布 ナトリウム 細胞の浸透圧の調整 血圧の調整 神経・筋肉細胞の働きに関与 細胞外液 カリウム 高血圧予防、むくみ解消 筋肉のエネルギー産生に関与 心臓の働きを保つ 細胞内液 カルシウム 骨と歯の形成 血液凝固促進作用 神経を安定させる 99%が骨組織内 1%が細胞・血液中 マグネシウム 骨の形成 神経伝達の制御 細胞内のカルシウム濃度の調整 70%が骨に存在 リン 骨と歯の形成 エネルギーを蓄える エネルギー産生に関与 85%が骨、歯に存在 ヨウ素 甲状腺ホルモンの原料 基礎代謝のアップ 幼児の発育を促す 甲状腺ホルモン 亜鉛 皮膚を守る、骨を丈夫にする 味覚・視覚・聴覚を正常にする インスリン合成、成長ホルモン産生 赤血球中に酵素として存在 鉄 酸素の運搬 粘膜を正常に保つ エネルギー産生に関与 70%が赤血球中に存在 残りは貯蔵鉄として蓄えられている 銅 鉄の吸収 骨の強化 免疫細胞の活性作用 肝臓・腎臓・脳など マンガン 骨の生成を促進 エネルギー産生に関与 抗酸化作用 肝臓・腎臓・脳など セレン 抗酸化作用 甲状腺ホルモンの活性化 精子の働きの活性化 血液中 コバルト ビタミンB12の原料 神経機能の正常化 骨髄の造血作用に関与 肝臓・腎臓・脾臓 出典:溝口徹 「図解でわかる最新栄養医学 うつは食べ物が原因だった!」より筆者編集>※4 カルシウムとマグネシウムは”兄弟” カルシウム2に対して マグネシウムは1という割合でとるのがいい、とされていますが、私はこれには疑問を感じています。 なぜならカルシウムとマグネシウムは同じ割合で排泄されるからです。 ・・・・ 深刻なのはむしろ、マグネシウム不足のほうです。 ・・・ カルシウムとマグネシウムは「1対1」の割合でとる。それがもっとも的確なバランスといえるでしょう。※4 海水に含まれる元素と、人間の体を構成する主なミネラル成分の比較主要成分は共通していますが、海水中の微量ミネラル「鉄、亜鉛など」は、予想外に低くなっています。 原因は、鉄、亜鉛などは海底に沈殿しているためで、海水と土壌のミネラル成分を合わせて考える必要が有ります。 海底に生息する貝類や海草類は、ミネラルが豊富でバランスも良い食材です。 海水に含まれる元素と人間の体を構成するミネラル 出典:上田秀夫 「塩を変えれば体は良くなる!?」より筆者編集※5市販されている「にがり」が含まれている食用塩(例) 出典:上田秀夫 「塩を変えれば体は良くなる!?」より筆者編集※5市販されている「にがり液」(例) 出典:上田秀夫 「塩を変えれば体は良くなる!?」より筆者編集※5ミネラルバランスの調整が必要な場合判断の目安 にがり成分を残した食用塩を使用する場合は、バランス調整不要です。 味噌は、塩化ナトリウムを30%余分に排出できるため、バランス調整不要です。※6 副食の野菜類は、カリウムが多いので、食事全体としてバランス調整される方向です。 醤油を使用する場合は、原料塩は塩化ナトリウム99%以上が大半で、塩分も高いですから、塩分濃度とバランス調整をします。 塩分濃度とミネラルバランスの調整方法 ~ 醤油料理の例 醤油の塩分濃度をラベルで確認し、使用する分量を水で10~15倍に稀釈します。 下記写真では、14倍に稀釈し、塩分濃度1%にしています。 にがりを加え、塩分濃度を「5~10%」高めます。 下記写真では、塩分濃度1.1%にしています。 ※塩分計の最小目盛りは0.1%です。 5%だけ高めたい場合は、塩分濃度を2%にし、にがりを加えて2.1%としてから、水を加えて1%に薄めれば、5%増に調整できます。 その後、必要な塩分濃度に薄めて使用します。 【引用文献】 上田秀夫 「塩を変えれば体は良くなる!?」(現代書林 2012年)、p13 2007年 韓国国営放送KBS番組の紹介 村上謙顕(NPO法人 日本食用塩研究会代表理事、海の精株式会社代表取締役) 「日本人には塩が足りない!」(東洋経済新報社 2009年)、p158 笠原友子 「糖尿病は栄養をとれば健康に戻る」(経済界 2012年)、p121図 p122図 溝口徹(新宿溝口クリニック院長) 「図解でわかる最新栄養医学 うつは食べ物が原因だった!」(青春出版社 2011年)、p44-45 の表を筆者編集 上田秀夫 「塩を変えれば体は良くなる!?」(現代書林 2012年)、p51-52より筆者編集 みそ健康づくり委員会 「高血圧・糖尿病にならない毎日みそ生活」(麻生台出版社 ポポロ2015年3月号別冊) この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 公益社団法人 日本伝熱学会 会員 園井 健二さんのその他の記事 2017/01/11 業界コラム 安全対策 ~ 「うっかり」と「うとうと」によるミスを防ぐ方法 No.16 2016/12/06 業界コラム 日常生活での健康法 ~ 環境や視点を変えて心を整える習慣 No.15 2016/09/06 業界コラム 日常生活での健康法 ~ 睡眠時間と体内時計を乱さない生活習慣 No.14 2016/08/02 業界コラム 日常生活での健康法 ~ 頭脳を休める生活習慣 No.13 2016/07/05 業界コラム 日常生活での健康法 ~ 発酵食品を摂取する生活習慣 No.12 2016/06/07 業界コラム 日常生活での健康法 ~ 腸内フローラを育てる生活習慣 No.11 2015/12/08 業界コラム 日常生活での酸化還元反応観察 ~ 良い油脂をバランスよく摂取する健康法(5)No.10 2015/11/03 業界コラム 日常生活での酸化還元反応観察 ~ 良い油脂をバランスよく摂取する健康法(4) No.9 2015/10/06 業界コラム 日常生活での酸化還元反応観察 ~ 焙煎した種子を摂取する健康法(3) No.8 2015/09/08 業界コラム 日常生活での酸化還元反応体験 ~ 抗酸化物質による健康法(2) No.7 2015/08/04 業界コラム 日常生活での酸化還元反応観察 ~ 抗酸化物質による健康法(1) No.6 2015/07/07 業界コラム 日常生活での血糖値測定 ~ 食後高血糖を抑える健康法 No.5 2015/06/09 業界コラム 日常生活での温度測定(2)~ 発酵食品による健康法 No.4 2015/05/13 業界コラム 日常生活での塩分測定(2) ~ 「適切なミネラルバランスによる健康法」 No.3 2015/04/07 業界コラム 日常生活での塩分測定(1) ~ 塩分濃度測定による健康法 No.2 2015/03/10 業界コラム 日常生活での温度測定(1) ~ 酵素を生かす加熱法 No.1 2011/12/06 業界コラム 人に優しい設備、 パソコンの体に優しい使い方と疲労回復法 No.3 2011/10/04 業界コラム 人に優しい設備、 パソコンの体に優しい使い方と疲労回復法 No.2 2011/08/02 業界コラム 人に優しい設備、 パソコンの体に優しい使い方と疲労回復法 No.1 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月